2008.06.10 Tuesday
あまつき 10話「そして、日は陰り」
JUGEMテーマ:あまつき
行き先を決めてもらおうと黒鳶に言われて、鴇は日本橋へと提案していた。これに黒鳶が天狗を信用しているということなんだと言うと、深い意味はなく勘で決めたと鴇は言うが、誰もそうとは思っていないらしい。
そこへ言いにくそうに朽葉が白紙の者とは何かと尋ねていた。鴇は彼女が知らないことに驚いていたが、鶴梅は一般には知られていないどころか一部の者しか知らない話だと言っていた。つまり、それだけの機密を知っているという黒鳶こそただの下っ端ではないワケで。鶴梅も自分の家で詳しく話そうと言っていた黒鳶に対してそう指摘して、佐々木の側近の間違いだろと言っていた。これにはさすがの黒鳶もしまったという表情をしていた。
鶴梅の油断のならない奴が同行者にいるという発言で、鴇と
黒鳶の家は薬問屋の大店だった。真朱が中に入ったら嬉しそうにしていたのは、こちらも見ていて嬉しくなる。そんな鴇たちを見ている尼さんがいた。
奥の部屋で白紙の者の説明を受けた朽葉は、鴇が白紙の者とはとても思えないと強調して言っていた(笑) しかし彼女は先入観を持たない鴇を、妖か人かで判断しない鴇のやり方についてだけは彼が白紙の者であると納得できると朽葉は背中を向けて話していた。
ここで興味深いのはやはり真朱。朽葉の話を聞いて、天狗の話になると険しい顔をしていたんだよね。鴇が天狗に利用されていると言った下りで。それは鴇の身を案じてのことなのだろうね。
そこへ黒鳶の妹・紅鳶がお茶を出してきた。紅鳶も黒鳶同様裏に通じている人間らしく、鴇たちに聞こえない声で兄に何か話していた。それは日本橋で殺しがあったという話だった。聞いていたら、妖は関係のない人の世の事件のようにも思えるが、何でも狐火を見かけるとか。
そこで黒鳶が二手に分かれようと提案してきた。日本橋を調べるのは黒鳶と鶴梅で、鴇たちはこのまま待機するようにと。しかしこれに鶴梅が異を唱えた。彼女は真朱の傍を離れるわけにはいかないと頑として聞かない。真朱を一人にはできないと言った彼女に、黒鳶は彼女よりも腕が立つ朽葉を指して、その心配はなさそうだと黒鳶は言うが、鶴梅は誰も信じていないからだろう。一歩も譲ろうとしなかった。
そこへ鴇が両手をパンと打った。そうやって彼は険悪なムードを再び一掃させた。鶴梅と黒鳶をたしなめるだなんて、良く見ているなぁ。黒鳶にいじめっ子でしょうと聞いた時に紅鳶がうんうんと首を縦に振っていたのが笑える。その場を収めた鴇をまたもや真朱が彼をじっと見ていた。ここで真朱だけでなく、鶴梅も鴇を少し見なおしたのかもしれないね。
しかしここでの一番の疑問は、黒鳶がどうして鶴梅と一緒に行動しようとしたかということかな。鴇が先ほど指摘していたように、彼には鶴梅の反応が面白いからなのかな?
今度は梵天と彼を頭と呼んだ青年の場面になった。口調の荒いこの青年、腕に入れ墨があるなとまず思った。しかし彼は露草の行方を知らないようだった。
煤竹と呼ばれていたこの青年が入れ墨をしているのは格好いいから真似てやったらしい。しかしこのため咎人と誤解されて投獄され脱獄したらしい。では前回同心が話していた脱獄囚とは煤竹のことかと思ったら、本当の脱獄犯が傍にいた。
医者だと紹介されたその青年は、手術に使う自作の薬を盗まれたのだと話していた。阿片なのかと問う梵天に彼は鎮痛剤だと答えたものの否定していなかった。煤竹は同時期に投獄されたという縁で、また彼が冤罪のようだから脱獄するのを助けたと言っていた。薬を持っているから黒幕だと同心から見られて捕えられたのだと話していた。
日本橋で起きた殺しは、この医者から盗んだ薬を売っていた人間だったという関係性があった。しかしどう見ても人の世のできごとで、梵天とは関わりが無さそう。
外に出た梵天は空五倍子を呼んだ。舞い降りた空五倍子は、露草は見つからないが、気になる者が落ちていたから拾ってきたと言っていた。彼が拾ったのは平八だった。彼からは露草の臭いがし、傷の手当てに使われている薬も露草のものに見えると空五倍子は平八を連れてきた理由を説明していた。腕がどうなったのかと思ったけど、あれからすぐに露草は平八の手当をしてくれていたんだね。ではその露草はどこへ行ってしまったのだろう?
険しい顔をして平八の傷の辺りに触れていた梵天は、彼が気づいたので離れた。そして露草の行方を尋ねていた。平八は露草の名を聞いて梵天の腕にすがるように掴んで助けてくれと頼んだ。自分はもう一度露草に会わなければならないのだと。
今度は沙門か。蔵の中を調べることにしたらしいね。何も見つからないと零したとき、床に何かの塊を見つけた。埃かと思って沙門は触っていたけど、あんな風に溜まる埃なんてないと思うぞ。
しかし手触りに埃ではないと沙門は確信していた。何か知っているものだったんだね。しかもその後に画面は天井に移動していた。最初見たときは何かわからなかったけど、あれは倒された稲荷の主の一部で、その洞の中には袋があって、その中から白い砂が出ていた。それが下に落ちてたまり沙門に見つけられたということか。そしてこれが阿片であの医者が盗まれたものだったと。なるほど、これで繋がったかな。
黒鳶と鶴梅を見送った鴇が中に戻ると、入ってきたときに彼らを見ていた尼が声をかけた。鴇があまつきに飛ばされたとき、最初に彼を診ていた人物だったのか。そういや薬問屋だから医者である彼女が着ていても不思議ではない。
この尼さんは鴇が知人の用でここに来たのだと話すと、沙門と一緒に出てきたのかと尋ねていた。この店の近くにある中村屋に沙門が来ていると彼女は話していた。すると何やら顔は見えないが朽葉から何か聞いたことのない効果音が聞こえた(笑) 鴇が言うにはあからさまに喜んでいる気配らしい。
鴇に対しては親しみを込めて話していたというのに、彼の後ろに朽葉がいると知って彼女の話し方が少し変わっていた。見れば手を見ると震えていた。何とか普通に話そうと努めていたが、内心は朽葉を憑きものつきと忌み恐れているんだね……。
しかし朽葉は尼さんの様子とかそそくさと立ち去ったことを気にしていないようだった。それだけ沙門が近くにいることが嬉しいんだね。それに対して鴇が敵わないなぁと一人で落ち込んでいた(笑)
紅鳶に尋ねると、この店から近いと地図を出して説明してくれた。そして鴇は見覚えのある地形を見て、急に彼岸のことに思いを馳せてしまった。確かにね。同じ川の名、池の名を見たら自分の家がその近くにあるなら、ないと知りつつも考えてしまうものだよね。
朽葉は沙門が出てくるのは変だと言い出した。沙門がここまで出てくる可能性は妖関係しかない。そう断言した朽葉に、鴇は確認しに行くことに決めた。今までバラバラだったシーンがようやく一つに繋がるんだね。
二人の話を聞いていた真朱が、自分も連れて行ってほしいと言い出した。妖関係の依頼があったから沙門が出てきているのだから、そこが危険でないはずがない。だから鴇は彼女の留守番をするように言うのだが、真朱は涙を浮かべて駄々をこねていた。朽葉が自分一人で行けばいいのだと言っても、皆で行けばいいんだと真朱は譲らない。
……いいなぁ、真朱。鴇たちに甘えたいんだね。可愛いよ。しかしこれに紅鳶が店の人間に鴇と朽葉が出かけるから見送るようにと指示を出していた。真朱は嫌だと言ったが、紅鳶には真朱の気持ちが解っているようだった。
ちょっとだけ待っててくれるかな。真朱の頭を撫でて鴇がそう言うと、紅鳶にくっついて顔を見せないようにしていた真朱が彼らがいない場所へ離れてしまった。拗ねた真朱が可愛過ぎる(笑)
心配する鴇に、紅鳶は気にしなくてもいいのだと言っていた。そして甘やかしてくれる鴇を、真朱が無意識に銀朱と重ねているのだと説明していた。鴇が見たときの紅鳶のあの笑顔は何だったのか。
一方、平八は梵天たちにいきさつを話していた。彼が露草を連れて行った場所って中村屋だったんだ。……ええとそんな説明あったかな(汗) 私が忘れているだけかな。しかしこれで完全に繋がったなぁ。沙門が今そこにいて、鴇と朽葉がそこに向かい、梵天たちもこれからそこに向かうんだろう。
ただ、最後に梵天は平八に何をしたんだろう? 彼の記憶を見ている? あれは痛みで、というより驚いて叫んでいるのかな? 何にせよ、露草に会ってから彼は散々な目に遭っているなぁ。それでも露草にもう一度会うために、平八は梵天たちについて行くんだろうね。