雄叫びを上げて山狗たちに向かって行ったけど、富竹……あっさり捕まってしまったのね。5対1では厳しかったのかなぁ。山狗が富竹を連れて来たのを見た入江が、予め決めていた通り赤坂に連絡を入れていた。そして彼が電話をしているのを鷹野たちに知られてしまった。
え〜っと、入江は自分が鷹野たちに監視されているとは全く思っていなかったんだね。あの中で裏切り者として一番疑われるのって自分しかいないと少しも思わなかったのだろうか……。車で逃げ出したものの、追手にタイヤを撃たれて彼の車は横転して止まってしまった。
そこへ運良く詩音と葛西が通りかかった。本当に運が良かったとしか言えない。このとき、すぐに病院にと言う葛西に、入江は「診療所は困ります。園崎家に行かないと」と答えてた後痛みに呻いていた。葛西は入江の車に弾痕があるとすぐに気づいたし、追手が近くにいる可能性を考えて園崎家には迂回して向かっていた。葛西はここまでのことを思い付けたとしても、何故診療所が駄目なのかまでは入江の言葉から推測することは無理だろうね。身内に裏切られて追われていたと葛西に言っていたら、彼ならば発信機の存在にすぐに気づいたかもしれないのに。でも、あの発信機、かなり目立つ場所に付けてあったなと思ったのは私だけだろうか?
園崎家に着いた詩音と葛西が入江を連れて来たのを監視カメラで見た魅音たちが、彼らを出迎えた。尾行はなかったと答えた途端に車の音がして、山狗たちがもう来たことに気が付いた。それにしても来るの早すぎ! 向こうも必死なのだろうけど、そんな連中を相手に木戸を閉めずに中に入るなんて普通はあり得ないぞ?(汗)
園崎家に到着した小此木が、入江を発見しその友人を数人確認したと鷹野に報告していた。それを聞いた鷹野の足元には富竹が身動きを封じられ、口にはガムテープを貼られて転がされていた。梨花がそこに潜んでいるのだと確信した鷹野は、富竹の顎を足で持ち上げていた。このときの富竹の表情が辛そうだったな。
爆弾でも使わない限り大丈夫だと地下室への扉は破られないと魅音は言ったけど、沙都子があることに気づいた。そして入江に雨天決行の場合の合図は何かと尋ねていた。合図は10時に花火を打ち上げることだった。それに乗じて爆破すると気づいた魅音たちは、抜け穴を通って外へ移動することにした。一番詳しい魅音が先頭を行くように言った詩音は、自分と葛西が殿を務めると言い出した。魅音はそれがどういう事なのか解っているのかと慌てて聞くと、詩音は強い口調で「解ってるよ!」と返した。魅音は真剣な詩音の表情に何も言えず彼女の言うことに従った。
岩場に穴が彫られていて、その横に手すりがついた梯子のようなものを降りていくと、途中で横穴があった。魅音がまずそこに降りて、次は梨花に来るよう声をかけていた。足を滑らせた梨花は、心配する仲間たちに大丈夫と声をかけたあと、下に降りながら自分は昭和58年の6月を越えると心の中で言い始めた。もっと身長が伸びて胸だってもっと大きくなる。こんな子どもの身体なんて絶対にごめんだと。
……梨花って結局何歳なの? 身長はともかく、まだ小学生なのに胸が大きくなりたいだなんて。そんな風に思っているなんて知らなかったなぁ。小学生の頃って身長順に並ばされたけど、私は大きくなるのが嫌でこれ以上伸びるなって思っていたなぁ。前からよりも後ろから数えた方が早かったし、一番後ろってときもあったな……。胸は……特にどう思ったか記憶にないな。多分、どうでも良かったのだろ(笑)
ようやく扉を吹き飛ばした山狗たちは、暗視スコープでトラップが仕掛けられていることを知った。沙都子のトラップ、園崎家の入口で山狗たちの足を絡め取っただけで大した活躍をしていないなぁ。
園崎家に繋がる全てのケーブルを山狗が切断していたため、魅音たちは電気が使えなくなっていた。そのため電話も使えず彼女たちは抜け穴を通って外へ脱出することにしたのだが、山狗の一人はトラップに対して通電した方がいいのではと提案していた。しかし小此木は通電したらそれだけ梨花たちを逃がしやすくしてしまうと却下していた。そして別の出口があるのを察し、必ずそこから逃げ出そうとするはずだと断言していた。
最後に降りて行こうとした圭一が、詩音に対して自分が残ると言い出したけど、ここは見ていてちょっと苛ついたな。そんな無駄話をしている暇があるならさっさと魅音たちの元へ向かえと。詩音は「圭ちゃんの男のプライド、サンキューです」と軽やかに答えていたけど、手ぶらの圭一にいったい何ができると言うのかと私は思う。こんなときにくだらないプライドで皆を危険に晒すなと言いたい。ま、魅音への伝言を託した後に戦いに赴くときの詩音の表情が格好いい。一瞬のものだったのでスローで見直してしまった(笑)
更に、銃撃音を聞いた魅音や梨花が喚いていたけど、
なんでさっさと行かないの? 何のために詩音と葛西が残ったと思ってるの? まさか彼女らが無事な姿を現すまでそこで待っているつもりなの? しかもせっかく死んだことにしていたのに、梨花は思いきり叫んでいるし……。気持ちは解るけど、今何をすべきことをしろと言いたい。
銃撃音が止むと上から顔を出したのは山狗たちだった。しかし詩音も葛西も気絶しているだけだと彼らは言う。そして梨花と入江を引き渡せと要求してきた。そんな真似をされたら入江も梨花も出ていくと言い出すに違いない。
入江が梨花は既に逃げたことにして自分が出向くと言い出した。しかしレナは詩音が何のために時間を稼いでくれたのかがわからなくなるとそれを止めた。ところがそれを聞いた魅音が詩音に死ねというのかとレナに食ってかかった。……60秒与えてやると言われても「どうしようどうしよう」としか言えないし、レナの尤もな発言にも噛みついたり……。後半の魅音はいいとこなしだな(苦笑)
そんな魅音に沙都子が止めてくださいと二人の間に割って入った。そして詩音は自分の「ねーねー」なのに、自分だって胸が張り裂けそうなのだと沙都子は言っていた。……ここもまた唐突だなぁと思った。祭囃し編では詩音と沙都子って全然接触していないのに、突然の「ねーねー」発言。皆殺し編を見ていたなら、詩音が沙都子をどんなに大事に思っているのか解るだろう?とでも言いたいのだろうか? 演技力はん申し分なく、魅音が詩音の名を叫んで泣いている声でこちらも泣きそうになっていたくらいなのだけど、今回は不満に思う箇所が多いな。
梨花は梨花で、羽入に何とかしろと迫っていた。神さまなのだから、神通力でも奇跡でも起こしてと言う梨花に、羽入は彼女の頬を叩いた。そして羽入は梨花に言う。
「ボクたちは共に数多くの世界を渡り、人の身では知り得ないことをいくつも知ってきました。そして、ようやくこの世界で最も大切なことを学びとりました。それは
奇跡の起こし方!」
目が覚めた梨花は、また忘れるところだったと言ったあと、鷹野には鷹野なりのこだわりがあって、自分はすぐに殺されない。だから出ていくのは自分だけで皆には逃げるように明るい声で彼女は話した。言葉もなく呆然としている中、圭一がかろうじて名を呼ぶと、梨花は皆を振り向いた。
「大丈夫なのです。ボクたちは絶対に勝てるって、ボクも皆も、そして神さままでも信じているのだから! こんなの。ピンチでも何でもないのですよ。にぱ〜」
心配そうに見ている皆を励ますというのももちろんあるけど、梨花には何の迷いもない顔をしていたのがいいね。本当に、彼女は心から仲間を信じているのだと思えるシーンだった。そして、梨花の「神さままでも信じている」発言のときに、羽入が頷いていたのもいい。
そして梨花は山狗たちに声をかけた。このときの、自分よりも遥かに小さい子どもに気押される山狗たちに苦笑した。戦闘のプロなのにね。
梨花が表に出て来ると、小此木は山狗たちに「行け」と命じた。約束を破る気かと梨花が噛みついたが、小此木は何の話なのかととぼけた。その態度に身体を翻したものの、梨花はすぐに捕まり、本当に舌を噛まれては困ると猿轡されてしまった。山狗の手に注射器があるのを見て、梨花は目を開いて最初に目にするのは愛しい仲間たちなのだと信じてると心の中で言いつつも、目には涙を浮かべていた。……そういや、終わりはいつも眠らされていたっけ。
ところが梨花の耳には男の悲鳴が聞こえた。驚く梨花の前に守るように立っていたのは、作業服を着た赤坂だった。彼は入江の無言の連絡を受けたあと、園崎家に向かうのを止めて追いかけてきた山狗を倒して彼らの中に紛れ込んで時期を窺っていたらしい。しかし今までよくバレずにいたな……。別にお互いが顔見知りでなくても成り立つ部隊だったのか?
小此木が行けと命じたとき、その場にいた山狗は5人。そして小此木を合わせたら6人か。少なくとも彼らをあっさりと倒した赤坂は富竹よりは強いということなんだね。また、小此木の攻撃が全く効いていないのにも驚いた。まともに拳を受けても平然としていたし。彼は物凄く身体を鍛えてきたんだね。ちょっと服の下の体つきを見てみたいと思った(笑)
赤坂の強さに怯えた小此木が「本当の拳を教えてやる」と赤坂に宣告されたとき、イヤイヤをしているのが笑えた。顔面にお見舞いしてやればいいのにと思ったけど、赤坂は車のフロントガラスに拳を叩き付けていた。しかし、小此木はそれで涙を流して気絶していた。今まで偉そうにしている姿しか見ていなかったので、面白いと思った。戦闘のプロだけど、赤坂は彼らの予想を超えた強さだったんだね。ま、銃を使われなくて本当に良かったよ。
突入した筈の山狗たちが慌てて外に飛び出してきた。その後には銃を構えた詩音と葛西が現れた。圭一が言うには、葛西が気絶してフリをして反撃のチャンスを作ったらしい。ここにも格好いい大人がいたねー。
梨花はそれを「奇跡のおかげね」と言ったが、羽入は皆で力を合わせたからだと答えた。そうねと返した梨花は、「この程度で奇跡じゃもったいないわね」と続けた。今度はこっちが打って出る番だと明るく言う羽入でBパートは終了〜。しかしいつから羽入が仕切るようになったのだ?(笑)
Cパートでも入江が詩音を診察していた。鼓膜は破れていないと入江は言っていたけど、銃撃戦でそうなったというんだろうか? でも、葛西は診てないからそれではないのかな。圭一に下に降りるように促したとき、詩音が耳打ちで彼に何かを言っていた。それは自分の想い人はもういないけど、魅音にはいるといったものだった。だから圭一が顔を赤くしていたのか……。
入江は詩音の想い人が悟史なのかと確認していた。「今頃どこにいるのやら。生きているのか死んでいるのかも、わかりませんけど」と詩音は足をモジモジさせながらそれを肯定していた。綿流し編や目明し編では、悟史が死んだと思って暴走していた詩音だったけど、悟史の頼みごとを思い出した詩音は、それ以後沙都子を大切にして悟史の帰りを待つ日々を過ごしているんだね。あの二つの世界以後は暴走なんてしていないのかな?
そんな詩音に、真相を知る入江は「生きています」と教えていた。詩音が信じることを続けたことと、梨花たちが皆を信じたからこそ詩音が報われたんだね。まだ終わっていないけど。
そして皆のところへ戻ってきた詩音は、最初に沙都子の耳を塞いだ。彼女に聞かせてはいけない話を始めるんだね。詩音はどうしても診療所に行かなくてはならない用事ができたと切り出した。そうか。悟史を助けに行くんだね。でも、大丈夫なのかな(汗) レベル5を発症していた筈だものね。
皆に話すと沙都子も行くと言い出すから話せないと詩音は言うが、梨花と羽入は真っ先に賛成した。ここでの羽入の言葉がいい。全てを見てきたからこそ言える言葉だよね。
梨花「詩ぃ……。きっとこれは詩ぃのために神さまがくれたチャンスなのです」
羽入「貴女は信じなかったことを悔い、信じ続けました。だから訪れた今日を大切に。貴女の強い意志の前に、目の前の苦難は、最早苦難ではないのです」
二人の言葉が励ましだとは解っているだろうけど、言っている言葉の意味が理解できないのか最初はキョトンとしていた詩音も、二人に笑顔を見せて上手くいきそうな気がすると言ってお礼を言っていた。
ようやく詩音の手が離れたが、沙都子だけ事態が飲み込めずに不満そうに頬を膨らませていた。そんな彼女の様子に皆が声を出して笑っていた。緊迫し通しだった中で唯一ホッとできるシーンだったね。
残りあと二話かぁ……。詩音が診療所に行くシーンなんて描いている時間あるのかな。再会するシーンを是非とも見たいんだけど。上でも色々書いたけど、一番不満に思ったのが圭一とかレナの扱いかな。一応台詞はあったけど、ああいった状況で一番冷静に打開策を思いつくのってレナじゃなかったっけ? それなのに魅音が取り乱してそれで終わり、なんてねぇ。圭一にしたって
何のためにいるの? と言いたくなるほど何もしていないし。本当にいるだけだった。これだったらPS2版の最終話の方が断然面白いよ。原作を知らない人間でもこうなのだから、原作を知っている人はかなり不満だったろうな。確かに赤坂は格好良かったけど、他のキャラにもちゃんとスポットを当ててほしいと思う。大石は今回全く出て来なかったしな……。富竹もあの状態から抜けだせるんだろうか?