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コードギアス 反逆のルルーシュ DVD9巻&Sound Episode6 感想



コードギアス 反逆のルルーシュ volume09 (最終巻)

コードギアス 反逆のルルーシュ Sound Episode 6

 今月でとうとうDVDもドラマCDも最終巻になってしまった。第二期がいつ始まるか判らないので、それまでは発売済みのものを見て過ごすしかないんだろうな……。

 まずはDVDの感想を。最終巻だけあって、映像特典が多かった。特典物では、設定集とかCLAMP作画の漫画とかは良かったのだけど、ピンバッジとかハンカチとかはいらないと思ってた(笑) 今回ようやく全巻収納ボックスがついてきた! これが一番嬉しい。TVシリーズだと巻数がかさむのにバラで出ると辛いものがあるんだよねー。しかもCLAMPの描き下ろしだし! ……上記に上げた特典物だってCLAMP絡みだし、結局はCLAMPのものがついてくれば私は嬉しいのだと思った(笑)

 本編は既に……通常でも2、3回見ていたし、感想を書くためにも更に見ているため、今まではDVDを購入しても映像特典を見て終わりであとはしまっていたというのに、今回は23〜25話までしっかり見てしまった(笑) これは、23話と24話の間が開いてしまったからだろうなぁ。もっとも、24話&25話スペシャルが放送されたときも23話を後から見てはいたんだけどね。当時はスザクの怒りについていけてなかった。作中の時間では23話の後なのに、こちらにとってはあまりにも久しぶり過ぎだったものだから……。

 ブックレットには監督のインタビュー記事が載っていた。その中で、最後に今まで築いてきたものをナナリーのために全て捨てたルルーシュに対して視聴者がどう思うか、という点では私は監督が思ったようには全く思っていなかったなぁと思った。まぁ、監督が言っていた対象は中高生だったので、対象年齢から外れている私の考え方はどうでもいいのかもしれないけど(苦笑)

 オーディオコメンタリーは最終話の25話で、福山さんとゆかなさんと小清水さんとそして櫻井さん。今まで演じてきた自キャラについて最初にコメントしていたのだけど、そこで一番変わったのがC.C.で、変わらないのがスザクだと言っていた。カレンは、最初と最後ではゼロに対する気持ちが変わっていると言っていたっけ。カレンはゼロに巻き込まれて……と皆が言っていた(笑)
 しかしジェレミアが出てくると真面目な雰囲気がガラッと変わっていた。特にあの「見える……見える……」だったか、あのシーンは櫻井さんがお気に入りと言っていたっけ? しかも「ジェレミア様」と呼ばれていた!
 もう一人、玉城は「玉城タン」と小清水さんが言っていて、ゆかなさんも愛すべき馬鹿と評していた(苦笑) 彼がどうして学園にいたのかという話題は爆笑ものだったかも。井上と玉城が入れ代わっていたら、彼女の名前を叫んでいたキャラ(名前は覚えていない)も反応が違っていただろうというところがおかしかった。

 また、衝撃のあのラストを迎えて皆さんが一様に「えーーーーっ!?」と叫んでいた(笑) 視聴者を代弁していると言っていたけど、それはとても正しい。最終話とはいえ、第二期が決定している以上、続きは待てと言うのは判る、というかあれ以上の終わり方にはできなかったと思うけど、あまりにも酷い終わり方だったのは確かだ。
 それからゆかなさんがあの最後のシーンでルルーシュが口でも負けてしまったと言っていた。言われて始めてそうだと気づいた。衝撃が大きすぎてそこまで気がいかなかったよ(苦笑) それから、ゼロの仮面がスザクの銃弾によって真っ二つになったときのコメントには吹き出しそうになった。後は、カレンが映されたときに小清水さんが「巻き込まないで」と先のコメントを引き摺ったかのように呟いているのも面白かった。

 今回映像特典が多かったのだけど、一番最後にピクチャードラマを見て、その前がオーディオコメンタリー版25話を見ていた。それ以外は上から順番に見ていたのだけど、その多さに本編を見ているんじゃなかったと正直思った。いやだっていつものことながら時間が……(苦笑) それでもユフィの最期のシーンで泣いていたのだけどね。
 さて、放送時はOPとEDは一つしかなかったのだけど、収録されていたのは勿論それぞれにOPとED、そして予告があった。それだと放送した分はどこにいったの!?と思っていたら、映像特典として全て収録されていた。続編の特報も入っていたのも、24話&25話スペシャルの番宣まで入っていたのには驚いた。さらにPV集もあって、放送前の番宣は全てのバージョンがあり、DVD告知も見たことのないバージョンもあった。一つだけ、あの全てのファンに忌み嫌われていたあの歌が宣伝も兼ねてバックに流れていたのがあった(汗) それがとても辛かったけど、こんなにあったのかと驚いて、それらを全て収録されていたのが嬉しかった。

 ピクチャードラマは、スザクがユフィの名を騙ってルルーシュに電話をする直前のシーンが描かれていた。これは是非とも聞いてほしいと思う内容だった。
 子ども時代、ルルーシュがスザクに「ブリタニアをぶっ壊す!」と言ったとき、スザクがどう思ったかというのが描かれていた。あのとき、彼はただルルーシュを見ていたけど、その表情の裏にはそんな思いがあったとは思わなかったなぁ。

「いつだって差し伸べられる手はあるから」

 ナナリーの言ったこの台詞に今のルルーシュを重ねてしまった。今の彼にはC.C.以外で手を差し伸べる人物がいるのだろうかと思って。ナナリーと、それからあんな状況になってしまっても、カレンや扇には手を離してほしくないと切に願うよ。

 ルルーシュのぶっ壊すという発言を聞いて、それを間違った答えだと当時のスザクは考えていた。自分が父を殺してしまったがために引き起こした現状を悔いてそういう考えに至ったスザクは、そのとき自分がしでかしたことをルルーシュに話せば違っていただろかと現在のスザクが考えている間に、再会してからナナリーとルルーシュと共に過ごした日々のシーンが映っていた。もう戻らない幸せなシーンなだけに悲しくなってくるなぁ。

 そして厳しい瞳で電話をかけようとするスザクの絵が映ったときに考えていたことを聞いて、そんなことを考えていたのかと思った。復讐の鬼と化していたスザクだったのでちょっと信じられないのだけど。
 ……本当は、ここまで長々と書こうとは思っていなかった。聞き終えた瞬間、内容に関することで書こうと思ったことは、スザクの台詞一つだけだった。

「生まれに縛られていた僕にとって初めての敵で、そして、俺にとって最悪の友だちになった男」

 なんて重い言葉なんだろうと思った。これを聞いただけで身体が震えそうになったもの。僕と俺を使い分けている点もポイントだよね。

 次はドラマCDの感想。こちらも最終巻で、ジャケットは描けるだけ描いたという感じだった。とても明るい雰囲気なんだけど中は……。キャラソンに関しては今回も特に言うことはないのだけど、歌詞の中でルルーシュに向けたと思われる言葉に辛いなぁと思える箇所があった。
 今回CDを買って不快に思ったことがある。それは付録についていたドラマも収録されていたということだ。私はそれを知ってそのためだけに雑誌を買ったというのに……。収録されるのなら買う必要がなかったではないか。入手できるのは○○だけと言っておきながらこういう事をするのは詐欺ではないだろうか? 限定版にしかない、と言っていたくせに後々何かでまとめてしまうというのも同じだな。

 内容は、ルルーシュとリヴァルの出会いで、彼があのバイクを買うきっかけというものだった。子ども時代の物語は、前回で1話のアバン直前に入っていたのでなかったとしても仕方がないか。今回のは友人として最後の会話を交わしたルルーシュとスザクというものだった。その中で、マリアンヌの勇姿が聞けたのが良かった。あの姿からはとても想像できないなぁ(苦笑)
 歌一曲、ドラマはそのおまけのも合わせて四つ。感想を一番言いたいのは上記で挙げなかった二番目の「帝国の兄妹」だった! これにはルルーシュたちは全く出て来ず、シュナイゼルとコーネリアとクロヴィスが出てきた。キャストを見てクロヴィスが出てくると知っただけでこの話が一番いいんじゃないかと聞く前から思ってしまった(笑) しかし、声だけでも彼が出てくるだけで場が華やぐのは何故なのか。
 ユフィが今年で13歳になると言っていたので三年前の話になる。本編でも思っていたのだけど、異母兄妹だというのに彼らは仲がいいんだなぁ。皇位継承権をもっているというのに。穏やかな会話中にも腹の探り合いをしているのだと思えなくもないが、ユフィに対する愛情は皆本物だし、クロヴィスを優しすぎると総督には向かないと言うのだってコーネリアが彼を愛しているからこその発言だと思うと、兄妹愛は本物としか思えない。ルルーシュとナナリーに対する皆の愛情だって本物だ。なのに、ルルーシュは彼らと縁を切ってしまったんだなぁ……。それだけでなくその手で殺してしまったのだし。いくら肉親が殺されて父親を憎いと思っても、こういう穏やかな兄妹の会話を聞いてしまうと、ナナリーのためだけに生きているルルーシュを寂しいと思ってしまう。
 ルルーシュが眠る地へ赴いた筈のクロヴィスは、その当人が生きていて自分に容赦なく銃口を突きつけるなんて思いもしなかっただろうな。そしてそれは私も同じ。早々に退場してしまった彼について情報が何もなかったので、死んでから色々判って残念に思った。

 修羅の道を歩んでしまったルルーシュには、映像特典の中で何度も言われていたことだけど退路はなく進むしかない。しかも、進んだ先に幸せな未来なんてなくただ死があるとしか思えないんだよね。いずれナナリーにも兄が自分のために何をしてきたかを知ることになるし……。兄と共に生きられるならそれでいいといつも言っているナナリーは、それを知っても兄を受け入れてくれるのだろうか? 続編が早く見られるように祈るばかりだ。

at 19:10, 真神恵, コードギアス

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機動戦士ガンダムOO 披露宴

 ……直前まで迷っていたのだけど、うわぁ、ガンダムってカテゴリに入れるのに抵抗があるなぁ。しかし、種シリーズも入れていたし、カテゴリは無制限に表示できるわけではないのでこうした方がいいかもしれない。
 まぁ、大して期待もしていないというか「おお振り」がなかったので他に書くこともないし思ったことを書こうと思う〜。

 先週にも少し書いたけど、タイトルは正しく書いてほしいものだな。だって、どこに豪華芸能人がいるんだろう?? 豪華な芸能人、ではなくて単に芸能人が出るから豪華って言いたいだけ? メッセージだけを送ってくれた人の方が豪華だったと思ったのは私だけではないはずだ(苦笑) えと、顔はなかったけど古谷徹さんと戸田恵子さんとラルクアンシエル。それくらいなのでは?
 笑えたのがCM! 開始早々、ガンダム系のものばかりしていた(笑) というか、どうして「ガンダムW」がまたDVDボックスを出すのだ? ちょっと前に出たばかりではないか……。この「ガンダムOO」が「W」と似ていると言いたいのかと思ってしまったよ〜。

 さて、中身についてなんだけど別に真新しいものはなかったなぁ。ネット環境がある人にとっては見なくてもよかったものだろうね。こんなものに30分費やすくらいなら「地球へ…」を一話増やした方が良かったんじゃないだろうか? 情報らしい情報など教えもしないで、ただスタジオに来ていた芸能人がどれだけガンダムを知っているかを語っているものだったし……。
 こちらでも笑えたのが、やっぱりあったファーストの説明でのときだったシャアが話しているのを見た女性芸能人が、「シャアの声だ〜」とか言っていたところ。当たり前だろうが(苦笑) あの場にいたのってガンダム好きな芸能人だったんじゃないの? あるいは出るからとにわか仕込みで見てきたとか。わざわざ「シャアの声」なんて発言をするなんて何を考えていたのだろう?

 不可解なのが、来週には完全版を放送すると知らせが出ていたこと! だったら別に今日放送しなくても、来週の深夜に流せば良かったんじゃないか??

 他には、種シリーズで女性ファンが増えたと言っていたっけ? 女性って…。そっち系しか興味のない奴らのこと? もともと女性でも好きな人は好きなんだよ! あれって、ガンダムという話よりは単なるキャラ萌えなだけだったんじゃないの? あとは声優人気と。まあ、それでDVDやCDや関連グッズが売れたのは確かなんだろうなぁ。ガンダムファンの人は……そうだな、コアな人だったら「G]、いや、もしかしたら冨野さんが監督していても「V」から買ってないんじゃないだろうか?
 ガンダムという名前が使われた作品についてもざっと説明してくれたけど、「V」や「∀」はまだ冨野さんが監督していた作品だったからいいけど、他の作品まで一緒くたにしてほしくないなぁと思った。私は「G」は面白く見ていたし、「W」も「X」も嫌いではなかったのだけど、やっぱり「ファースト」「Z」と「ZZ」と同列には見られないなぁ。

 キャラデザに関しては文句しか出てこないけど、最初はあれほど忌み嫌っていた種シリーズでも慣れていってしまったので、今回もそうるのだろう(苦笑) で、新作品が始まったら例外なく触れていた声に関しては……。メインキャラ四人の中ではとくに好きな人がいないんだよね(苦笑) これがクリアできていたらもうちょっと違っていたのかもしれない。ま、脇役ではチラホラいるからそれが救いだな。あとは触りだけを見たときに大塚周夫さんの声を聞いたときは豪華だなと思った。

 とりあえず「おお振り」が終わるまでは感想は日曜日にアップして、終わったら土曜日に書くとしようか。

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at 23:59, 真神恵, ガンダム

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DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 25話「死神の見る夢は、黒より暗い暗闇化か?」

 前回はOPがなかったけど今回はあった。途中からリアルタイムで見て、見終わって首を捻った。CMあったっけ? 翌日確認したら、いつもだったら提供のあとにすぐ本編に入っていたのに、先にCMを入れて最後まで放送してくれていたんだね。

「ゴメンね。私にはもう、時間が残されていないの」

 黒と銀が辿り着いたときには笑顔だったアンバーは、今回一転してはかない表情を浮かべていた。また、その口調は辛そうに聞こえた。あと一度しか力を使えないから時間が残されていないというのはわかるが、あの口調が気になった。しんどそうだったのは、幼い身体だとあの空間では耐えられないとかそういうことなのかなぁ?

 斉藤と河野が様子を窺う向こうではパンドラの部隊と契約者たちの戦いが続いていた。あの子どもの契約者二人は、一人が攻撃でもう一人が防御担当のコンビで戦っていたようだけど、後ろからの攻撃であっさりやられてしまっていた。……ウェイが力に頼りすぎているとか言っていたけど、彼らもそうだよね。何で後ろから攻撃されると考えなかったんだろうか? それともあの防御って一方向のみ有効だったというんだろうか? まるで戦争だ、と今見たことに呆然としていると、そこへ松本が車でやってきたので二人はそれに乗り込みパンドラに向かった。

 アンバーが語る真実。契約者はあるときから変わり始めた。それは誰が、ということではなく少しずつ変わっていったのだという。そして気がつけば契約者同士を「仲間」と呼び合い情報を持ち合うようになった。その中には黒の妹もいたのだという。そして組織の計画を最初に知ったのも彼の妹だった。驚く黒を見て、アンバーは兄を巻き込みたくなかったから何も言わなかったのだと教えた。
 アンバーが語った内容で一番驚いたのが黒が契約者でなかったという事実だった。そうだとしたら、彼が対価を払わないのも納得できる。納得できるが、ではどうして契約者のように力を使うことができるのだろうか?
 アンバーたちは、契約者の人権を普通の人間たちが認めないだけでなく、契約者全てを消そうとしているので、自分たちが生き延びるためにエクスプロ−ジョンを起こそうとしている。黒が計画に参加するなら人か契約者かのどちらかを選ばないといけなくなる。確かに人である黒にとっては決められないことなのかもしれないね。
 これまで黒は妹の命を奪ったのがアンバーだと勘違いして彼女を憎んできたけど、パイが姿を消したのはアンバーのせいではなかった。契約者たちが起こした行動に対しても、妹は自らの意志で参加していたし。
 パイはいつから変わったのか。その問いにアンバーは知らないと答えた。ただ、黒が契約者となった彼女を受け入れるため、黒が組織の命令に従うたびにパイは少しずつ傷付いたり悲しんだりして変わっていったんだと思うとアンバーは話した。何故解るのかというと、自分もそうだからとアンバーは続けた。更にそれは銀も同じだという。今はまだ解らないかもしれないが、ド−ルである銀たちも変わり始めているのだとアンバーは言う。
 結局、ゲートを作ったのは誰なのか意図も不明のままだった。しかし自分たちが交わした契約は何かの始まりにすぎないとアンバーは言っていた。何故今まで話さなかったのかという問いに、アンバーは黒が今でないと自分の話を信じられないからだと答えていた。信じる信じない以前に、黒はアンバーを憎んでいたじゃないの(苦笑) 普通はそんな相手が何を言おうとも聞く耳は持っていないと思うけどな。

 そのとき、銀が「もうすぐアレが来る」と伝えた。契約者とゲートを完全に消してしまうもの。私たちの止めたもの。アレという言葉に疑問符を付けて言う黒にアンバーはそう答えた。そして時計を見ていたアンバーは黒に振り返り「妹に会いたい?」と尋ねた。
 アンバーは力を増幅するレンズを手にしていた。そこへ到達する前に砕いた筈なのに元に戻っているのを不思議だよねと言いながら。何のつもりだと問う黒に、アンバーは南米のときと同様に、アレが来る前にパイの力を解放すると告げた。そうすればヘブンズゲートのように誰も近付けなくなるからと言って。
 だから黒、お願い。そう言ってレンズを差出すアンバーに、自分に何をしろと言うんだと黒は戸惑ったように尋ねるのだが、アンバーはもう気づいてる筈だと黒を真直ぐ見つめて言った。

「パイはずっと黒の中にいる。彼女が死んだと黒が思ったあのときからずっと。電撃は、パイの能力の始まりの部分でしかない。本当の力は黒、貴方が一番よく知っているはず! さぁ黒、パイに会いに行こう?」

 意味がよくわからない……。パイは肉体が滅んで精神が黒の中に宿っているとかそういうこと? で、彼女の対価はしばらくの眠りで、黒が力を使うたびに対価は彼女がちゃんと払っていたというカラクリだったのか?

 力を解放するように言うアンバーに、しかし黒は「この街はどうなる?」と尋ねた。自分が力を解放したら、妹に会いたいと望めば、契約者も人間もこの街で暮らす者たちはどうなるのだと。南米のときのように消えてしまうのかと。それを肯定するように、厳しい眼差しで自分を見つめるアンバーに、黒は「俺にはできない」と力なく答えた。黒が力を解放しなかったら、銀や自分も含めたこの星の全ての契約者が、黒一人を残して消えるとだけアンバーは告げた。……黒が迷うのがわかっていたからパイは兄には何も告げていなかった。

 西島たちがアレの最終調整を始めていた。シュレーダー博士が「いよいよだよ〜」と悪そうな顔をして言い、西島は発射ボタンを押す準備をしていた。その前に西島は全モニターをつけろと言っていたけど、このときの博士との会話が面白かったな。西島は博士を用済みとは思っていても、別に彼を始末するとかそういう気持ちはないらしい。実験に協力的だからなのかな。
 いよいよ発射時刻が迫ってきた。カウントダウンに入ると西島が告げると、博士が喜々として自分がやりたいとマイクを握っていた。やることは残酷なことなのだけど、子どものような博士を見ていると笑ってしまうなぁ。
 それまで一言も発さないで事態を見ているだけしかできなかった美咲は、博士のカウントダウンが始まって、モニターに中心付近の映像が映るとそこで起きていることを理解した。そしてBK201は戸惑っているためエクスプロ−ジョンを引き起こさないと必死に訴えたが、彼女の言葉に耳を傾ける者はいなかった。

 そして西島が発射ボタンを押す直前、アンバーはレンズを黒の身体に押しつけていた。博士のゼロカウントを告げる声とともに西島がボタンを押してから、中心地点から光が発生した。そしてその光は全てを覆い尽していった。……あれがエクスプロージョン??

 白い世界の中で黒は独りで歩いていた。姿は子どもになっていて、目は虚ろな状態に見えた。しばらくすると白かった世界から靄が晴れて、上空には星空が現れた。それを見上げるなり黒は座り込んで嫌だ、こんなことはしたくなかったと泣き始めた。エクスプロージョンを起こして東京に、いや、博士の説明によれば日本全域と言っていたか、とにかく自分が原因で全てが消えてしまったことを悔やんでいた。

「どうしたの?」

 その背中に声をかけるのは黒より大きいパイだった。組織に身を置いた黒が命じられるままに人を殺しているまだ幼い黒が「どうもしない」と冷たい目をして答えると、パイすぐに「嘘!」と返した。嘘じゃないと否定する黒に、パイは「だったらどうしてお兄ちゃんは泣いてるの?」と尋ねた。それは前回見たシーンだった。黒が眠るパイの首を絞めようと手をかけたあのときの。あのときパイは兄が泣いているのを見ていたんだね。
 パイは自分を受け入れるために兄が望まぬことをしていると気づいていたと告げた。それに黒は「違う!」と答えたが、振り向いた顔には仮面が付けられていた。それこそが黒の気持ちだったんだろう。黒が仮面を付けていたのは、単に敵に顔を知られないためだと思っていたけど、本当は仮面を被っていないと任務を果たせなかったということだったんだね。すぐに取れてしまっていたけど、あれは黒の精神を守るためだったのね。
「違う! 俺は黒の死神だ!」
 黒はそう言うが、仮面を着けているだけにそれが強がりにしか聞こえない。そんな兄の言葉にパイはそっと仮面を外して「そうじゃないよ。お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ。だからもう、無理しないで」と言って悲しそうに微笑んだ。外された黒も泣きそうな顔をしていた。
 二人しかいなかった空間に現れたのは黄だった。黒の胸ぐらを掴んで放り投げた先にはマオが座っていて、驚く黒の後ろにはノーベンバー11までもが現れた。

黄「まぁったくふざけやがって! 無理して粋がってんじゃねぇよ! お前のその、どっちつかずの態度に俺がどれだけ振り回されたか、わかってんのか!?」
マオ「だが、それが黒の面白いところでもある」
ノーベンバー11「でもまさか、その存在までもがどっち付かずだとは思わなかった。どうりで契約者らしくないとは思ったがね?」
黄「わかったか? ただの人間のお前が契約者の振りをするから話がややこしくなるんだ! どっちか一方が無理なら、両方取れ!」
マオ「契約者らしく、そして人間らしく」
黄「それよ」

 黄を除いて黒に関わった契約者たちが現れた中に、ウェイがいたので不思議な気分だった(笑) それに黄は死んでからの方がいいことを言うではないか。
 ポカンとしていた黒は、黄の言葉に心を決めたようだった。そこに水を差したのはアンバーだった。昔の姿に戻っていたアンバーは両方を選んだ先には困難しか待っていないと告げて「それでいいの?」と尋ねてきた。組織はどんな手を使ってでも黒を追ってくる。アンバーがそれでいいのと尋ねたのは、そうなるとまた人を殺さざるを得ず、後で黒が苦しむのが解っているからだった。妹に会えて本当の星空を見ることができたのに、戻ればもう手に入らなくなる。それでもいいのかと尚も問おうとするアンバーに、黒は何も言わず彼女を抱き締めた。
 アンバーの行動は、全て黒のためだったのか? しかしノーベンバー11はアンバーが黒を手放したくなかったからではないかと指摘していた。何かを言いかけた黒の口を塞いだアンバーは、パイが差し伸べた手を取って彼女の隣に並んだ。そしてパイは満足そうな顔をして兄にさよならを告げた。

「さよなら、お兄ちゃん」
「さよなら……シン」

 対する黒の表情にも迷いはなくなっていた。妹の次には黒を諭しに来た皆に、そして最後にアンバーに別れを告げると、再び白い靄が周囲を覆った。驚く黒の前には再び幼い姿のアンバーが現れた。悲しげな表情で黒を見つめるアンバーの姿がどんどん遠ざかっていくと思ったら、次の瞬間黒は濁流に飲み込まれた。黒い空間を漂う黒に、上空から銀の声が聞こえてきた。

「黒、帰ってきて! 私を独りにしないで!!」

 呼ばれた瞬間に、黒は銀の名を呼んでいたけど、彼女には聞こえていないらしい。そして黒は流れに逆らい声のする方へ手を伸ばした。感情らしいものが目覚めてきた銀だったけど、ここまで感情的な声を発したのは初めてだった。あのまま黒い……虚無とでも言ったらいいのか、あの空間に落ちていったら黒は死んでいたんだろうか?
 黒が意識を取り戻すと、彼は銀に手を繋がれていた。黒の名前を呼ぶ銀の声は元の感情の含まれない声だったけど、心の声はあんなにも黒を必要としているものだったんだね。アンバーは黒に今は解らないかもしれないけどと言っていたが、これで銀にも普通の人間のように感情が芽生えていると知ることができたよね。
 気づいた黒がアンバーのことを尋ねると、銀は彼女がいた場所を向いた。その顔は悲しそうな表情に見えた。アンバーが時計の前に立ったときは時計の針は7時ちょうどを示していた。その時計を見上げると熱で変形してしまった針がその15分前を示していた。アンバーが最初からそのつもりだったと知り、黒は自分の成すべきことをしに目的地に向かった。

 時間が巻き戻ったのでパンドラ内では同じ光景が映し出されていた。しかしボタンを押す直前に映し出された中心部のモニターには誰もいなかった。BK201は戸惑っている、中心地にはいない。どちらにしてもエクスプロージョンは起こらないのに、契約者を根絶やしにする作戦はそれが起ころうと起こらずとも関係がなかった。パンドラの言い分はここで実行しなければ、次の大黒斑の出現時に同じことが起きる脅威から逃れるためだとなるんだろうな……。
 しかし、今度はボタンを押しても何も起こらなかった。黒がシステムを破壊したためだった。そしてその場にいる全員の身体が光りに包まれていた。このとき、ボディチェックを受けたときに没収されたレコーダーが何故か美咲のポケットに戻っていた。これはアンバーの仕業だろうか? 契約者も人間だと言い切った美咲に後のことを託したということなのだろうか?
 施設が爆発して青空が見えるほど天井が吹き飛んでしまった。西島はそれに構わず第二射の準備にかかれと命じていたが、それを博士は無駄だと言って止めた。理由を問う西島に、システム内の反ゲート粒子が、BK201の放った電撃に伴なう特殊粒子光により完全に変異してしまったからだと答えた。今の彼の電撃はただの電磁波ではなく、物質そのものを粒子レベルで変異させてしまうのだと言う。それは普通の人間が契約者になってしまうようなものだと言って、博士は説明を終えた。
 博士はやっぱり単に実験が好きな科学者だった(笑) 南米のときのように不可侵領域を作ると思っていたのに、サターンリングにピンポイントで攻撃してくるとは思わなかったと笑顔で「一本取られた」と感心していた。これに西島もとうとう本性を出してしまった(苦笑)
 博士を殴り摘み出せと命じた西島に、宝来は銃を向けて躊躇いもなく彼を射殺してしまった。撃たれる直前、西島は「組織が私を切るはずが……」と言っていたが、失敗したら殺すように宝来は命じられていたんだね。

 宝来は表情を変えず西島を撃ったあと、遺体に近寄りその手に銃を握らせた。職員全員が逃げたあと、その場に残っていたのは宝来と美咲だけだった。そして宝来は自分たちは潜入捜査をしており、対象の西島の容疑は国連法違反と内乱罪だと言った。すぐにそんなものが思いつくなんて、これまでいったいどれだけの人間を葬ってきたんだろう……。
 美咲は宝来に組織のそれが組織のやり方なのかと尋ねていた。そしてエクスプロージョンの危機が去っていたにも関わらず、西島と共に契約者の大量殺戮を目論んだと確認を取っていた。先に仕掛けたのはEPRではなく組織の方だった。美咲はそれを指摘するが、宝来に証拠はと問われると答えに詰まった。しかし真相はいずれ明らかにされ、歴史の中で判断お下されるときが来るとだけ返した。いずれにせよ、今回の一件で契約者の存在が明らかになるのは避けられない。そうなる前に全てを闇に消し去るべきだったと語った宝来に、美咲は充分ですとだけ言って会話を打ち切った。そして録音したとレコーダーを見せ、同行を願い出た。
 宝来は美咲に「第三の道を選択したと言うワケか」と言うや否や、彼女を殺そうとその首を締め付けた。苦しむ美咲に、彼女が選択した未来だとより激しい社会しか待っていないのに何故わからないのだと言っていた。人類はより契約者を憎み、契約者はより人類を憎む。その先に待ち受ける未来を想像し、宝来は美咲に「誰よりも平和を愛する君がそんなことが解らぬ筈では……」と言うけど……平和を愛するから宝来たち組織のやり方に異議を唱えるんじゃないの。それこそ、そんなことも解らないのかと言いたい。
 その宝来の腕に黒のワイヤーが絡んできた。電撃を浴びたものの、彼の腕はどうやら義手だったらしくダメージを与えられなかったようだった。宝来対黒の戦いは、やはり若い黒の勝ち以外あり得なかっただろう。宝来にとどめを刺そうとする黒に、美咲は「駄目!」と言って制止した。
 西島の手に握られた銃を取って黒にそれを向け、美咲は待ちなさいと命じた。一瞬動きを止めたものの黒はそのまま立ち去ろうとした。しかし、美咲に「待って! 李くん!」と懇願されると黒は振り向き「李という男はもういない」とだけ告げると今度こそ立ち去ってしまった。……美咲、気づいていたのか。でも確信が持てなかったと。ここで一か八か声をかけてみたということなのかなぁ。

 美咲のナレーションでエピローグが語られていた。宝来の言った通り、日常が戻ると契約者絡みの犯罪は増加の一途を辿っているらしい。ここで流れていた映像が、1話と全く同じというのはどういう意味なのだろうか? 同じ能力を持つ契約者が出てきたことがあったけど、誰かが死ぬと別の誰かがその力を得るという仕組みなんだろうか? 映像を見ていたらそんな風にしか思えないなぁ。
 以前と違うのは、契約者の存在が明るみになったことだった。とはいえ、組織に関しては全く打つ手なしのようで美咲たちは苦戦しているようだった。宝来が取り調べを受けている光景が描かれていたけど、何だか憔悴した感じがしたなぁ。結局、彼も組織の駒の一つにすぎず、捕まった時点で切り捨てられたのかもしれないね。刑務所に入って出所したとしても、彼に待っているのは組織によって消される運命なんだろう。結局、ゲートに関してと同様に組織についても全貌は全く明らかにされずに終わってしまった。これは、続きを作ろうと思えば作れるぞというアピールなんだろうか。

 李は強制送還になったということになったらしい。美咲が彼の住んでいた部屋を訪れて、窓から外を見るというのも1話と同じだと言えなくもない。違っていたのは、美咲が見覚えのある後ろ姿を見つけたということか。
 それが黒だと思って追い掛ける美咲がここでモノローグで言っていたのは「私たちは同じ道を選んだのだろうか? 共に生きるという道を」だった。第三の道を、黒も選んだのは確かだろう。ただ、それを黒の口から聞きたいと美咲は切望するが、多分そんな機会はもうないんだろうなと思わせられる最後だった。
 最後の最後で出てきたマオにそっくりの猫を抱き上げたのはあの中華料理屋の娘なのだろうか? そして銀の姿をしたあの観測霊は??

 これで最後なのかと言わざるを得ないラストだったなぁ。風呂敷を広げたのに、主人公が行ったのは目の前の危機を防いだだけで終わってしまった。契約者といっても人間なのだから、対価が時間に関するものでないかぎりは普通に年を取っていくんだよね。今回のように一気に契約者を消滅させられないとしても、根絶やしにするという目的はなくなっていない筈だし……どうなるんだと思うのだけど……。
 黒って結局本名はわからないままだったなぁ。主人公の黒は暗かった……。しかしそのためなのだろうか? マオがとてもいいキャラになっていたと思う。マオ役が沢木さんだと知ってとても驚いた覚えがある。キャラが猫だったらマスコット的な位置付けで女性がするのかなと思っていただけにこれはやられたと思った。またマオに合っていたし! いつもだったらイメージが違うと慣れるまで時間がかかるものだったのだけど、そこはやっぱりベテランが声をあてていたからだろうか? 意外だと思っただけですんなり受け入れられた。
 声に関してもう少し言えば、新人から若手、中堅、ベテランと揃っていたのは本当に素晴らしかったと思う。個人的には井上さんと草尾さんが出てきてくれたのが嬉しいかな。この作品は色彩も黒が多くて嬉しかったけど、何を一番にあげるのかと問われたら、この声優の豪華さだと思う! ……って、それっていつも書いていることと同じじゃないの(苦笑) それでもやっぱり私にとっては声が一番比重が大きいんだなぁ。
 まぁ、物語に関しては100%良かったとは言えないけど、本当にお疲れさまだとスタッフの人たちには言いたいな。

at 23:59, 真神恵, DARKER THAN BLACK -黒の契約者-

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記憶の限界に挑戦バトン

 だいぶ前にあおきさんから二つのバトンが渡された。その内の一つ、記憶の限界に挑戦バトンを書いてみた。

【記憶の限界に挑戦バトン】

1.思い出せ!今までに使ったP.N.全部
真神恵。
他にもう一つあって、命名は高校生のときでこちらの方が古い。あ、ラジオネームでもあったかな。何度か採用されたし。けど、今も使用しているものなので秘密。

2.思い出せ!今までにイラスト・漫画・小説をかいたジャンル全部
小説
ワンピースとオリジナル。

イラスト
ガンダム
聖闘士星矢
サムライトルーパー
セーラームーン
Fate/stay night
ワンピース
遥かなる時空の中で
アンジェリーク
ハウルの動く城
FF7
鋼の錬金術師
幻想水滸伝
エウレカセブン
コードギアス
アリオン
緑野原学園シリーズ(絵を描く練習に描いていた)
オリジナル

漫画
オリジナル

3.思い出せ!今までに同人誌を買ったジャンル全部
サムライトルーパー(征当←忘れもしない苦い思い出だ……)
サイバーフォーミュラ
ワンピース(サンナミ、ゾロビン)
遥かなる時空の中で(知望、将望、銀望、ヒノ望、弁望、譲望、リズ望、九望、友あか、頼あか、季あか、頼花)
アンジェリーク(オスリモ、ヴィクコレ)
金色のコルダ(月日)
鋼の錬金術師(ロイアイ、エドウィン)
Fate/stay night(弓凛)
おおきく振りかぶって(ギャグ)
ガンダム(ディアミリ、アスカガ、ムウマリュ)
ハウルの動く城(ハウル×ソフィ)
コードギアス(ルルシー、スザユフィ、ルルカレ)
彩雲国物語(劉春)
ひぐらしのなく頃に(ギャグ)
犬夜叉(弥珊、犬かご)

4.思い出の多そうな人に渡そう
アンカーで。

 悩ませるバトンも来ているんだよね。答えたいとは思うのだけど、回答必須らしいので書きたくても書けないんだよねー。当てはまる人がいない場合、この人なら許せるというのを書くよう指示が出ているけど、それすらないので答えようがない項目があるので(苦笑) パスでもいいなら答えられたのになぁ……。

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at 23:59, 真神恵, 漫画・アニメ

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ワンピース 323話「出港水の都! 男ウソップ訣別のケジメ」

 ゾロとサンジにガープが戻ってきたとの知らせを受けて、ルフィが「捕まえねェんじゃなかったのか!?」と言っていた。ガープだって自分が言ったのだからその通りにしようと思っていたに違いない。「ルフィさんたちと爽やかに別れた手前、すごく恥ずかしいんですが!?」とコビーが爽やかにを強調してガープに言ってみたら、ガープがガープでセンゴクに怒られたから引き返す羽目になったと怒るというか拗ねていた(笑)
 そんなガープに青キジが突っ込みを入れていた。結局ガープは孫だから見逃したと正直に言ってしまったらしい(笑) さすがルフィのじいちゃんだ! その青キジもガープの船でデッキチェアで寛いでいた。ユルい二人だなー。

 ガープが戻ってきたのでルフィたちも出港していた。しかしナミとチョッパーがルフィの名前を呼んでいた。忘れてはならないよね。ウソップのことを。
 フランキーも本当に待たなくていいのかと尋ねたのだけど、ルフィは汗をかきながら「待っていたさ」と答えていた。しかし、そうは言うものの落ち着きなく足を揺らしていた。何でも、サンジからウソップが一味に戻る予行演習をしていたという話を聞いたとき、ガレーラの部屋が留守にならないように待っていたらしい。
 聞いた直後、ルフィは「今すぐ迎えに行こう!」と言って、そのまま外へ行こうとし、ナミとチョッパーもその後を追っていた。しかしそれを止めたのはゾロだった。ゾロはウソップが頭を下げない限り認めないとルフィを真直ぐ見据えて言った。こちらから迎えに行くことは誰一人許さないとも。その発言にチョッパーとナミは怒ったが、ゾロはそれを一喝した。
 ナミは「なんであんたがそんな事を」言うのかと反論しようとしたけど、ルフィがそうしないのだからゾロが言ったんじゃないか。そしてゾロの言うことは全て正しかった。ウソップもああやって自分優位の予行演習をしていたのだって甘えがあったからだよね。自分が「船長」に対して何をしたのかを忘れたとしか思えない。現実時間では一年以上(笑)経っていたかもしれないけど、作中時間では一週間も経っていないというのに。
 しかし……このシーンでの最初の方のゾロの台詞が、あまりにもボソボソ言っていたので聞き取りにくかったな(苦笑)

 それでも尚反論しようとするナミにゾロは怒鳴ったけど、ここでサンジがナミをたしなめているところが一番良かったな。しかも「ナミさん」と呼ばれてナミもすぐに振り返ったし。ああやって真面目に話せばナミだってちゃんと話を聞いてくれるのにね(苦笑)

 無理に笑顔を作って、あそこで待っていたけどウソップが来なかったんだ。それが彼の答えだと言うルフィが辛そうだったなぁ。そして一味に一喝したゾロだって、ケジメはきっちり着けさせろと言ったけど、本当はガレーラの部屋にいる間に戻ることを望んでいたのは間違いない。剣を握った手が震えていたというあの映像はとても良かったな。
 ナミがもう少し待とうと言いかけたとき、とうとうガープの船が姿を現した。このときのガープの言い方がおかしかったなぁ。こちらじーちゃんって(笑) しかも「すまんが」と前置きはしたものの、海の藻くずとなってくれなんて言うし。本当に藻くずにするつもり!? それともルフィだったら逃げるだろうと踏んでいたのかな。そう思えば納得できるんだけどなぁ。あー……でも、ルフィのじいちゃんなので何も考えていないかも??

 その頃、ウソップはルフィたちが出港したのも知らずにまだ「戻ってやる」なんて気持ちで船のある場所に走っていた。このときにパターン何番かは知らないけど、反省もせずに予行演習で考えた台詞を言って有頂天になっていた。よくもまぁ、そんな勝手な想像ができるものだ(苦笑)
 置いて行かれたと知っても「何でだよ」なんて言っているなんてなぁ。そげキングとして行動を共にしてうたとしても、そりゃ謝罪もなしに戻れると思っているなんて虫が良すぎる(苦笑) 第一ルフィはそげキングがウソップだなんて全然気づいていないのだから、ウソップの主張は通用しないって。勇敢な海の男になるんだったら、まずは謝罪しないと。
 船を追いかけて走っているときもまだ何か言っていた。そんな戯れ言をゾロとルフィが聞く筈ないじゃない……。しかし、本編とは関係なく疑問に思ったことがあった。「付き合いが長い」とウソップは訴えていたけど……はて? 作中ではまだ一年も経っていないのでは? それなのに付き合いが長いというなんて変だなと思った。歳をとっていない以上、実は何年も経っているんです〜なんて話は通用しないと思うんだよね。描いている人、読んでる人にとっては10年立とうが20年経とうがそれは関係ないでしょ。
 まぁ、ウソップはそこまでしないと解らないのだから仕方がないか。しかしゾロは優しい奴だなぁ。第一声が謝罪ならいいと言っていたのに、チョッパーが気づいてそれを教えても「聞こえない」と答えているんだもの。謝罪の言葉を言わない内は何も聞こえないんだねー。
 そんな風に見ていたから、謝罪したときのウソップの泣き顔が画面いっぱいで描かれていても特に何も思わなかった(苦笑) しかし、ルフィの負けず劣らずの泣き顔の方でホロリと来た。更にウソップが自分の手を掴んだときの顔ったら!!

 予告でのチョッパーに笑った。

at 23:59, 真神恵, ONE PIECE

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ひぐらしのなく頃に解 12話 皆殺し編 其の七「雛見沢症候群」

 殆どの謎が解けた回だった。そのため台詞がとても多かったかな。その中で一番印象に残ったのが、入江診療所は入江機関といい、細菌兵器を研究しているということだった。その事実が、ということではなくて、しきりに細菌兵器と言っていたのが耳について離れない。監督って治療の方に力を注いでいるのはその人柄からも明らかなんだけど、聞いていたら細菌兵器の研究の方ばかりしているとも取れなくもないような言い方だったような……。

 今回はあらすじ書いている時間がないので、感想のみで短く書こうと思う。……って、いつもそうしていたら良かったのに、見ながら書いているといつの間にかあらすじばかり書いてしまっているんだよね(苦笑)

 今回は監督がとても人がいいというのが良く判る話だったと思う。小此木にいてくれて良かったとか言っていたけど、あれは明らかに見張っているとしか思えない。だって、監督が鷹野が研究熱心だったのを感謝しているとか言っていたときに鼻で笑ってたんだもの。それに見せていた表情は、監督を安心させるためというよりも、呆れているようにしか見えない(苦笑)
 また、梨花に警備は厳重にするよう指示が出ていると言っていたけど、これも厳重に監視ということだから寒気がするね。しかし、梨花は電話で小此木から黒幕が監督だと知らされてときに、どうしてどちらを信じたらいいのか判らないと言っていたのだろう? 詩音が言っていた通り、彼はどちらかと言えば騙される側・利用される側の人間にしか見えないだろうに。今まで自分を警護してくれた小此木は、そんな監督の人柄以上に信頼できるということだったのかなぁ。
 鷹野から作戦は今夜決行との連絡が入ったと言ったとき、監督は本当に意味が判らなかっただろうね。そして「何を仰っているんですか?」と聞いた直後に殺されてしまったのだろう? あ、いや、彼は睡眠自殺をはかるんだったっけ? 事態が飲み込めないまま、彼はいつもそうやって殺されていたんだね……。

 もう一つは大石だよね。冒頭、梨花を車に乗せて話していた彼の推理は犯人は鷹野、というものだった。それは焼死体が一日前には既に亡くなっていたから。その時刻には鷹野は綿流しの祭にいたんだものね。普通に考えたら鷹野が怪しいと思う。
 それから、梨花が警察を頼りにすると快く引き受けていたっけ。今回の大石は本当に圭一たちに協力的だね。それから、長年培ってきた刑事としての勘も冴えていた。勘がいい故に犯人は鷹野という真実に辿り着いていたのに、勘が良すぎる故に殺されてしまった。職務質問されて射殺されるなんて……。しかも山狗はプロだから、即死だよね……。

 雛見沢症候群の説明の間に鬼隠し編や目明し編、それから祟殺し編と罪滅し編だったかな? 過去の映像が映し出されていた。でも圭一たちは覚えていないんだよね……。レナは引っ越しした先の学校で校内のガラスを割ったり、クラスメイトをバットで殴ったりしたのは記憶にあったけど。

 そういや、公式サイトを見たら放送が中止になっているTV局があったよね。最近起きた事件が原因だそうだけど、前のものならともかく、この「解」ではそんな猟奇的なシーンって殆ど出ていないと思うのだけど? 何でもかんでもアニメや漫画と関連づけるのは止めてほしいなぁ。もし影響されるのだったらこの日本、いや世界と言ってもいいか? どこもかしこも犯罪者が溢れているんじゃないのかと言いたいね。

 梨花が学校を休んで、沙都子から話を聞いてお見舞いに圭一たちが来て、梨花は今まで黙っていたことを話した。他人が聞いたら荒唐無稽と言われるものでも、圭一たちは仲間の梨花が話すことだからとそれを信じた。彼らにお茶を入れているときに、羽入がまだ話していないことがあると言っていた。それはかつての圭一たちのことで、それを羽入が言うと梨花は何もできなかった申し訳なさから、後ろにくっついて「ごめんなさい、ごめんなさい」と羽入が謝り続けたことも話していないと言い返していた。……そうだったんだー。とゲームをしたくせに初めて知った気がしたのは気のせい??

 しかし、今まで怖がらせてくれた何もかもが解明された。蓋を開ければなぁんだというものだけど、知らないとホラーにしかならない。だって、超常の存在が出てくるなんて詐欺じゃないの? 旅行のときに友人Yと話したのだけど、このゲームって正答率0%とか言っていたそうじゃない? 当たり前だと思ったよ。そんな突然湧いて出た設定と、突然現れた超常の存在。それってミステリーとしては駄作だとゲームの感想にも書いたけど海外ドラマでそんな台詞を聞いたぞ? ま、私は推理しなかったけど(苦笑) それはそれで問題ありかな??

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at 23:19, 真神恵, ひぐらしのなく頃に

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彩雲国物語 18 話「頭隠して尻隠さず」

 朝議では、紅一族の仕事を停止したために混乱が起きていることで官吏たちが騒いでいた。その一人が原因は何かと劉輝に噛みつくように尋ねていた。それを皆が知っているように黎深が拘束されたからだと劉輝は答えたのだが、官吏たちにはそれと紅一族の放棄が結びつかない。

「藍家と並ぶ名門中の名門、紅家当主を、
 証拠もなく不当に拘束などすれば、
 紅尚書本人はもちろん、誇り高い一族が怒るのも道理」

 その事実に場が静まった。高級官吏でも知らないことだったんだねぇ。その中で一人、汗をかいて戦慄いている人物がいた。俯いて身体を震わせているその官吏を、劉輝と絳攸、楸瑛が静かに見ていた。

 前回の騒動が片付いてから、静蘭は邵可が気になるからと一度家に戻っていた。そして翌朝、顔を洗っている秀麗に化粧箱を渡していた。胡蝶が静蘭に持ってくるよう言っていたらしい。
 前に胡蝶から貰ったのだと言って開けていると、そこに手紙が入っていた。彼女にプレゼントしたときの言葉が書かれていたのかな? 化粧は女の戦装束だから、戦に赴くときは必ずしておくように。そうすれば絶対に泣けないのだと胡蝶は言っていた。泣いたら化粧が崩れるから、それがみっともない顔になるから泣けなくなるのだと言っていた。
 秀麗は胡蝶の言葉を思いだしたが、どうしても化粧ができなかったと話し始めた。男性ばかりの政治の世界では必要のないものだと思っていたからだと。胡蝶は秀麗がそうであっただろうなというのもお見通しだったんだろうなぁ。
 しかし秀麗は自分が間違っていたと反省した。化粧をしてもしていなくても、自分は変わらないのにと言って。泣きたくなったら自分の元に来てくれと以前言っていた静蘭に、秀麗は「私は泣かない」と決心を告げていた。静蘭ももう迷いはすっかりなくなったからか、だったら自分は「お嬢さまが泣かないですむように支えることにします」と答えていた。

 さて、再び朝議の場面では、劉輝が疑惑について議題が移っていた。それを確認するかのように劉輝は蔡尚書の名を呼んだ。彼は当初から女性官吏に猛反対していた。この指摘に対して蔡尚書はほとんどの者が反対していたと反論を始め、怪しいのは自分ではなく魯官吏であると罪をなすりつけようとしていた。
 紅進士に対して辛く当たっていたのは魯官吏の方である。だから紅尚書にも恨みがあるのだ。そう言った蔡尚書に、劉輝は魯官吏が女性官吏に反対していなかったこと、恨みがあるどころか、彼は珍しくも紅尚書のお気に入りと蔡尚書の知らなかった事実をまた一つ教えてあげていた。
 反対に、蔡尚書には進士の一部が不当に酷使されていることを知っていたというのに、配下を止めなかったのかと監督責任を問い詰めた。蔡尚書はこれにも反論していた。いつものことだと聞いていたからと。
 いつものこと。魯官吏は将来有望な者には特別に目をかけること。それを知らないなんて、どこまで使えないんだろうね、この蔡尚書は。絳攸も奇人もそうだったんだね。もちろん黎深も。

 画面が変わって黎深が自発的軟禁状態に入っている離宮が映し出された。彼は優雅にお茶を飲みながら、魯官吏に話しかけていた。ここの会話、好きだなぁ。

「貴方は私が相手でも全く容赦がなかった。
 鼻っ柱を叩き折られましたよ」
「折られるほど脆い鼻っ柱ではございますまい。
 それより紅尚書、いつまでここに……」

 魯官吏は黎深に朝議へ行ってもらうように言うために来ていたらしい。何故彼が、と思ったら、黎深が魯官吏が来るなら行くと言っていたかららしい。早く城下場内の混乱を憂いている魯官吏に対して、黎深は知ったことではないと言い切った。

「だいたい玉座に座っているあの鼻たれ小僧は、
 もっと世の中の苦労というものを知った方がいいんです」
「貴方にだけは言われたくないと思いますがね?」

 この二人の会話は面白すぎる。確かに黎深にだけは言われたくないよ(苦笑)
 黎深の全く動かない様子に魯官吏はため息をついて、彼が勧めたお茶を飲んでいた。この後の黎深の話というか、映像がまた面白すぎる! 彼は昔、魯官吏に馬屋番を命じられていたそうで……。当時は魯官吏を何度も抹殺しようと思っていたらしい。しかし黎深は、魯官吏の真意は後から解ると言ってそうしなくて良かったと言っていた。

「杜影月はあまりに若く何の後ろ盾もない。秀麗は若い上に女。
 どちらも最初から舐められ潰しにかかられるのは目に見えていた。
 貴方の厳しい指導は自分への自信と、朝廷勢力への抵抗力をつけるため。
 そして進士がどれほど優秀か見せつけ、上に舐められないようにしてくれる。
 厠掃除や靴磨きという雑用も、官吏たちの真実を見聞きするのに最適だ。
 朝廷最高官たちは、貴方がどれだけ仕事を振っているかで
 有能な人材か否かを判断する」

 しかし黎深の言葉に魯官吏は甲斐被りすぎですと答えた。自分や奇人に一言言えば昇進させてあげられるのにと扇で口元を隠して言っても、魯官吏は今のままで満足ですとキッパリ答えていた。これで仮に「本当ですか?」なんて言った日には、黎深はそれはそれは悪辣に失脚させるんだろうなぁ。でも、自分が認めているほどの人物である魯官吏がそんな誘いには応じないことも知っているんだろうね。もしかして尊敬しているのかも!?
 魯官吏は自分のような者も朝廷には必要だと先王から直々に頭を下げられたらしい。更に劉輝も魯官吏に全てを任すと言っていたそうだ。こういう人間がいるから、朝廷は腐敗しきらずに済んでいるんだねぇ。つまり珀明が途中で仕事量を増やされたのは、見どころがあると魯官吏が認めたからだったんだね。更に、秀麗たちに毎日差し入れを出していたのは魯官吏だったのか!

 おまけに黎深が言いだしたことといったら! 彼は魯官吏が一緒でないと朝議には出ないと言って、彼を迎えにこさせていた。魯官吏にとってはそれはこの時だけのこと。しかし黎深にとっては今後もずっと魯官吏が出なければ朝議に出ないということ。魯官吏が今の地位で満足していると拒否したら、今度こそ城下の全機能が停止すると脅迫し始めた(笑) 蔡尚書失脚後、その任に当たるのは魯官吏ということなんだねー。
 渋い顔をする魯官吏に、黎深はいいことを思いついたらしく声のトーンを上げていた。魯官吏は主上には勿体ないから、自分の家の家令になりませんかと黎深は提案したが、魯官吏はそっちの方がゴメンと言わんばかりに「一緒に朝議に出ます」と低い声で答えていた(苦笑) 究極の選択だったんだねぇ。

 一方、予想した通り姮娥楼から出た途端に秀麗は蔡尚書の手の者の妨害にあっていた。しかし秀麗はこれくらいで自分を止められると思ったら大間違いと力強く駆け出していた。

 再び朝議では、劉輝が奇人を指名していた。奇人は数年前より礼部から予算の増額を求められてきたが、それだけの出費がかかるとは思えないと話し始めた。そこで礼部の前年の見直しをしたところ、無駄な出費というよりも首を傾げる項目の出費が非常に多いことがわかったと報告を上げた。
 更に、毎年国試及第者のために郷里報告の早馬を礼部が無償で飛ばしているのだが、今年影月が郷里に送った銀80両が全く届いていないことも付け加えた。影月だけでなく、同様の訴えは数年前から何件も寄せられていたらしい。影月が確認を取っていたというのはこのことかな?
 今回、奇人は早馬を秘かに追いかけさせたと続けて言った。お金を持ったまま、早馬は誰の屋敷に駆け込んだのか。奇人がそこまで言うと、蔡尚書が「濡れ衣です!」と慌てて立ち上がった。しかし奇人は、自分はまだ誰とも申し上げていませんが、と静かに告げた。……よほどテンパってるなぁ(苦笑)
 騒然とする中、蔡尚書は奇人の仮面について言及を始めた。素顔も見せないでどうして高級官吏までに上り詰められたのかと。……呆れてものがいえないなぁ。仮面をつけていても奇人が優秀だったからに決まっているじゃないか。第一、礼部の予算と影月の無くなった俸禄とその話は全く関係のない話だ。

「ふむ……。巷のへぼ小説並みの展開ですね」

 確かに!(笑) しかしこのことは蔡尚書だけでなく他に気になっている人間がいるかもしれないと思うと、無視できないことなのかもしれないね。奇人は仮面を取りましょうとあっさりと言うのだが、他の高級官吏たちが「止めてくれ!」と騒ぎ始めた。平穏な人生をかき乱すのは止めてくださいって……。そこまでなのか?
 霄太師が笑いだして、蔡尚書だけに見せればいいと提案していた。劉輝が自分も見ていいかと手を挙げたときの、官吏たちが速攻で「いけません!!」と口を揃えて言ったシーンが笑えた。絳攸も楸瑛も、奇人が仮面をしているのは、不細工だからと思っているようだねー。きっと、彼の素顔は作品が終わっても明かされることはないんだろうなぁ。

 一方の秀麗たち。護衛している静蘭がいくら強くても多勢の場合はやはり厳しくなっていた。そこを助けたのは柳晋だった。柳晋だけでなく、町の人たちも秀麗を助けようと駆けつけてくれた。
 彼はすまなそうな顔をして謝ってきた。彼らが急に秀麗に対してよそよそしくなったのは、官吏となった秀麗に気を遣っていたからだった。官吏というのは偉い人、そんな人になった秀麗が自分たちと付き合ったら、他の官吏から馬鹿にされて肩身の狭い思いをさせてしまうんじゃないかと彼らは思っていたらしい。
 これで秀麗の心配事はなくなった。ようやく王宮に到着したと思ったら、今度は門番が二人を通してくれなかった。しかしここでも救いの手が現れた。こんな事だろうと思った。そう言って現れたのは珀明だった。一つが上手くいくと、次々といいことが起こっているなぁ。

 霄太師が三日は使い物にならないと言っていた。奇人の素顔を見た蔡尚書は、見惚れる……レベルではなく本当に呆けていた(汗) しかし素顔を見ても柚梨は平気なんだね。あと、美に関して言うなら好みは人がいればそれだけあると思うのだけど、奇人の顔は万人が骨抜きにされてしまうほどということ? ま、物語だからできることだね。
 さて、呆けているのを幸いに、奇人は蔡尚書に対してこれまでの不正を確認していった(苦笑) 言葉もなく首を縦に振っている蔡尚書が笑える。あの状態でだったら何を言っても頷くんだろうなー。それがわかっているから柚梨の表情を曇らせ、これは詐欺なのではと言ってみるが、奇人は全て真実だと仮面をつけていた。泥団子事件のあの官吏たちからも証言を取っていたらしい。
 正気のままだったら長引くのは確実だったものね。魯官吏を伴って現れた黎深も、最初からこうすれば良かったと思うと言って現れた。そして蔡尚書の前に立つと手を叩いた。……三日間使い物にならなくなるんじゃなかったっけ? そんな、手を打っただけで我に返るとは。しかし蔡尚書の地獄はこれからだった(苦笑)

「さて、貴方は非常に面白いことをしてくださった」
「ぅぅぅぅぃや、私がしたのではなく……」
「百万が一そうでも私は貴方がしたと思っているので、事実は関係ありません」

 絳攸が頭を抱えて無茶苦茶だと心の中で言っていた(笑) 楸瑛も表情から同じことを思っているんだろうなぁ。しかしここまで平然と言いきれるというのが凄い。

「今後紅家縁の場所には近寄らない方が無難でしょう。
 手配所を回しましたからね。見つかったら最後、
 近くの川に重しをつけてドボンです」
楸瑛「この国で紅家の息のかからない場所などないというのに……」
「うちの一族は私同様怒ると手がつけられない上非常に執念深いので、
 百年経っても貴方の顔と名前は忘れませんよ?」

 ああ、いいなぁ、黎深。素晴らし過ぎるよ。劉輝が「怖い」と口にしているくらいに。しかも心底ビビっている蔡尚書が、こんな事はもう二度としないと言いかけても手を緩めるつもりは全くないというのが更によい。蔡尚書のような人間は、ここで二度としませんと土下座してもほとぼりが冷めたらまた悪いことをしそうだけど、黎深相手だったら流石にそれは無理だろうねー。まぁその前にドボンされているか(苦笑)

「生憎私は嫌いな相手はとことん追い落とす主義なんです。
 数年前、私の養い子を捨て子と馬鹿にした。
 あの時から貴方を許すつもりはさらさらなかった」
絳攸「ん?」

 絳攸への暴言を許さないと言ったところでは、黎深は口元を扇で隠して蔡尚書に近づいて囁いてた。そういうのを絳攸に見せてあげたらいいのに、素直じゃないお人だね。言いたいことを言い終えた黎深は「ああ、そうそう!」と、今思い出したかのように蔡尚書のカツラを遠慮なく取って、そこに隠されていた指輪を見つけた。
 茶家当主を示す指輪の偽物を持っていた蔡尚書に、黎深はそれを持って茶一族に助けを請おうとしても無駄だと駄目押ししていた。既に手を回していたとか(苦笑)

「この私が一つでも退路を残すとお思いですか?」

 逃げ場のなくなった蔡尚書は、女が入ってくるのが悪いんだと繰り返し言っていた。……いやいや、秀麗と黎深に手を出した自分が悪いんだって。ここまでされても自分の非を認めないとは……。ある意味凄いね。今までそうやって悪い事は他人のせいにして生きてきた証だね。こんなのが高官になれる国というのも問題だなぁ。劉輝の世代でそういうのは一掃できたらいいんだけどね。ああ、現実にも黎深のような人間がいたらいいのになぁ。
 さて、蔡尚書が恨み事を言った相手、秀麗は王宮にはたどり着いたものの尚も妨害にあっているようで、なかなか姿を現さなかった。心配する絳攸に、楸瑛は「必ず来る」とハッキリ言っていた。

「碧進士、腕に自信は?」
「我が碧家は詩文芸能に長ける家だ。武芸などとんと縁がない!」
「つ、使えない……」

 この会話に和んだ。この場面で分が役に立たないことをここまで自慢げに語る珀明がいいなぁ。しかし彼らを待ち受けていたのって王宮の兵士なんだよね。こんな事をして、後で黎深に何をされるのかわかっていないんだねぇ。しかし静蘭一人で秀麗と珀明を守るのは確かに厳しいね。
 そこへ扉の向こうから兵士を攻撃した者がいた。勅命通りに正午までに到着した燕青だった。これでもう安心だね。

 さて朝議の席では秀麗と影月が作成した、蔡尚書の不正の書類を高官たちが見て感心していた。不当な言いがかりをつけられたため、釈明の助けになるようにと徹夜で仕上げ提出したものだと劉輝が補足していた。

「二人は誰が不正をしているか、ちゃんとわかっていたワケだ、蔡尚書」
「おかしいとは思わないのか!?
 突然降って湧いたような女人受験で、十七の小娘が探花及第だと!?
 国試はそんなに甘くない! 王と側近が女人受験を強引に推進した。
 おかしいと思わんか!?」

 蔡尚書の悪あがきはまだまだ続くんだね。国試はそんなに甘くないと言っているが、彼も実力で受かった人間ということのみ真実なんだろう。蔡尚書の言葉に一部の者が同調していた。だからこそ、確かな実力を示すためにも査問会でそれをはかろうとしているんだね。中には蔡尚書と同様に女人の国試受験に反対している人間もまだいるだろうし、珀明が秀麗に言っていた通り、そう言った高官たちに何も言わせなくすればいいんだよ。

「そうだな。実力主義が国試だ。
 だから先王は、王でさえ介入が不可能な国試制度を作った。
 それは国試を突破してきた者が、一番よくわかっているのではないか?
 どれほど国試の公平性が厳しく、どんな不正も許さないか、
 身をもって体験してきたはずだ。そう、国試は甘くない」

 国試は甘くない、という言葉のみ劉輝が賛同する意見を言うと、今度は秀麗が来ないことを蔡尚書は問題にし始めた。自分で妨害しておいてよく言う! しかも秀麗と影月が徹夜で作成した書類を、本当に本人が仕上げたのか怪しいなんて言う始末! そもそも蔡尚書は同等の書類を作成できるのか〜?なんて思ってしまったな。
 秀麗が来ないと確信しているからだろう。もうすぐ正午になるのに、一向に姿を現さない秀麗に、蔡尚書はもう勝ったつもりでいるようだ。黎深によって身も凍る思いをさせられても、秀麗を追い落とせるならそれでいいと思っているんだろうな。そして、秀麗が間に合わなかった、ということは不正をしていなくてもそれを証明する機会が得られないということであり、黎深に対しても一矢報いることだできると思っているのかも。
 しかし私が一番腹を立てたのは、無理に官吏にならなくても紅家の姫ならいくらでもいい縁談があると言って笑っていたことだな。この世界ではそんなレベルの思考が当然とされていたんだろうけど、女は結婚して子どもを産むだけの存在という考えが私には許せないな。いい種持ってない奴が言うと余計に腹が立つ(笑) ま、そんな蔡尚書を黎深が冷たい目で見ていたからいいけど。腹の中では何を考えていたのか聞きたかったなー。

 そこへ秀麗が現れた。最後の悪あがきもここでお終いだね(笑) 今からすぐに査問会、公開口頭試問を始めると言われてすぐに応じただけで、秀麗に対する疑惑は高官たちからもただの噂だけだと感じられただろうね。

「では最後に尋ねる。何故女人の身で官吏になりたいと?」
「僭越ながら、何故女の身でとお尋ねになられても、
 その問いの答えは持っておりません。私は、私ができることをしに来ました。
 自分が男でも女でも国試を受けました。官吏になりたい。
 この手で多くのものを守りたい。そう思っていました。
 だから、国試を受けたのです」

 女でたった一人の官吏だから女人官吏。私はこういう呼称が嫌いである。何故、前に女流という言葉を付けるんだろうね!? 普通に官吏でいいじゃない。

at 23:59, 真神恵, 彩雲国物語

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地球へ… 最終話「地球の緑の丘」

 いよいよ最終話だ、いったいどんな結末を迎えるのだろうか。

 グランドマザーにジョミーは問う。何故人類とミュウの共存が認められないのかと。ミュウ殲滅がグランドマザーに与えられた絶対命令。だから共存は認められない。グランドマザーって一体何年前に作られたシステムなんだろう? 少なくともブルーが生まれる前からあったのだろうから、少なくとも300年以上前のシステムってことになるよね。
 グランドマザーの説明を聞いていて、語尾をハッキリ発言しているのがちょっとおかしかった。折笠さんはワザとこのように言っていたのだろうか?
 グランドマザーによれば人類は何もかもを滅ぼした悪だと自身で気づき、最後の良心としてグランドマザーを作り出したのだそうな。そしてSD体制によって欲望を制御し世界に恒久的な秩序と平和がもたらされた。その体制に反発するミュウを癌細胞のように増殖すると言い、人類を駆逐する存在だから根絶されると言った。
 ジョミーはそれを否定するが、グランドマザーはプログラムを変更できるのは、そのために作られた完璧な人間のみだと言う。それはキースのこと。最初マザーはキースに結論は出たかと聞いていたけど、それはそのことを尋ねていたのか。

 ジョミーはキースに訴える。人類とミュウは理解し合える。それが一番解っているのはキース自身じゃないかと。しかし、キースは人類の愚かさを知らないのだと聞き入れない。自分は人間に育てられた。ミュウも人間も基本は同じだとジョミーは返すが、キースはだったら尚のことSD体制は止めるワケにはいかないと剣を突き付けた。キースがそう言った途端にマザーコンピュータが反応していた。……回答と認識したんだろうな。
 何故だと問うジョミーに、キースは答える。基本が同じならその欲望を抑えねばならない。SD体制を止めれば人類の欲望を宇宙全体に解き放つことになる。そう言い終えるや否やキースはジョミーに剣を振った。ミュウが生き残るためには人類を殲滅するしかない。自分が人類である以上、それは逃れようのない運命だ。SD体制は人類の欲望を封じ込めたパンドラの箱。潰す気なら中身ごと潰せとキースはジョミーをけしかけた。
 キースはどうしてしまったのだろう? SD体制下においてでも人類は欲望を持っていると理解したのではないの? それとも、体制下でもそんな人類が生まれるのなら、止めてしまったらもっと増えるから危険だと判断したのかな? どのみち生きている以上、人間は欲望を持たずにはいられない生き物なのになぁ。
 それから、最終話になってキースがいきなり老け込んだと思ったのは私の気のせいだろうか? 年齢は二人とも40代になるんだっけ?

 二人が地下に降りてからどれくらいの時間が経ったのだろうか? 人類側ではセルジュが不安を覚え、ミュウ側ではトォニィが落ち着きなく室内をウロウロ歩いていた。
 若者は待つことに慣れておらんな。機関長にそう言われてトォニィは「グランパを心配しているだけだ。あんたらは心配じゃないのか?」と答えていた。航海長が気分転換にTVをつけようとトォニィの傍を通ったとき、トォニィがムッとした表情で立っていた(笑) 大人しいじゃないの。普段ならもっと悪態ついている筈なのに。それだけジョミーのことが心配で彼のことしか考えていないのだろう。
 TVをつけるとスウェナが画面に出てきた。前回キースが送った情報をさっそく放送するらしい。その中身はキース自身がミュウ因子をマザーが排除しない理由を話すという内容のものだった。これまでキースは現代科学をもってしても困難だと説明してきたらしい。しかし真実は否だった。排除は可能だった。なのに何故マザーはしてこなかったのか。答えは簡単だった。マザーはそうしてはならないとプログラムされていたのだという。

 SD体制以前、ミュウ因子が発見されたとき、ある者はそれを進化の必然とみなし、ある者は進化の気まぐれの一つにすぎないと論じた。しかし結論は出なかった。どちらにしてもミュウ因子発見時は誰もが人類の進化と捉えていたということか。
 そこで壮大な実験が行われた。将来世界の主導権を握るのはミュウなのか人類なのかというのを知るために。ミュウ因子を残したまま管理出産を行い、ミュウ化した者はこれを排除する。もしミュウが進化の必然でなければ、このストレスによって自然消滅する。しかしミュウは生き残った。つまりは進化の必然だと証明されたということになる。
 証明されたがSD体制にミュウを受け入れるプログラムがない。つまり、SD体制とは完璧なプログラムではないというのだ。……それって、どうせミュウは生き残らないだろうと当時の人間は思っていたことなんじゃないのか? 結局自分たち以外の存在が主導権を握るのは許さないと思っていたとしか思えないじゃないか。プログラムを実行する以上、考えられるケースに対処していなくてはならないというのに、最も基本的な部分が抜け落ちていたなんて(汗)
 キースはそこで「マザーに全てを委ねていられる時間は終わった。これからはひとりひとりが何をすべきかを考えて行動せよ」と命じていた。この放送を全人類が見ていたらしいけど、それが一番の驚きだ(苦笑) それを聞いてマードックはこんなことをしてどうなるのか判らないのかと拳を叩き付けていた。そして各地で戦線が崩壊していった。

 機関長は何故今になってこんな宣言をするのだと困惑していた。それをトォニィは「あんな言葉で人類が立ち上がると思ったのか?」と冷ややかだ。人類が人として立ち上がる最後のチャンスに賭けたのだと言うフィシスにトォニィは「そして賭けに負けた」と嘲笑うように言った。これにフィシスがトォニィを平手打ちして叱った。それはソルジャー・シンへの侮辱でもあるのだといつになく厳しい口調で言うフィシスを、トォニィは呆然と聞いていた。
 地下では剣戟の音が響いていた。ジョミーも剣を取っていたが、それはキースの攻撃を防ぐためだった。何故他の道を模索しようとしないと言うジョミーに道があればとっくにやっているとキースは返した。人類の暴走を抑える力が必要なら自分たちがその力になる、ジョミーはそう提案するが、綺麗ごとを言うなとキースに一喝された。能力的に劣る人類を劣等種に成り下がれと言うのかと言うキースにジョミーは否定するし、実際そんな風に考えてもいないのだろうけど、これって結局はミュウが人類を支配下に置くという以外のなにものでもないよね。まぁ、ミュウたちは互いの心の中が読めてしまうので悪事は働けないと思うけど、それが全体に広まってしまったらどうだろう? 力のない人類を蔑んでしまう可能性はないとは言い切れないよ。

 キースは人類が能力的に劣るという証拠に、ジョミーが本気を出していないと詰った。そしてジョミーの身体に剣を突き刺した。しかし自分の肩口を刺す剣を握ってジョミーもキースが本気を出していないと返した。銃を何故使わないと言って。
 キースがジョミーの言葉に動揺した瞬間、光の鞭が襲いかかりジョミーの首と手足の五箇所を拘束して動きを封じた。「体制の続行は承認された。これより我がシステムはフェイズ4に移行される」とマザーの声が響く中、ジョミーは苦しみの中でもキースに人とミュウを信じてと訴えていた。マザーの言うフェイズ4とは選択されなかった種族を殲滅することとミュウ因子の排除だった。そしてキースにはジョミーを撃てと命じた。
 キースは静かに成り行きを見ていたが、ジョミーが心の中にまで入ってきて自分とミュウを信じてと訴えてくると黙れと言って銃を向けた。そして何故ミュウの力を使わないと怒鳴った。ジョミーは話し合うために来たのだと答えていた。その答えを聞いてキースの頑な心が解けた?? 命令を実行するように言うマザーに向けて、キースはとうとう銃を撃ってしまった。自分のしたいようにすると言って。再度命令を実行するように言うマザーに、キースは「彼を離せ! あなたは時代遅れのシステムだ! もういい!」と決別の言葉を投げた。
 途端にマザーの「精神解析終了」という言葉が響き、キースを風圧で吹き飛ばした。そしてキースがミュウによる精神汚染の可能性があるなどと言い出した。自分の言うことを聞かない駒はいらないと言っているようなものだよね。キースが違う、ミュウたちのの生き様を目にしたとき、人は自らを顧みずにはいられなくなると訴えるが、機械にそんな言葉が通じる筈もなく、自分に逆らった存在を抹消するだけだった。……勝手に作られて人生を操られて、そして用が済んだら消す。キースの人生っていったい何だったのかと思わずにはいられない。あまりにも酷すぎる最期。複数の剣の一つに腹を貫かれた瞬間、キースは「マザー」と呼んだ。人間だったら自分の言う通りにならなくなった息子を見て、自立を喜ぶものなんじゃないだろうか? それなのに「処分終了」って……。

 キースの無惨な姿にジョミーは激怒した。「機械め」と言った直後に力を爆発させた。そのジョミーの怒りをトォニィは敏感に感じ取った。ソルジャーを感じたのかと尋ねるエラに、一瞬だけだたジョミーの強い怒りと悲しみを感じたとトォニィは答えた。しかし感情が白熱していてとても近寄れないと呆然としていた。そんな彼にフィシスはジョミーを助けてと頼んでいた。直後、ジョミーから全てのミュウに命令が下された。
「全てのミュウよ、僕に力を! 地の底へ、地球に向けて!」
 そしてマザーコンピュータを破壊した。部屋そのものを破壊した後、ジョミーは必死の形相で荒い息をしていたけど、ジョミーってもっと強かった筈ではないの? それともあのとき力が暴走しかけたのを何とかとどめたからなの? 巨像の目から光が消えて終わったように見えたけど、あの頭の部分がそのまま綺麗に残っているのに不安が拭えない。
 しかしジョミーは心配そうだったが勝ったと思ったらしい。そしてキースの傍にやってきた。走る体力ももう残っていないのか? ジョミーはキースに刺さった剣を抜こうとしたが、もう手遅れだから抜くなとキースはそれを止めた。死ぬ間際になってようやく話をする気になったらしい。
 涙を浮かべながら礼を言うジョミーに、キースは生まれて初めて自分のやりたいようにやっただけだと答えていた。シロエのときは明らかに意に反しての命令だったと思うけど、それ以外でも実はやりたいとは思っていなかったんだ? これは意外だった。感情を覚えてからずっとマザーに対する不満があったということなんだね。これでマツカやサムに顔向けできるとキースが静かに言った直後、巨像の目から剣が放たれジョミーの腰を貫いた(汗)

 ジョミーの攻撃でユグドラシル全体が崩壊の危機にあっていた。長老たちは脱出を決めた。そしてシャングリラでは後を託されたシドが地球に残った者たちの救出に向かうよう命じていた。仲間であろうと人間であろうと地の底からの叫びを聞かぬワケにはいかないと言って。その救出部隊の中にはリオもいた。トォニィはジョミーを見つけられなくて焦っていた。

 地下ではマザーの声が響いていた。自分はネットワークの端末に過ぎないと言って。人間だったらここで嘲笑うように言うのだろうけど、機械なので無機質な声が淡々と事実を伝えるだけだった。マザーは人類とともにあまねく存在するらしい。そして「ミュウの決定的な根絶は承認された、聖地・地球の消滅をもってSD体制は最終フェイズへと移行する」と宣告して消えた。……再生しようとしてい地球を消滅させるだなんて(汗) そこに大勢のミュウがいたから決めたのだろうか?
 この命令は止めることができないのだそうだ。そして停止していたメギドが一斉に地球に向けて回頭を始めた。あんなの一斉に撃たれたらひとたまりもないではないか……。ここまで来て、と愕然としていたジョミーの元にトォニィがようやく到着した。そしてジョミーの身体に刺さる剣を見てトォニィはキースに敵意を向けた。しかしジョミーに「一緒に戦った仲間だ」と言われると、複雑な顔をしながらキースの胸ぐらを掴んでいた手を離した。
 早くシャングリラに帰ろうと言うトォニィに、ジョミーは地球を攻撃しようとしているメギドを止めてくれと頼んだ。しかしトォニィは「こんな星どうだっていい。早くしないとグランパが死んじゃう!!」と泣きじゃくった。小さい子どものように泣くトォニィに、最期の頼みだ、死んでいった仲間の思いを無駄にしないためにもと言うのだが、トォニィはジョミーを抱き締め離そうとはしなかった。ナスカトルドレンはともかく、トォニィにとってはミュウ全員と天秤にかけたってジョミーの方が重いものね。いや、同族とは思っていても仲間とは思っているのか怪しいかも。この土壇場でトォニィを説得するのは難しいんじゃないかなぁ。
 駄々をこねるトォニィに、しかしジョミーは優しく語りかける。目にはクマのようなものが浮き出て死相が出ているというのに。
「お前は強い子だ。僕の自慢の……。人類を、ミュウを、人を頼む! お前だから頼んでいるんだ。トォニィ、お前は次の時代を生きろ! そのために僕たちは戦ってきた。ブルーとの約束を果たすために僕はここまで来た。次はお前が人類と手を取り合い新しい時代を作れ!」
 ジョミーは自分の思いをトォニィに託していた。嫌だと泣きじゃくっていたトォニィにそれは伝わったのだろうか? キースもトォニィの肩に手を置き、人類とミュウは共に手を取り合えと伝えてくれと彼も思いを託した。しかしトォニィはジョミーに縋り付き、自分は強くない、まだ子どもだとジョミーがいないと嫌だと尚も言った。しかし彼にはもう判っているのかもしれない。自分を殺そうとした相手にまでが自分に思いを託そうとしたのだから。そしてジョミーはブルーの補聴器をトォニィに渡した。

「トォニィ。お前が次のソルジャーだ。ミュウを、人類を導け!」

 それがどういうことなのか、トォニィだって知っている。しかし突然重いものを背負う羽目になって、しかも心の支えを失ってやっていけるのだろうかと心配だな。
 一方、キースはフィシスに言われた次世代に思いを託すというものを間近で見届けて、自分も待機しているセルジュに思いを託した。

「ミュウと共に、地球を守れ。よくこれまで私についてきてくれた……」

 セルジュが最初出てきたとき、キースにぴったりついてきたマツカに対して彼は明らかにマイナス感情を持っていた。それで何かし出かすのかと思ったら、嫌味を言うものの同僚として普通に接していたので拍子抜けしていた。おまけにマツカ同様に、キースに見向きもされなかったのに、それでも彼についてきた。意外に、ではなくかなりいい子だったんだなぁ。しかもこれがキースの遺言だと理解して、彼の最期の命令を忠実に実行しようと他の待機メンバーにメギド破壊を命じていた。内一人がグランドマザーの意志に背くことに躊躇する発言をすると「それがどうした!」と一喝していた。キースの副官は、彼の思いを確かに継いでいた。
 また、放送を終えたスウェナが祈るように目を閉じて座っていたら、そこへレティシアが現れた。ミュウとしての力に覚醒して記憶が戻ってきたのかな。そしてレてィシアは自分たちの力は伝える力なのだと言っていた、人類とミュウたちを繋ぐ伝える力なのだと。その娘の言葉に、スウェナは彼女を抱き締めた。
 外では雄叫び?? しかしレティシアが言うには人類とミュウが人として立ち上がったらしい。宇宙に広がるマザーシステムを破壊しているんだね。しかし暴動には違いないだろう(苦笑)

 ところで、一応感動的なシーンだというのに来週、9月29日(土)夕方5時30分から「放送直前!ガンダムOO披露宴」をお送りしますという文字が10秒間出ていた。別番組なのだから、終わってから宣伝すべきだろう! ただでさえ放送より数カ月前から番宣を流しているくせに。

 ジョミーを助けに地球に降下してリオは、しかしジョミーに辿り着けなかった。途中で人を助けたからだった。瓦礫に埋まったリオを女性は助けようとするので、リオは自分はミュウだと言うものの、女性はだから何?と言って何とかリオを助けようとした。……今まで忌み嫌ってきたのに、突然こんな態度を取るのにちょっと呆れてしまったのだけど、最終話だから目を瞑ろう(苦笑)
 セルジュたちとトォニィたちの攻撃で5基のメギドは破壊できたがまだ一つ残っていた。しかしセルジュたちは全弾使ってしまい、トォニィたちは間に合わない。そこへマードックが船ごとメギドに突っ込んできた。何とか軌道をそらせたので核へ攻撃されるのは回避したが、マ−ドックはそのままメギドと共に燃え尽きてしまった。しかしあの副官は愛人だというのは明らかだったけど、本当に愛し合っていたとは思わなかったよ。

 脱出しようと言っていたというのに、フィシスが嫌がったからだろうか? 長老たちは地下に降りてきてしまっていた(汗) まぁ、あのカナリアという子どもたちを助けるためには必要な展開なのだろうけど、タイプブルーでもない彼らが生きて戻れるなんてもう無理なんじゃないか。しかも助けるのは子どもでしょ? 何だか古き者は死ぬって展開は嫌だなぁ。しかし彼らはフィシスを船に戻した。自分も運命を共にすると決めていたのに、長老たちは自分たちを覚えておいてくれるように頼んだ。
 地上で、いや宇宙で起こっていることをジョミーは感じ取れていたのだろうか? 思っていた以上だと立ち上がった人々に感嘆していた。しかしキースはあらゆるものを破壊してきた人類が手がつけられなくなるかもしれないと心配していた。しかしジョミーは大丈夫だと人を信じていた。

「パンドラの箱を開けてしまって良かったのだろうか?」

 キースはそう言うが、「希望」はパンドラの箱を出した後に続く常套句だ。しかしジョミーにはその問いに答える解答は持っていなかった。しかも、キースが尋ねたときに目を閉じかけていた!(汗) その後は思念波で話しかけていた。もう、声を出すこともできないんだ……。ジョミーはキースの問いにはわからないと答えるが、後悔できるのが人間だけだ、機械は後悔しないと答えた。そのジョミーの答えに全力で生きた者にも後悔はないと実にさっぱりした表情で返していた。
 キースが「お前に出会えて良かった」と言うと、ジョミーも「僕もだ」答えた。答えたが直後、事切れたように首が横に向いた。しかしその口からは「キース」という言葉が漏れ出た。呼ばれて先を促すように答えたキースは、しかしジョミーが先に逝ってしまったのを知った。あれ、さっき判らないと言っていたけどジョミーは知っていたじゃないか。あの最期の言葉はキースにも届いたのだろうか?
 ジョミーの最期を見届けたキースは、最期まで自分は独りかと漏らしていた。でもまぁ……軍人として身体を鍛えてきたキースと比べたら、ジョミーの方が持たないだろうなのは確かだね。その後、瓦礫が二人の上に落ちてきた。

 ブルーとジョミーの補聴器を身に着けたトォニィは、シャングリラのブリッジに立っていた。ジョミーのために生きると言っていた彼は、この後も死ぬまでジョミーのために生きていくのだろうね。失いたくないとあんなに泣いていたけど、彼がもう泣くことはないのかもしれない。泣くとしたら自分の死ぬときかな? 自分の生に満足して。
 シャトルを回収すると、トォニィは180度回頭と命じた。地球を後にするのと尋ねられてもう自分たちにできることはないと何もないと答えた。そして何処へと不安そうに尋ねるルリにトォニィは「僕たちの、人の未来へ」と強い瞳で答えた。

 最後のシーンでは小さい頃にトォニィが家族の絵を描いていた。カリナが褒めると嬉しそうに描いたものが誰なのかと説明して、最後にジョミーの絵をかリナに見せていた。その頃の絵をトォニィは大事に持っていたらしい。そして命が何故紡がれていくのか、そして何が大切なことなのかも解ったとジョミーにありがとうと言っていた。
 彼のマントは緑なんだね。成長してからレインはトォニィに寄り付きもしなかったのに、今は彼の傍で眠っていた。これが嬉しかったかもしれない。
 EDは全員を何とか映していた。最後の最後でトォニィが生まれて、それを愛おしそうに頬を寄せるカリナが出ていた。トォニィが先ほども言っていたように、これこそが「地球へ…」のテーマなんだろうね。
 ED後には再生した地球が描かれていた。人はまだいないけど、鳥のさえずりが聞こえていた。メギドの形が十字架だったのは、このシーンを描きたいがためだったんじゃないかと思った。しかし、300年以上経っても死滅したままの星だった地球だったので、ここまでになるのにいったいどれくらいの時間を有したのだろうか? もうトォニィでさえ生きていないくらいの時間かな? いや、人間が住まなくなったという理由が一番大きくて、自然再生が一番効果があったということなのかもね。



 以下、ガンダム特番についてに思うことと日記?
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at 23:59, 真神恵, 地球へ…

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おおきく振りかぶって 22話「防げ!」

 今回の話は捕手対決のようだったね。というか、河合が阿部のことを一目置いたかのような感じだったのが良かったなぁ。今回の見どころは、阿部と河合の対決と、三橋の怯えっぷりと私市さんのひっくり返った声だな(笑)

 三橋のまっすぐについて何か勘付いたかのような河合は、攻略方法を考えていた。決め球はカーブだと思っていたが。実はストレートなんじゃないだろうかと。7回辺りから変えられていると河合は気づいた。そして、青木への投球をジッと観察して、ストレートでアウトを取ったのを見て確信し、監督へ進言するよう島崎に合図を送った。

 河合がバッターボックスに立ったのを見て、ちょっと違和感を覚えた。あの顔と言ったら失礼かもしれないが、それに比して身体が細いなぁと思ったのだ。もっとガタイがいいと思っていたのだけど、それは気のせいだったのだろうか? でも、次の河合のアップのときの肩幅と、それから前川が打ったときのことを話しているシーンでの後ろ姿とか見ると、やはりあのバッターボックスに立ったシーンでの描き方が間違っているようにしか見えないんだよねぇ……。

 カーブ待ちでツーストライクのところ、ストレート枠の中に中に来たからカットしなければとバットを振ったらつい打ってしまった。前川が言っていたことを思い出していた河合は、意識としてはタイミングを遅らせるが、自分の感覚としてはそれでは球には当たらないと考えていた。そして自分が阿部の立場だったら自分にも一球目からストレートを投げさせると考えた。果たしてその読み通り、阿部は三橋にストレートを投げさせた。その球を見て、河合は三橋のストレートは予想の軌道に落ちて来ないのだと知った。タイミングを遅らせたら空振りしそうだと考えたが、河合は試しに次の球でバットを振ってみることにした。前川の言葉を思い出してカットをしようと試みたが、結果は予想通りの空振りだった。
 三球目。今度はカーブだと思って河合はバットを振った。結果はファウル。上がらなかった!? 河合は落ちたボールを意外そうに見ていた。
 これに阿部は河合が何か考えながらバットを振っていると気づいた。そしてここまでの彼の成績を瞬時に思い出し、まっすぐを二回打ち上げているが二度目は腑に落ちない顔をしていたなと考えていた。相手がそろそろ三橋のまっすぐについて考えるところ、と阿部は冷静だった。
 阿部もそうだけど、河合も冷静だなぁ。ツーアウト取られても全然焦らないんだね。これで二球使っちまったぞ。もう一度考えろ、だもんね。
 四球目。当てた手応えに、今度もカーブを打つスイングで三橋のまっすぐを打ち取ろうと河合は構えていた。しかし、まっすぐに食い付いたと気づいた阿部が投げさせた球はカーブだった。足元が揺れたのを見て、河合の構えが崩れたと喜んて見ていたが、河合は「スイング変えるな!」と自分を叱咤して辛くも打った。
 それを見ていた桐青監督は、決め球がストレートになったと進言してきた島崎に今河合が打ったのはカーブではないかと言った。それを青木がストレート四球でアウトを取られたからと言い訳した島崎の言葉に、監督は確かにストレートは増えたが、決め球はやはりカーブではないのかと結論づけた。
 それでも三橋のまっすぐを、何人かが打ち上げていることは気になっているのは確かだった。10割が内野フライならばそれも当然か。しかし監督は三橋のあの球を避けられるならばその方がいいとちょっと後ろ向きだった。選手たちは攻略しようとすると思うんだけどなぁ。さて、この試合中に三橋のまっすぐを打ち取る選手が桐青には現れるのだろうか?

 さて、塁に出た河合は最後にカーブを投げてきた阿部に対して「性格悪いねぇ」と感想を言っていた。こちらがストレートに絞っているとみたら、途端にカーブに切り替えた。その躊躇のない思い切りの良さに「捕手向きの奴だよ」と評価もしていた。しかし結果的に打ったのだから自分の勝ちだと思って見せた表情は得意そうだった。さすがは桐青のキャプテンだけあって相手をよく見ていると思うけど、最後の「俺の勝ちだぜ!」にはやっぱり高校生だなぁと思った(笑) というか、同じ捕手だからなのか阿部をものすごく意識しているよねー。まぁ、これまでの試合運びに阿部に対して一目置いていたのだから、その彼を負かしたのは大層気分がいいのは当然なのかも。

 モモカンは向こうがダブルプレーを警戒しているとサインを送ったのだろうか? 阿部はダブルプレーを防ぐためにはバントを仕掛けてくると見た。その通り、次の打者はその構えを取っていた。普通に転がしてもらおうと阿部が作戦を決めたが、相手は予想外の戦術でそれを迎えた。
 河合は盗塁、本山はバスター。8回裏の大事な場面で? してやられたという表情のモモカン。阿部も試合終盤で同点という状況で賭けに出るところじゃないだろうと毒づいていた。対して桐青監督はもう一度同じ作戦だと指示を出していた。
 いかに相手を出し抜くか。今回のプレーを見て本当に戦いだなぁと思った。阿部はここまでの対戦での相手の成績と研究したこれまでのデータから、相手はこうだったからこう出てくる筈だと作戦を練っていた。しかし、このシーンではあり得ない手段で桐青は打って出てきた。データの解析は大切だけど、データ通りにはいかないという例だよね。相手だってこの展開ではこうだったからと考えた上で奇策を用いたのだろうし。本当に見ていて面白いし、今回は捕手だけでなくて監督同士の腹の探り合いという戦いもあったねー。そして軍配は経験抱負な桐青に上がってしまったということだね。選手の全員一年で、モモカンだって監督として試合に出るのは初めてだったんだもの。

 意表をつかれて呆然としていた阿部は、次の高瀬もバントの構えを取ったのを見て「またかよ!」と冷静さを欠いているように見えた。モモカンはバスターだと仮定すればと考えていたが、阿部は確率からいけばバントだろうと決めてしまった。高瀬の打った球は田島を抜けて外野へ行ってしまい河合を通してしまうことになった……。そしてホームに球は帰ったものの、河合のスライディングに阿部は吹っ飛ばされてしまった。結果、桐青に4点目が入った。
 得点ボードを見て悔しがる阿部を見た河合が「ブロック甘いぜ!」とこれまた得意そうに思っていたシーンに笑えた。あの顔! そうか、そんなに嬉しいか。いや、嬉しいのは当然なのだけど、河合の喜びようが面白かったんだよ。それだけ阿部に対抗心を燃やしていたのかと知ることができたし。
 タッチの差で返球が間に合わなかった。それでもちゃんとブロックできていたら追加点は取られなかったかもしれない。先ほどの自分の守備を反省しつつ、阿部は気持ちを切り替えた。まだアウトは一つしか取れていないのだから。

 ところで、今回水谷は田島を中継してホームに返球していたよね。OPでは泉が毎週ホームに返球しているシーンが描かれているけど、あの位置からホームまでいったい何mあるのか気になってしまった。相当あるだろうに、それでもちゃんと阿部のところに返せたというのもまた凄い。ついでに言えば投手と捕手の間も何mなのだろうか?
 中学か高校のときに体力測定なるものを毎年していたと記憶しているのだけど、そのときにハンドボール投げ或いはソフトボール投げなるものがあった。私の最高記録は50mだったか70mだったかで、同じクラスの女子の中では一番だったかもしれない。……って、まぁ、他の子が10mちょっとしか飛ばせない方が手抜きをしているんじゃないかと私は思っていたけど(笑)、野球の球がそれより小さいとはいえ、バックからホームってそれ以上の距離があるんだろうから、あれは本当に凄いことなんだと思う。
 ボール投げの女子の平均がどれくらいだったか全然知らないけど、その記録が出たときはマジで!?と思ったものだよ。でもまぁ、全然違うけど砲丸投げだって成績悪くなかったし、何より私はドッヂボールが得意だったしなぁ。そういや、バスケットボールもコートの端から端まで投げてしまったこともあったっけ。ゴール前の子に投げたのだけど、球に勢いがあり過ぎたのか取ってもらえず苦い経験をした覚えがある。そのときの私は壁にぶつかったボールを見て「ちゃんと取れよ」と思った記憶がある(苦笑) ええ、敵チームに取られてしまったからねぇ。相手がバスケ部の子だったら取れたかもしれないけど、体育の時間でそんな場所に立っている子ってのはサボリか不得意な子だものね。因みに私はよくゴール前で立っていた。勿論前者の理由で(笑)
 女同士のバスケは苛烈なので、私は上記の投球もそうだけど、できるだけ距離を取ることにしていたのだ。本当に爪で引っ掻かれるんだもの! そのシーンをばっちり見てからは後ろで待ってシュートするようになってしまった……。たまに出動するけど(笑) そのときバスケ部の子が怒って私を狙ってきたこともあったっけ? 運良く入れる球全てが決まってねー。
 意地の悪いので皆に嫌われていた子が、自分の球をカットしてシュートした私に怒ったんだよ。得点したら相手チームがラインの外から投げて試合が再開するよね? そのときにあろうことか私に思いきり投げてきたという……。出動した後は思いきり休むつもりだった私は再びサボりの位置にいたから、これにはビックリした(笑) しかし、上記でそんな球を投げる以上、取ることができるのは当然のことで、本人は思いきり球を投げたつもりだったのだろうけど、それを取って私はまたシュートを決めていたっけ? で、更に怒ってた(苦笑) 何度かそれをやって結果が同じだったからしまいには諦めていたけどね。自分でも驚いたけどあれはとっても愉快だった! なんて書いたら私の方が意地悪く見られてしまうか(苦笑) でも、怒るんだったらカットされないようにしたら良かったのに。自分がバスケ部だからタカを括っていたのだろうか? バスケ部のわりには呆気なくドリブル中に取れたけどねー。

 思い出語り終わり(苦笑)

 この試合、一点のリードでは足りない。そして先ほどの作戦が上手くいった。これならもう一点取れる。桐青監督はそう考えて次のバッターにも同じ指示を出していた。
 阿部は更に苛立っているようだった。これにモモカンはまずは一球外そうと指示を出した。スクイズならサードランナーを挟めるかもしれない。そう思っていたが、今度は一球目では当ててこなかった。
 二球目で山野井が当てた球はピッチャーに向かった。この球を三橋が運良く取れていたら良かったのになぁと思った。顔に当たりそうだった球を咄嗟にグローブで三橋は弾いた。球がどこに行ったのか判らず慌てる三橋に、栄口が後ろだと教えていた。それを拾った三橋に、阿部はホームに返すよう指示を出したが……三橋は躊躇して一瞬投げるのが遅れてしまった(汗) 阿部がボールをキャッチしたとき、サードランナーが滑り込んできた。これを阿部はブロックした。今度は吹っ飛ばされることなくアウトを取ることができた。
 何とか追加点を阻止できたのだけど、阿部は三橋をギッと睨みつけていた。ああ、なるほど。予告でのあの三橋の顔はこの後だったのね(笑) タイムを取って駆けてくる阿部を見てビビり直立不動でとなった三橋。阿部が右手を上げたので慌てて逃げようとするが胸ぐらを掴まれてしまった(苦笑)
 阿部の怒りに三橋は泣いていた。それを見て慌ててフォローに走る栄口。もう8回なのに5点目をあげるつもりか! すぐにボールを投げなかったのかと詰め寄る阿部に、栄口は指示が聞こえなかったのかと三橋に尋ねてみるが、阿部は「そんなワケあるかよ!」と彼までギャグ顔になってしまった(笑) とにかく手を離してやれと言われて阿部が離してあげた。尚も涙顔の三橋は田島の方に近づいて何やらジェスチャーしていた。
「サードランナーが背が高くて……ああ! 阿部が吹っ飛ぶと思ったのか」
 翻訳できる田島も凄いな(笑) それに頷く三橋を見て、阿部がキレた(笑) そういや、河合がホームにスライディングしたとき阿部が吹っ飛ばされたとき、三橋の顔が強張っていた。そしてブロックしていた阿部を心配そうというよりかは呆然と見ていたっけ。あれってそういうことだったのね。理由を知って阿部は何年野球をやっているんだと怒鳴り、再び三橋の胸ぐらを掴んでしまった。
「俺は怪我しねぇつっただろう! くだらねぇ心配で試合をぶち壊すな!!」
 阿部の怒りはもっともだ(苦笑) 三橋の心配も判らないではないけど、そこまで心配しなくても……という気持ちの方が強いかなぁ。スポーツ選手に怪我はつきものだとも言うしね。
 二度と逆らうなと言われ、首を縦に何度も振る三橋に判ればいいんだ気合いを入れ直せと言って阿部はホームに戻っていった。ここで栄口が三橋に何も言わずに守備に戻ったのであれと思った。田島がいたからかな? 落ち込む三橋に田島が彼の帽子を被せてやって「もう怒ってないってさ」と告げると持ち場に戻っていた。
 ようやくギャグ顔から戻れた三橋は、阿部が怪我をしない約束を忘れていなかったのだと安心していた。……約束ってこれのことだったのか。いやぁ、コロッと忘れていたよ(苦笑) 三橋は本当に阿部にベッタリなんだなぁ。それにしてもさっきのシーンは観客も桐青の選手も見ていたんだよね。高瀬なんて三橋の反応を見て吹き出すのを堪えていたのかもしれない。

 河合が前川が三橋のストレートを打っていたと何度も思い返していた。前川は確かにストレートが増えていると打とうと試したが、空振りしてしまった「あれ? えっと……」と何やら様子がおかしい。どうやって打ったのか覚えてなかったのかな? 決め球はカーブ、しかし次にストレートが来たらバットは振らなきゃ……。カットするべきなんだよな!? でもそれで当たらなかったら自分の打席は終わってしまう。……この迷いが更に打てなくなってしまったように見えた。
 一点追加で終わってしまったことに桐青の監督は不安が消せないようだ。そして河合は打った奴らは皆カーブで、結局誰も三橋のまっすぐを打てなかったのが残念なようだった。それでも、次の回を守りきれば桐青が勝つと気持ちを切り替えていた。高瀬がマウンドに向かうときに、河合を見てニカッと笑ってみせたけど、あれは守り切れば勝てると思っての笑顔なのだろうか。そうだとしたら危険だなぁ。だってまだ試合は終わっていないのだもの。

 ベンチに戻りながら、阿部は前川が前打席で三橋のまっすぐを打ったのはまぐれだったのだと知り安心していた。そして三橋に次も守るのだから、西浦の攻撃中に身体をしっかり休めておけと指示していた。
 名前を呼ばれたとき、三橋が田島と栄口の後ろに隠れるようにしていたのが笑えた。しかし二人が道を開けたのを見ると、隠してあげていたように見えなくもない。何だか阿部=父で栄口=母で田島=兄のように見える(笑) 栄口は付き合いが長いから阿部のなだめ役なんだろうな。で、怒らせるのが主に三橋だから、ついつい三橋を庇う存在と化しているし。三橋もすっかり二人に頼っているようだし?(笑)
 もう怒ってないと言われても、阿部の言い方はキツいから打たれ弱い三橋はついつい逃げ腰になってしまうんだねー。後ろに逃げようとする三橋を捕まえるところは阿部もすっかり三橋の扱いに慣れている様子だし。怒ってないと言っているのにビクついている三橋に再び「怒ってねぇって!」と怒鳴っている阿部を見て、栄口と田島が同時に指差してた(笑) 何も知らない人が見たら阿部が怒っているとしか見えないだろうね。
 しかし、阿部のもう一回守るという言葉に、田島が次に得点できなければもう守りはないんだと心の中で呟いていた。そして泉たちは田島に打順を回すと約束していた。今度こそ打つと田島は気合いを入れただろうね。そんな選手たちの様子を見ているモモカンの表情が良かった。阿部が全然諦めていない姿に、田島が真面目な顔をしていたのを見て嬉しいんだろうね。

 そして応援団。浜田は後半になると溜め息はつかなかったものの、心配そうな顔が多かったような気がする。しかし、最終回だから盛り上げて行くぞと発破をかけていた。このとき、浜田の声がひっくり返っていたのがいい。良かったからこのまま放送したんだろうね。アフレコ現場はどうだったのだろうかととても気になった。

 最終回西浦の攻撃のトップは阿部だった。ベンチから出てきた阿部を、河合がジッと見ていた。河合が先頭を切ると気合いを入れる一方、阿部はバツゲームになどさせないとこちらも気迫に満ちていた。来週も捕手同士の腹の探り合いが前半を占めそうでとても楽しみだなぁ。

 今回の攻防はとても面白かった。あの緊迫したシーンの連続! しかし、三橋のオタオタでホッとさせてくれたし、上手い構成だったなぁと思う。

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at 23:59, 真神恵, おおきく振りかぶって

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DARKER THAN BLACK -黒の契約者- 24話「流星雨」

 まるで最終話のようだ。OPがなくて驚いた。車中での黄とマオのやり取りがいいね。

 この件が終わったら、どこかの田舎に引っ込んで黄は釣りをする日々を送るつもりだと言っていた。トンネルの途中で黄は黒たちを下ろした。黄が煙草を銜えると、黒は指を黄の方に向けていた。「火でもつけてくれるのか?」黄はそう尋ねたが、黒の指先から現れた電撃は、黄の煙草を弾けさせて半分以下にしてしまった。「何しやがる!」と抗議する黄に、ニヤリと笑って「煙草は止めておけ」と忠告していた。これに黄は「お前こそ食い過ぎるなよ」と返していた。
 銀は無言だったが、窓の外から黄を抱き締めていた。無表情のままかと思われたが、少し目を伏せて悲しそうな顔で抱き締める手に力を込めていた。それだけで銀が黄との別れを惜しんでいるのが伝わってくる。黒にしても、あんな表情を黄だけではなく物語りの中でも見せたのは初めてなんじゃないだろうか? それだけ彼らが信頼できる仲間となり得たということなんだろうけど、最後になってようやくというのが残念だね。
 銀が彼を抱き締めたとき、娘が父親との別れを悲しんでいるようにしか見えなかった。そしてそう思って、じゃあ黒は息子か、と思った(笑)

 しかし、黄が田舎で釣りをすることは誰もできないと知っていたんだろうね。だからこそあの別れがあったのだから。「しっかりついてこいよ?」そう呟いた黄は右手で自分のお腹を押えていた。……やっぱり前回ので彼は怪我をしていたんだね。
 トンネルから出た黄の車をヘリが追跡していた。上層部に介入があったと前回言っていたのであれは警察のヘリになるのかな? 囮となって追跡する車を自分に引き付けるのだろうけど、仮に逃げ切れたとしても多量の失血で死んでしまうのは明らかだ。

 前回の予告から、星見さまがよく喋るなー。彼女は何を見ているのだろう?

 美咲は単身パンドラへ赴いてシュレーダー博士に面会を申し出た。面会の許可が出て入念なボディチェックを受けていた美咲のポケットに反応があった。「それも?」と不服そうに美咲は尋ねていたけど職員は無情に「お預かりします」と抜き出した。あれはボイスレコーダーでいいのかな?
 通された部屋には博士と西島が待っていた。美咲が博士に面会を申込んだ筈ではと抗議し、博士も二人きりの方が良かったというのだが、西島がどうしてもと言ったらしい。そして西島は美咲と一度は話したいと思っていたのだと答えていた。
 西島は美咲に南米ゲート消失について説明を始めた。5年前、南米のゲート周辺1500kmが物理的不可侵領域になってしまったと博士は言っていたっけ。そこに住む数億の人間と共にと西島は言っていたけど、あの中で人間は生きているんだろうか?
 美咲がその状況を作り出したのがBK201と鋭い目つきでモニターを見ながら言った。そして彼は何故南米の悲劇を引き起こしたのか、と美咲が問いかけると博士が途中で反応して彼女の言葉を否定した。

「彼? 違うよ。その当時のメシエコードBK201は、別の女性を示すナンバーだった筈だ」

 これには驚いた。では何故黒はBK201と呼ばれているんだろう? メシエコードって使い回すものでもないだろうに。困惑する美咲に、しかし西島は過去の事象より現状を理解してほしいと説明を続けた。EPRは南米と同じ現象を東京で起こそうとしているのだと。それを聞いた美咲は訝しげな表情でその情報はどこから得たのかと西島に問いかけたが、彼は自分たちはずっと彼らと戦ってきたのだから知らないワケがないとだけ答えた。そしてEPRが南米のときと同じ規模の東京エクスプロ−ジョンが起きた場合、日本列島は全て物理的不可侵領域に飲み込まれ、あらゆる存在が虚空に消えてしまうという。
 しかし安心して下さい、こんな事態は起こさせませんと西島は言う。美咲の疑問に博士はヘルズゲートを対消滅させるのだと答えた。ヘルズゲートを取り囲む壁は侵入者を防ぐためだけではなく、あるものを守るための堅牢な要塞らしい。そしてモニターには壁と思われる箇所の真下に赤いリングが現れて、そこに光が周回していた。西島はそれを「サターンシステム」と言っていたけど、意味が判らない……。

 美咲の尾行に失敗してから斉藤と河野は何をしていたんだろう? 屋台でラーメンを食べていた。ふて腐れているようにも見えるが、松本から美咲がパンドラへ行ったと聞いて、二人は慌ててパンドラへ向かった。その頃街は物々しい雰囲気になっていた。「特01」とペイントされた装甲車が何台も道路を通過していた。……自衛隊なの??

 大黒斑の発生から45日目に面積が最大とする最終段階を迎え、30分その状態を維持する。この間にゲートを消失させるか、エクスプロージョンを起こすか。その時間まであと5時間27分。
 そのとき、特隊が交戦状態に入ったという連絡が入った。わかったと短く答えた西島がブラインドをあげると、窓の向こうには指令部らしき部屋が見えた。いや、本当に研究機関にしてはおかしいよ。
 一方、天文台では星見さまが話し続けていた。契約者の反応が数え切れないほど多数あると香那美は報告を受けて驚愕していた。そうしている間にも、モニターには契約者を示すらしい赤い点が増えていった。そしてこの天文台のデータは、パンドラのブラインドの向こうの部屋にリアルタイムで漏れていた。
 それだけでなく、現場に近づこうとしている斉藤たちもパンドラの部隊に侵入を阻まれ立ち往生していた。河野は一度本庁に戻ろうと言うのだが、斉藤は待機命令が出ていると答えた。戻れば外に出してもらえないと。戦争状態になっている場所で警察に何ができるのかと思うけど、治安を守る者としては上の連中に何を考えているのだと毒づくのは尤もな考えだ。天文台の情報がただ漏れしていることといい、パンドラのやりたい放題にさせていることといい、西島が手を回したと言うよりは警察とつるんでいるとしか思えない。

 マンションの一室では、雨霧がゆで卵を作っていた。これから戦いに行くのだから、持っていかないと駄目なんだね。前にも書いたけど、アンバーや志保子やアルマのような対価は時間が来ると発生するものだけど、雨霧のように用意しないといけない場合、それを忘れたらどうなってしまうんだろう? 支払わなかった時点で命を奪うのだろうか?
 先に出かけるアンバーに、雨霧は彼女を呼び止めた。穏やかな表情で首を傾げる彼女に、しかし雨霧は「卵いるか?」とだけ尋ねた。アンバーのことをEPRの中では一番知っていそうだし、付き合いも長そうな雨霧だけど、彼はアンバーと共に過去の世界や未来を見に行ったことがあるんだろうか? そして、この戦いでアンバーが死ぬと確信しているから何かを言おうとしていたのかな?

 黒たちはウェイの先導でゲートに向かっていた。公式には存在しないことになっている地下鉄から侵入をしていた。歩いて向かうものの、途中で行き止まりになっていた。マオがどうすると尋ねると、ウェイは「こうします」と言って黒の攻撃を仕掛けた。ウェイがアンバーの下にいたのは、黒をゲートに案内するためだった。そして案内をした後は好きにしていいという条件だった。EPRにいればいずれ黒と会えると思い、再び会って戦うためにウェイはアンバーの下にいたのだという。力を得てから負け知らずだったウェイは、黒に負けた屈辱を晴らすために待っていたらしい。
 戦いを始めた黒とウェイを見ていたマオは、ウェイが屈辱と言っていたのを契約者のクセにと言っていた。契約者は感情がない、始めのころはそう言われていたけどアルマの件でそうではないことがわかった。ウェイにとっては黒に負けたことが何よりも許し難いことだったから、こういう展開になったんじゃないかなぁ。

 シュナイダー博士の説明によると、ヘルズゲートとヘブンズゲートは表裏一体で、片方が消えるともう片方も消え、ゲートが消えると全員溶けて消えるらしい。驚く美咲が本当なのかと訪ねると、博士は実験したので本当に消えると答えた。契約者といえど人間で、全ての者が犯罪者というワケでもないと美咲は抗議するが、西島は数千人の契約者のために数億の人間を犠牲にしろというのかと逆に尋ねてきた。
 美咲が答えにつまっていると、部屋に宝来が入ってきた。やっぱり警察とパンドラは繋がっていたんだね。美咲は「苦渋の決断だった」という宝来を「向こう側の人間」と言っていた。後を任すと言って西島と博士はブラインドの向こうの部屋に移動していた。拳を握りしめて、国連管理下の一研究機関に過ぎないパンドラに、数億の人命を左右するような作戦を単独で実行する権限はなく、ここで行われているのは明らかな越権行為だと訴える声は怒りに震えていた。これは犯罪で、よほど大きな力、国家の枠組みを超えた意志がなければ今まで隠せなかった筈。「ノーベンバー11が追っていたのは、そんな途方もない力を持つ組織だったのですね」と少し俯き話す美咲に、宝来は美咲が既に組織の一部として組み込まれていると告げた。
 世界の秩序を守るために、あらゆる国の諜報機関、政府、権力者に組織の手は及んでいると宝来は言う。そして美咲がBK201もその中に組み込まれているのかと愕然としていると、宝来は「彼も組織の人間だ」と告げた。真実を話したのはノーベンバー11のように殺すからか、と聞いた美咲に、宝来は殺すのは簡単だが、自分たちは常に優秀な人材を欲しているとそれを否定した。

 二人の戦いは黒の勝ちだった。しかし、ウェイは結果が判っていたようだった。笑うウェイに何がおかしいと聞く黒に、自分が殺してしまうようなら道案内をさせる筈がない、アンバーはウェイが黒に適う筈がないと思っていたんだね。結果が判っているのに戦ったウェイに驚くマオに、ウェイは結果がわかっていても戦わずにいられなかったと掠れた声で話した。
 契約者には考えられない非合理的な行動だとマオが言うと、ウェイは黒に会ったおかげでそうなったと答えていた。マオも黒を見ていると飽きないと言って観察していたけど、ウェイもそうだったということだね。結果が判っているのに、それでも戦いを挑んだのは屈辱云々というのもあったと思うけど、何よりもう一度戦いたいと思っていたんだね。でないと最後に行き止まりの壁を破壊して先に行くように言わないもの。

 その頃、黄は倉庫街に追い詰められていた。彼を追いかけていたのはとても黒服の男たちだった。この件が終わったら田舎で釣りをすると黄は言っていたけど、やはり生きて帰る気なんてさらさらなかったんだね。車内に仕掛けた爆薬は、エンジンが止まると作動するようにセットされていたのだろうか? 爆発する寸前に見せた黄の顔は満足そうだった。彼が最後に見たのは多くの星が流れている夜空だった。

 今度は雨霧とブリタが現れた。移動する度に服を調達しないといけないなんて、これはこれで大変だな。警備兵から服を奪おうとする前にとブリタが雨霧の頬にキスをしていた。「よせ、こんなところで」って(笑) 気にする雨霧と気にしないブリタ。これはお国がらなのかな? おまけにブリタは着替えなくても裸のままでいいなんて言っているし。しかし裸にさせられてしまって雨霧は作ってきたゆで卵も置いてきてしまったのだろうか?
 この二人が粒子加速器を破壊する班だったんだね。破壊する直前に雨霧が何かに気づいた。視線を辿るとそこには舞がいた。やっぱり再登場したか〜。有無を言わさず雨霧とブリタを燃やしてしまった。彼女は侵入者がいたら殺すように命じられていたんだね……。
 しかしその映像は、雨霧がポケットに入れていたゆで卵にアンバーが記憶させていた(?)未来のできごとだった。つまり、彼女は未来を見て貰ったゆで卵を雨霧のポケット、しかも奪ってからの服に入れていたんだね。だからさっき出てきたときより更に幼くなっているんだね……。その未来の記憶を有効に使い、先に舞を攻撃して粒子加速器の破壊した。作戦は成功したが、舞を殺してはいなかったので結局雨霧はこの場で命を落すことになり、次に攻撃を受けたブリタは辛うじてその場から離れることに成功していた。
 仲間の元に脱出したブリタの顔に火傷が……(汗) しかも仲間の数も攻撃メンバーは全滅なんて厳しい状況になっていたし。契約者といっても万能ではないということだね。

 雨霧が破壊したというのに、リングには予備があったらしい。博士が聞いていないと言うと、今日初めて話したと西島はしれっとして言っていた。トップシークレットだと言われて自分が知らないと知ると、普通だったら自分が重要人物ではなかったと言われて愕然としそうなものなのに、南米で失敗したのは予備がなかったからだと思い出したあとに「エラい! エラいよ君は!」って褒めるなんて(笑) 博士って研究のことしか興味がないんだねー。

 ゲートの内側に入った黒たちは、現れた観測霊についていった。先に行った銀が「あっち」と言うと、どこかの空間に入ってしまった。黒も躊躇なく彼女の後に続くがマオは汗をかいていた(笑) どうにでもなれと言って飛び込んだ空間で、彼らはビルの上に立っていた。しかし、その足場は重力を無視した場所だった。
 ド−ルを集めていたのは黒たちを導くためだったのか。しかしこれを天文台、そしてパンドラにキャッチされていた。香那美たち天文台のメンバーは何が起きているのか未だに把握できていないようだったが、博士はド−ルを使ったと正しく見抜いた。
 銀に抱かれたマオはパンドラのサーバに侵入していたが、突然切られてしまって痛みを感じたらしい。論文を漁っていたというマオは、ド−ルは単体だと何を媒介にしようとも観測霊とゲート内に侵入させるのにはかなりの苦痛を伴うが、大量のド−ルをリンクさせ、流星の欠片で能力を増幅させるシステムを作れば、ゲートの中心近くまで観測霊を侵入させられる可能性があるという論文を見つけたと二人に話していた。

 パンドラ内では博士がキーを叩いていた。西島はリングへの攻撃が揺動で、黒たちが既にゲート内に侵入していると気づいた。そして博士はノイズの発生源を辿りマオに行き着いた。
 銀に抱っこされていたマオは、黒たちに「餌はカリカリじゃないやつの方が好きなんだ」と言い出した。そして「面白かったよ。お前らと一緒にいると」と振り向いた黒を見て続けた。驚く黒に更に言うマオの口調がなにやら覚束ない。「いつか俺にそっくりの猫がお前らを訪ねて来るだろう……」そう言った直後、マオはマオでなくなってしまった。銀の腕に抱っこされているのを嫌がり、猫のように鳴いてどこかへ行ってしまった。銀の腕から逃げるとき、彼女の手を引っ掻いて……。マオまで死ぬとは思ってなかったよ。

 合間合間にずっと喋り続ける星見さまが描かれていたけど、その表情は目を瞑っていつも微笑んでいるように見えた。それが目を開いて悲しげな表情をさせて彼女は空を見上げた。
「星の数だけ命は消えて、全て流れていなくなる。何処へ行かれる? 流れた星よ。私を置いて行かんでおくれ!」
 う〜ん。星見さまっていったい何なのだろう? 空に瞬く星の全てが契約者を現していて、彼女の力はそれらを全て把握できるものだったんだっけ? そして大量の星が流れてしまってそれを悲しんでいるのかな。

 観測霊を追って、黒たちは橋のあるところまで導かれていた。しかし、その観測霊が突然消えてしまった。銀が声を上げていたので、ただ場所を変えたというのではなくて、本当に消滅してしまったらしい。ゲートの外ではパンドラの部隊がその観測霊を飛ばしていたド−ルが乗る車を破壊していた。……つまり、そこに乗っていたブリタたちも死んでしまったということなのかな?
 博士は得意満面で彼らが道しるべを失ったと言った。黒たちはもうゲートの中心に行くことも、外に出てくることもできなくなったと言う。西島も自分たちの勝ちだとそれは嬉し惣な顔で宣言していた。
 その様子を見ながら、宝来は人間は間違いを犯し、万人にとっての正義は存在しないと言う。まぁ、正義って人がいる分同じ数存在していて、似ていても決して同じということはないものだと言われるものね。間違いの少ない道を選ぶためには犠牲が必要なこともある。宝来はそのためなら自分の手も汚すと言う。しかし美咲は厳しい表情で宝来を見つめるだけだった。非難の目に宝来は「大人になれ」と言うけど、それは美咲にとっての正義ではないので当然の眼差しなんじゃないだろうか? それは宝来にとっては正義かもしれないけど、同調できない人間にとっては悪でしかないもの。

 悲しそうに置いて行かないでと言った星見さまは更に喋り続けていた。
「だぁれもいない暗い夜空。大きな大きな穴一つ。ピカリ光ってその先は?」
 そう言った後、星見さまは大きな声で笑った。それを香那美たちは不安そうに聞いていた。笑い続けるのかと思っていたら、すぐにそれは止んでしまった。「どっちもそっちも。どっちもどっちも」と言っていたけど、これは人間がしようとしていることと、アンバーがしようとしていることを言っていたのかなぁ。

 さて、道しるべを失ってしまった黒たちは、橋の上で立ち尽くしていた。しかし、銀は閉じていた目を見開いて橋から飛び下りた。大した高さではなく、黒が橋から見下ろすと銀は「あっち」と指差していた。見下ろしたときは心配そうな顔をしていたけど、銀が無事だったからだろうか? 黒は苦笑とも思える表情を浮かべて銀のあとに続いた。いや、橋が高いとかそういう話ではなかったか。二人とも水の上に立っていたよ(汗) ゲート内だからという理由でいいのか!?
 そして二人が向かう先にはアンバーが待っていた。彼女は黒たちを見てやっぱり笑顔を見せていたけど、その姿はどう見ても10歳にも満たないものだった。あと一度使えば彼女は消えてしまうのは明らかだ(汗)

at 23:59, 真神恵, DARKER THAN BLACK -黒の契約者-

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