劇場版 鋼の錬金術師シャンバラを征く者 完全生産限定版 プレミアムDVD BOX
向こうの世界でエドが生きていると知ったアルがする事といったらもう一つしかない。その場所にラースが導いたというのが意外な気がした。最後の方の彼はただ存在しているだけにしか見えなかったので、意思を持って行動したというのが意外だったの。
グラトニーとラースの戦いは凄かった。さすが劇場版という感じのクオリティ。そういうのにあまり関心を払わない私でも、この一連のアクションは素晴らしいと思った。でもグラトニーって、まっすぐラースだけを狙っていて、アルは完全に無視していたなぁ。これがどうしてだったのかわからない。
ラースの目的を知って泣きそうになった。そうだよね。イズミが死んだ今となってはラースに生きている意味はないもの。シグは父親と全く認識されていないのがあれ?と思うけど、この場合考えてはいけない事なのだろうな。それと、エルリック兄弟の生きざまが彼に影響を与えているのを知った時はちょっと嬉しく思った。最後に門の中からイズミが手を広げて迎えに来た時は本当にヤバかった。
そうして何とか泣くのを堪えていたら、今度はホーエンハイムが出てきたよ……。
また泣かすつもりなのかー!と思った(笑) あの状態では助からないのは明白なので……。アフレコの話を聞いた時は爆笑したけど、それは後の話だしねー。
原作でのホーエンハイムがまだ得体の知れない存在なので、混同してはいけないと思いつつ、ここで彼が罪がどうとかと話していた時は違和感を覚えた(苦笑) それにあんなに憎んでいたエドがホーエンハイムが行方不明になるまで一緒に暮らしていたというのにも。原作でもこんな風にぎこちないながらも「親父」と呼んでもらえるような関係になるのだろうかと少し考えてしまったなー。
なんて打っていると門が開いてしまった!
うっかり見入ってしまうので困ったな(笑) しかし、あの門を簡単に越えられてしまった事に複雑な思いで見ていた。しかもエッカルトが錬金術を苦もなく使えるようになっているし〜。
そしてようやく再会できたエドとウィンリィだけど、あっさりしていたなぁと少し不満に思ったかな。まぁ、そんな場合じゃないのは解っているけど、もう少し何とかしてほしかったなぁと思う。でも、ウィンリィの声を聞いて表情が変わるエドとか、抱き締めて「お帰り」とウィンリィが言う所とかは素直に良かったと思えた。
涙を見せたくなくて抱きつく所がまたいい!
技師としてもう立派にやっていっているというのが描かれているなと思ったのが、義手も義足もボロボロになってしまって倒れたエドに対して「私を誰だと思っているの?」という言葉。彼専属の技師として機械鎧をメンテし続けていたんだものね。二年くらいでどの程度成長したか予測できたってのが凄いよ。ずっとエドを待っていて、そして彼の機械鎧を持ち歩いていた事にも驚かされた。
わかっていたけど軍部の出番が少なすぎる〜。でも、出ただけで良しとしなければならないんだろうな。ロイは、前半では焔を錬成しないとか言っていたような気がするけど、それも最後のこの出番のために出し惜しみしていたとしか思えないほどの活躍ぶりだった(笑)
ロイアイ的には不満な映画ではあった。でも、TV版のあの最後で思いきりロイアイだったし、これ以上は二人については描かないだろうと何処かで書かれていた気がするので、主だった面々に命令した後に無言で中尉を見つめていたシーンだけでも喜んでいた。またその直後の、一人だけその場にポツンと残っていた中尉の表情がとても良かったよ〜。
その後の、彼の背後を守っているのは以前にも見られたシーンは、見慣れた場面ではあるけど久しぶりだったので満足していた。それだけでなく、慌ててロイを追い掛けようとする所とかもね。置いていかれて
「そんな! ウソ!」って叫ぶ所は以前にはなかった中尉の姿は、やはり以前よりも少しは関係が進んだのかなと思える素の彼女の部分に見えた。でもそれで精一杯だったのかなぁ。後は軍部の人間ではロイしか出てこなかったし……。
あ、そういえばアームストロングって軍を辞めていたんだね。ロイが彼の事を少佐と呼ばずに「アームストロング……殿」って、一拍開けて彼をそう呼んだ時に気づいた(笑)
エッカルトとエドの戦闘シーンでは、彼女の胸元の黒い顔が気になった。だって、彼女の表情に合わせて
動いていたんだもの! 最初は気のせいかと思っていたんだけど、そうではなかったみたい。そして物凄くシリアスなシーンなのに笑ってしまった。
エドと生身のアルとの二人が一緒に錬金術を使うシーンはまさに夢の共演だよねー。ロイが合流した後のやり取りとか、二人揃ってロイの後ろに隠れていた所は突っ込みいれたくなったけど(笑) でも、ロイって本当に強かったんだねーと、今さらなんだけど思った。そんな風にようやく描かれた活躍のシーンでも、あくまでエドたちのサポートだったんだね……。
あとはエッカルトとの最後の戦い。彼女が現れてすぐにした事は問答無用の攻撃だった。シャンバラ=錬金術の栄えた世界だったワケだけど、その扉を開こうとしたのは、その世界のノウハウを現実世界の戦争に使うためだと当初は言っていた。なのにどうして攻撃したのかと言うエドの問いかけに、彼女は恐ろしいから破壊すると答えた。……実際問題、一人の人間の力で世界を破壊できるとは思えないんだけどさ(苦笑)
彼女が言うには、本当に別の世界がある事を知り、そして自分たちを凌ぐ力があると知って恐いから滅ぼさねばならないと思ったんだそうだ。しかし、自分たちを凌ぐ力を持っている世界を攻撃して勝てるとどうして思えたんだろうね? その辺りに疑問を覚えた。いや、既に錯乱していたと見た方がいいのかな?
同じ人間だと諭すエドに対し、エッカルトは「違う!」と即座に否定し、姿形は同じでも別の世界の化け物だと断じた。……この辺りが民族主義一辺倒だった当時の世相を言いたかったのかなぁとか思った。中華民族は世界で一番崇高だとか、ゲルマン第一主義だとか、ユダヤ人に約束された土地だのなんだのとか。肌の色が違うだけで家畜以下の扱いをしていた時代もあったっけな。
ただ、そうやって他を認めずに破壊しようとする姿は、弱さの裏返しだなと思った。あんな姿で鬼気迫る表情で
「化け物」だと言ったエッカルトの方が化け物に見える。化け物だから殺せるという理屈は、戦争を始める者は仕掛ける相手を人間として見ていないんだな。でなければああも簡単に人を殺せる筈がないもの。
最後の別れのシーン。ウィンリィが解っていたかの表情だったので何も言えなくなった。最後の彼女の言葉がまた切なかった……。アニメ版で一番不満だったのはこれかな。でもまぁ、原作ではエドウィンは確定しているようだから、割り切るしかないかな?(苦笑)
エドに主張したその言葉通りにヒューズに撃たれたエッカルトは哀れとしかいいようがないな。まぁ、あの時の見た目は化け物そのものだったのだけど。皮肉なラストだったよね……。彼女を覆っていた黒い物が取れた後に、その化け物の正体がエッカルトだったと知った時のヒューズの
歪んだ表情が全てを物語っていたように思う。
しかしアルまで現実世界に現れた時はそんなラストかよ〜と思った。そして、この作品はやっぱりエルリック兄弟の物語りなんだなとも思った。どうやって兄の後を追いかけたのか、そんな暇があったのかとか、よくバレずに来れたなとか色々疑問が残るけど(笑) ああ、あと記憶が戻ってのがどうして等価交換なのかもよくわからなかった。もう一つ、何で五体満足に門を越えられのかなぁと。
何とかまとまったけど、
ハッピーエンドではないなと思う映画だった。話はそうだったけど、絵といい音楽といい、文句なく最高だった。特にエンディング直前に入ったアルフォンスの葬式でノーアの踊りは、音楽とピッタリ合っていて見とれてしまった。TVだと絶対できない動きだったなぁ。本当にこれで最後なのかと思うと残念でならない。来月に出るOVAは買うかどうか決めかねているし。
既に長過ぎるのだけど、明日は「Fate/stay night」の感想を書く予定なので、映像特典の感想は続きで(笑)