2008.04.29 Tuesday
あまつき 4話「犬神と姫神」
JUGEMテーマ:あまつき
直感というのは信じなければならないと思う。例えばテストのとき、私はこの直感を信じないで二番目に思ったもを選択した結果、解答を間違えたという経験が何度もあった(笑)
それはともかく、神社の階段を昇った後、鴇の足元は揺らいでどこかへ落下してしまった。その底についたら今度は目の前に青年が現れた。鴇は彼の声を聞いて真っ先に思った。
こいつはきっと、傷つける側の存在に違いないと。
しかしその男は、鴇を見て感心しているようだった。まだ何も気が付いていないのに左眼を使いこなしていると言って。そうして鴇を見ながらあれこれ言った後、鴇の誰何の声にも答えずありえない単語を発した。曰くロボットと。
「ねぇ、君は人間とロボットの、どっちが優秀か知っているかい?」
息を飲んでいる鴇に構わず彼は続けた。もちろん人間の脳だと。そしてこの時代の人間にはあり得ない言葉と知識を喋り続けた。あっちの世界の人間なのかと驚く鴇の問いに答えず、ここをあり得ないことが起こるところ、という意味を込めて雨夜之月、あまつきと呼んでいると話した。そして姫はあちらの国を彼岸と呼ぶと教えていた。
「そこで君には二つの道が今後示されることになる。
彼岸に帰るために姫と雨夜之月の破壊者になるか、
雨夜之月を守るために俺を呼び雨夜之月の主になるか」
突然宣告されたことの意味が分からず、鴇は再度男に何者なのか、そして何を知っているのかと問いただした。温厚な彼には珍しく怒っていた。そうして男はようやく、本来の名は捨て、通り名だと断りつつも「梵天」と教えた。それと同時に背中に翼を生やしてた。梵天は鴇には自分の名を呼ぶ価値があると言っていた。しかも鴇がその名を呼ぶときは、この世で唯一鴇だけに仕える、そう言って梵天は翼をはためかせて鴇を吹き飛ばした。
それは何かの誘惑なのか? つまり、彼の名を、たとえ通り名であっても軽々しく口にした者には何らかの制裁を加えるし、またそういうことが可能な存在だとでもいうのだろうか? とりあえず、斜に構えた喋り方をするキャラだというのは解ったが、滑舌をよくしてくれ。台詞が聞き取り辛い(苦笑)
大声を上げた鴇が眼を開いたとき、彼の前には女の子が座っていた。叫び声を聞いて紺と朽葉もやってきた。鴇が突然目の前から消えてしまい、驚いて探しまわったら境内で倒れていたのだと二人は説明してくれた。そしてどこかへ運ぼうとしていたとき、女の子が声をかけて部屋を貸してくれたという。
女の子の名前は真朱。自分の仕事はお客さまを案内したり掃除をすることだと、可憐な声で話しだした。かと思ったら、自分よりも年上の人間をお前呼ばわりしていた(汗) 何でも姫巫女が会いたがっているという。
鴇が案内してくれるの? と尋ねたが、真朱は案内することはできないと首を振った。しかも姫は今死んでいるんだと言う……。三人は狼狽し、朽葉が何かあったのかと尋ねると、真朱は姫が毎日生まれて毎日死ぬのだと要領を得ない説明をした。
鴇がどういう意味なのかと更に尋ねようとしたそのとき、彼らが休んでいた部屋に矢が放たれた。朽葉が全て斬り伏せて障子を開けると、外には矢を番えた巫女姿の集団がいつの間にか現われていた。朽葉が誰だと怒鳴ると、巫女の一人が「卑しき妖どもめ」と罵り、問答無用で再び攻撃を仕掛けてきた。
紺の気転でしばらくの猶予を得たが、内一人のうるさい(笑)巫女が、札を投げつけてきた。そしてそれは紺の影にくっついて操り紺を締め上げた。紺だけでなく鴇と朽葉にも札を投げつけ、自分の影に囚われるがいいと勝ち誇っていた。
この巫女、決め付けたら誰が何と言っても聞く耳を持たない性格らしい(苦笑) 嫌な感じだなぁ。見ただけで三人を妖と決めつけるんだもの。真朱が三人のことを話そうとしても「黙らっしゃい!」「たわけ!」と一蹴していたし。小さい子の話は目線を同じにして聞いてやらないといけないじゃないか! 彼女はいつも年下のものとか自分より弱いものを苛めるような人間なんだろうか。そんなことさえ思ってしまう。
鴇が本当に姫に呼ばれてきたから誤解だと訴えるが、あの道は不浄な者を惑わすように仕掛けられた結界なのだと巫女は言った。結界に阻まれ、道を見失った時点で彼らは妖なんだそうな。あの勝ち誇った顔も嫌だなぁ……。
ところが巫女の説明に朽葉は納得がいったようだった。そして暗い表情で結界が発動したのは自分のせいだと言い出した。こうしたことが過去には何度かあったということだろうか? 朽葉の心に深い傷をまた残すことになっている。やはりあの巫女は許せないなぁ。
しかし鴇はそんなことは言わなくていいと止めた。「だって朽葉はすごく強くて、すごく格好良くて、すごく可愛い普通の女の子なんだから」と笑顔で続けた。……え〜っと、鴇はこんなときに口説いているのですか? 朽葉もどういう顔をしていいのか分からないと言った困惑顔をしているじゃないの(笑)
ただ、鴇の言葉が温かいのは本当のことだ。今までそんな風に自分の味方になってくれるのは沙門しかいなかったのかもしれないね。朽葉が泣いたのってこれが初めてなんだっけ?
せっかく感動のシーンだったというのに巫女はお前たちの正体などすぐに判るわと喚いた巫女は手を振り払った。この巫女、悪役に決定か?(笑) すると、影が彼らの身体を貫いた。そして鴇の左目から黒い羽根が飛び出した。
その羽根を一つつまんだ巫女は、「やはり」と言った。やはりお前は天狗の手の者のようだなと。天狗と言われて鴇が真っ先に思い浮かべたのは先ほど会った梵天というおtこの姿だった。彼は鴇にいったい何をしたというんだろうか? 自分の目に何をしたんだと怒りに震えだしたその矢先、朽葉の叫びによってそれどころではなくなってしまった。
叫んだ後、朽葉はどうやら気絶してしまったらしい。そして彼女の身体から現れたのは犬の姿をした妖だった。そういや犬神憑きだと言っていたっけ。大物だと言った巫女が夜行の手の者かと考えを巡らして呟いたのを聞いてその犬が喋った。
あんな新参者の下に見られるとはとんだ侮辱……。
所詮は三流巫女。大した神通力もないようだな。
侮蔑されて巫女は激怒していた。しかし犬神の声って田中さんなんだ。てっきり男性が演じるものと思っていた。しかも、犬神憑きだと言われて朽葉に暗い人生を歩ませてきたとは思えないくらい、彼女に愛情らしきものがあるように聞こえたのは気のせいではないだろう。
薙刀を手にした巫女と犬神が一戦を交えようとしたその間を紺が割って入った。邪魔をするつもりかと犬神は唸るが、紺は邪魔するつもりは全くないんだが、と言った。邪魔するつもりはないのに実際は邪魔しているじゃないか。犬神もそう思ったんだろう。だからお前も噛み砕いてほしいのかい!?と唸っていた。どうやら朽葉と共に行動している人間を襲うつもりはないらしい。あくまで刃向かうものを倒すというスタンスなのかな?
一方の巫女も紺が何ともないのに驚いていた。だから、思い込みが激し過ぎなんだってば(苦笑)
紺はちょっと待てよと言って、笑い声が聞こえると言って、声の主に出てこいと声を荒げた。
「おやおや失礼。余興が過ぎましたね」
その声が聞こえた途端に他の巫女たちが控えた。威勢のいい巫女の名は鶴梅と言うらしく、姫に対してこのような場所に出てきてはいけないと慌てていた。彼女たちが仕えている姫巫女が出てきたらしい。そして、鴇たちを佐々木に言って連れてこさせたこと、お付きの者が二人いることを話した。そして鴇のことを「白紙の者」と呼び、自分の客だとキッパリ言った。
意味合い的に白紙でいいんだろう。梵天は破壊者にも主にもなれると言っていたんだものね。鴇の心一つで決まる、しかし今はどちらも選んでいない。だから白紙。
そして姫巫女は憎々しげに「天狗め」と言った。鴇の左眼を利用して、自分たちを監視しようとしたのだろうと続けた。そして鶴梅に浄化してあげるよう命じた。その程度ならすぐに元に戻るらしい。
朽葉は気絶していなかったみたいだね。そして紺と鴇の三人は、真朱に抱えられた物体を見てそれが姫巫女なのかと驚いていた。どう見ても人形じゃない。ええと、沙門や佐々木の乳母役(?)で、天狗の仇敵で妖の天敵ですべての人々の護り刀(?)で名前を銀朱というらしい。
改めて挨拶を始めた銀朱に、鴇は腹話術だと叫んでこの現実を受け止めようと努力していた(笑) 鴇は人形が喋っているのを呪いの日本人形としてしか見られないらしい。しかもそれが怖いと。紺の指摘によれば、鴇は妖は平気だが幽霊はダメらしい。鴇に言わせたら、妖は変な動物ですむんだ……。
その本心はともかく、銀朱は鴇の反応に面白い人だと受けたようだった。そして自分は好きでこのような姿をしているのではないのだと説明した。つまり、何らかの事情があって人形の姿になっているのね。毎日生まれて毎日死んでいるんだもの。
姫巫女の仕事は、人々の願いで悪事を働く妖を倒すこと。しかし力のある妖というのは死ぬ間際に呪いを残すため、姫巫女はその呪いにかかり、その呪いが自身を蝕んでいるらしい。だからこうして人形に命を吹き込まなければ生きられないのだと何ともシビアはことをさらっと説明してくれた。
今まで黙って聞いていた犬神が、姫巫女の言った「呪い」という言葉に憤慨していた。呪いではなく「祟り」だと言い換えていた。吹っ飛ばされた真朱の手から人形が離れた。
呪いではない。それは祟りという。
貴様が妖と呼び、身勝手に殺した者たちのね。
貴様らのような存在があの子を追い詰める!
さぁ、どうした! 何の反応もないのかい?
貴様の正義とやら、聞かせてみなさいな!
そこへ梵天の声が割って入った。彼はどうやら姫巫女を嘲っているようだった。曰く、答えないのではなく姫巫女は答えられない状態らしい。一人ではなんの力もない。綾化氏を倒すことも一人で立つことも話すらできない存在である姫巫女を彼は醜く哀れと言い切った。真朱の手を離れた今だから梵天も巫女の意識を乗っ取って入ってこれたと鶴梅のどうやって入って来たとの問いに答えていた。どうやら彼らは顔見知りのようだね。
そして姫巫女の言ったことに失敬なと気分を害しているようだった。鴇の目に自分が細工をしたと姫巫女が言ったことが気に入らないらしい。何でも鴇は梵天がたやすくそんなことをできる存在ではないらしい。価値ある者と言っていたものね。
そんなことも見抜けなくなってしまった木偶なら噛み砕かれてもしまう方がいいんじゃないか。そんな梵天の言葉に従うように犬神は姫巫女を噛み砕こうと口元を寄せた。しかし真朱が犬神の足にしがみ付いて止めようとした。つまり、彼女にとって姫巫女はとても大切な存在なんだね。鴇が慌てて駆け寄るが、犬神は子どもは殺したくないと言ってどきなさいと語気を強めて言うだけだった。
先ほど朽葉をあの子と言って、彼女を追い詰めた存在を憎む発言をし、今度は真朱に対して童は殺したくないからどけと言っていた。そして声は女性で……。つまり朽葉に憑いている犬神とは母性があるらしいね。世間の人間は朽葉を犬神憑きだと疎ましいと言うし、その言葉と行動に大いに傷つけられた朽葉も自分は不浄の者だと自嘲して言っていた。しかしそれは違うのではないだろうか?
憑いているという表現は間違ってはいないと思うんだけど、守護しているように見えてしまう。それにOPで鴇の持つ力と融合したような姿も気になるし……。ますます興味深い物語だなぁ。でもいつものように原作を買って読まないけど。
どけと言われて怖さに叫び声を上げたが、真朱はどこうとはしなかった。そして駆け付けた鴇が犬神の尻尾を掴んでいた。そして弱いもの苛めをするのはよくないと思うと消極的に文句を言っていた(苦笑) 犬神はお前もか、と紺に続いて自分を止めようとした人間に対して呆れているような残念に思っているような感想を漏らしていた。やはり朽葉にとって益となる人間だと犬神は思っていたんだろうね。
犬神の意識が鴇に向いた隙を逃さず鶴梅は真朱を救いだした。それを見て梵天はつまらないなと肩をすくめた。そして犬神に対して「役に立たない駄犬」「血脈の者が死に絶えるのもわかる気が」と言って犬神を激怒させた。しかし梵天は言いたいことだけ言うと意識を乗っ取った身体を本人に返した。しかし怒りで我を忘れた犬神がそんなことに気づく筈もなかった。
真朱の腕に再び抱えられた姫巫女は、鴇に犬神を止めてと願った。
「あなたならできる! 早く!」
その瞬間、鴇には噛まれる寸前の巫女の姿と、止めてと叫ぶ真朱の声が響いた。するとロープと丸太が現われて犬神の口を塞ごうとした。しかし丸太は噛み砕かれロープも緩んだ。
「脆い!」
ロープや丸太が出てきたことには驚かず、戒めが緩いことに姫巫女は指摘していた。鴇は自分がやったことだと認識してはいるようで、しかし狼狽もしていた。すると紺が土岐の右目を塞いだ。
「見た目に惑わされるな。あれは犬の形をしているが化け物だ。
怪物でも止められるもんを思い描け。
あの馬鹿でかい口も、腕も、足も、全部止めろ」
うん。私も鴇と同じものを想像した。獰猛な犬を戒める金属製のものを(笑) 即座にやってのけた鴇は、しかし頭がついていかないようで「どういうこと!?」と混乱していた。銀朱によればそれが「白紙の者」が持つ力らしい。
そうして倒れた犬神に、鶴梅は実体化させていたお札を二枚同時に射た。そして犬神は朽葉の中へ戻っていった。鴇は慌てて朽葉の元へ駆け寄った。大丈夫かという鴇の声に朽葉は「大丈夫」と返すが身体はフラフラて自力で立つこともできない様子だった。
誰が見ても辛そうな朽葉を鴇が自分の膝の上に乗せたとき、鶴梅は鶴梅は弓を突きつけ警告した。そいつから離れろ、またいつ妖として暴れるか分からない、危険だ、こちらに引き渡せ。お前たちのためにもそうすべきだ。
「先になんかしてきたのはそっちだろ!!
あんたに朽葉の何が解るってんだよ!?」
「そういうことだ。元はと言えばあんたの勘ぐりが原因だ。
いちゃもんつけてないで詫びの一つでもしたらどうだ?
一応命の恩人ってやつだろ」
鴇と紺に責められたが、紺に掴まれた手を振りほどこうとしていたことから、謝るつもりは全くないらしい。あくまで自分の言うことが正しいんだね。というか、倒すことばかりで治すことは考えないらしい。遂には銀朱にまで引けと言われてようやく鶴梅は大人しくなった。なるほど、主人以外の言うことは聞かない忠義者ということか。
騒ぎになったことに対して銀朱は詫びを入れたけど、招いておいて攻撃を仕掛けてくるし、助けたのにお礼を言わない者もいるわで鴇たちの心証は相当悪くなったに違いない。
梵天と犬神と銀朱の言葉。それぞれを思い出して、鴇は銀朱に自分に何をさせたのかと尋ねた。少し長い話になる、そう言って銀朱と真朱は一足早く中に入っていった。不信感でいっぱいといった表情をしていた鴇に、紺は気を取り直すように「まずは飯と茶だな!」と声を大きくして言った。最大限のもてなしという銀朱の言葉を繰り返した紺をギッと睨みつけた鶴梅に対して、彼は舌が肥えているから上級品でよろしくと嫌味を言っていた(笑)
一方、梵天と同じ二人の天狗と三人がいる場所はどこなんだろう? 梵天は神社の境内での騒ぎを思い出して、死者がいてもおかしくはなかったのにそれを出さずに納めた鴇を「すごいな」と感嘆していた。
小杉さんと森久保さんの演じる天狗との会話で、彼らは鴇のことを白沢と呼んでいた。彼ら天狗にとって鴇は聖獣扱いなのかー。確かに価値あるものだけど。
まだまだ謎だらけなお話だけど、一番気になるのが紺かな。彼は明らかに鴇を導いていた。何故? 鴇のような力がそうどこにでもあるとは思えないんだけど。紺は何をどこまで知っているんだろうか?