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評価:
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バップ
¥ 3,694
(2010-03-03)
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同僚が映画を見て面白いと言って、一時期気になり、そしてBD&DVDが発売されると知って、倍も違う価格に憤慨していた。それならDVDにするか?と考えていたらいつの間にか発売されていた。
そして同僚(別人)がどうやらDVDを買ったらしく、面白いと言っていた。何でもその時点で三回見ていたとか。毎日帰宅してから見ているらしい。それを知って、そういやすっかり忘れていたともう一度どうしようかと検討してみた。貯まっているポイントの失効日が近かったというのと、それを全部使えばDVDの価格とあまり変わらないことに気づいてボタンを押してしまった(笑)
問題はいつ見るかということだけど、幸いにも今週末は三連休だった。普通の土日だと2時間もの時間を取るのは難しいのでこれは助かった。……まぁ、本当は月末までにやらないといけない事があるのだけど、どうしてもやる気が起きない。PCの電源すら家では入れなくなってきたからなぁ……。あの制度、止めてほしいと正直思うけど、そうなると昇格するのは簡単ではなくなる気がする。と言いつつも、何もしていない私。家にいてまで仕事をしたくないもの〜。
前情報は一切入手していなかったので、どんな話なのかは全く知らなかった。まぁ、買おうと思っていたのも話題になっていたからというのもあるけど、「時かけ」の監督だからいいか、ってそんな気持ちもあった。で、見て思ったことは、この人は既に映像が存在している作品には手を出すべきではないなと思った。話は凄くいいのよ。どれも。だけど既存の作品の映画化は、TVアニメに慣れている人たちからみたらその絵が受け付けられないんだよね。一般人に近い友人たちの拒絶はそれはもう凄まじかった。私自身も該当映画に関して毒を吐いた感想をここに残しているけど、その意見は今も変わらない。それに対して礼を欠いたコメントをされてもその考えは変わらない。原作付きでも「時かけ」は良かったので、本当に絵ってのは大事だなと思ったものだよ。
最初は何が始まったのかと思った。映画の予告CMを何回か見たことがあったのだけど、高校生が田舎にやってきた、というバージョンしか見ていなかったので、最初の画面を見て、これはどういうこと?と首を捻った。
仮想世界で全てを一元管理だなんて怖いな。セキュリティは万全、見たいな説明があったけど、万全なセキュリティってその瞬間には存在するけど、永遠じゃないだろうと思った。それを破ろうとする輩は必ず出てくるんだから。多分、あのOZの世界でも日々進化しているとは思うのだけど、一つのアカウントとパスワードで全てを賄うなんて非現実的過ぎる。だって、そんなの一度入ってしまえば後は簡単に悪いことができるじゃないか……。私だったらそんなシステムに厄介になりたいとは思わない。せめて分散させてくれ……。
などと思って見ていたら、まさにそんな出来事が起きていた(汗) しかしあんな簡単に解けて、あんなに簡単に混乱してしまう社会ってどうなの? 一番怖かったのはお役所関係の情報もそこで管理されていたということかな。そもそもOZを作ったのって誰? 国? まぁ、日本発ではないだろうけど、日本発で公的機関が作ったものだったとしたら、更に恐ろしいなと思った。
夏希と健二ってどういう関係なのかと思っていたら、彼氏役のバイトだったんだね。でも、それが最後には本当になるんだね。そのための事件が起きてしまうんだなぁと思った。
BDを開封して、ブックレットは見ていたんだよね。しかし当然ながら明確なネタバレってのはないんで、彼が責任を感じて〜というような記述を見て何が起きるのだろうと楽しみにしていた。普通の高校生なのかと思ったら、数学オリンピックの日本代表に選ばれなかった数学好きの高校生だった。数学が好きという時点で、文系な私は凄いなーと思った(笑) あんな意味がないように見える数字の羅列を解いてしまうだなんてねぇ。しかもそれを解くときの集中力も凄かった。紙に延々と書き続けているんだものなぁ。このシーンは今後も何度も登場するのだけど、計算するスピードがどんどん早くなっているのには驚いた。最後は暗算で解いてしまうんだもの。鼻血出るくらい頭をフル回転させるなんて、そんな風に頭を使ったことがないので感心するしかない(笑)
夏希の一族は武家の一族の末裔だと言っていた。そして彼女の曽祖母の栄が格好いい。あんなお婆ちゃん見たことない。最初はネットの中だけの話なのかと思っていたら、それが現実の世界に如実に影響を及ぼし始め、そのニュースを見て「これは死人が出るね」と呟くなり、知人友人に電話をかけまくって叱ったり励ましたりしていた。つまり、自分ができることをしていたってことだね。
私はこの映画を見ていて何回か泣いたのだけど、一番最初が「あんたなら出来るよ」という彼女の言葉を聞いたとき。健二と花札をしていたときに静かに言っていたシーン。この台詞は健二だけでなく、電話をかけまくっていたときの相手に何度も言っていた言葉でもある。しかもその相手が警視総監だったり、省庁のお偉いさんだったりするから、このお婆ちゃんは一体何者なんだと思った。いや、陣内家の16代目当主なんだけどさ。
その台詞で泣いてしまったのは、他人を肯定する言葉だったから。ちょっと自分のことを漏らせば、親からはずっと否定され続けてきた私にとっては言ってほしい言葉だったからなのかもしれない。子どもには肯定する言葉をかけてあげましょうという記述をどこかで見たことがあるのだけど、本当にその通りだと思う。隠し子だった侘助を養子に迎え入れるくらい度量の広い栄みたいな親が欲しかった……。
あ、否定されていたといっても、そんな深刻なものではないので。例えば、100点満点のテストで100点とっても褒められたことがなかったという類のものなのかな。「次は取れるかどうかわからないから」みたいなこと言われて。まぁ、姉妹の中で私だけがそんな扱いだったというのは不満の残ることではあるけど、成績は取引材料にするくらいにはできるように成長したかな(苦笑) まぁ、一生忘れないことではあるけどー。
だから、そうやって肯定してくれる人を親に祖母に持った陣内家ってまともな人ばかり育ったんだろうなと思うよ。侘助も何だかんだ言っても栄を慕っていたしね。お偉いさんと知り合いというのだって自慢なんてしたことなかったんだろうなぁ。自分はこういう人間と知り合いだ、と自慢する人がいたとしてもいざってときに何も動けないじゃ、知り合いだって自慢するなと言いたくなるな。
健二が解いてしまった問題は、OZの管理パスワードだったかな。で、健二のアカウントが奪われてしまった。盗んだのは特定の人間ではなくて、AIだと言っていた。でも解いたのは健二で、動いているアバターも健二のものなので、彼はニュースで犯人扱いにされていた。誰も何が起きているのかがわからない。ええと、確か最初は佐久間という友人と共に健二はOZでバイトしているとか言っていたっけ。
いろんなものがあるらしいOZでは、格闘する場もあるようで、そこにいる最強のアバターはキング・カズマと呼ばれていた。このウサギが格好いいんだよねー。しかも、それを操っていたのが陣内家の人間というのはちょっとできすぎかなと思った(苦笑) ラブマシーンと呼ばれるそのAIは、アカウントをどんどん奪って、作中では強靭な肉体を手に入れてカズマさえも倒す。それだけでなく、物語が進行するにつれて全アカウントの……何パーセントだったかな(汗) 2割以上は集中にしていたと思う。一個体であるカズマにだってそれは倒せないよね。
しかし、最初は健二と佳主馬だけだったのが佐久間が加わり、陣内家の男性陣が加わって、最後には全員で事にあたっていたという過程から何から面白い。自衛隊に勤めているおじさんが、所属部署を内緒と言っていたけど、諜報部ってそんな名前かは知らないけど、そういうところに勤めているとか、PC扱っている電気屋(?)のおじさんが機器を全部用意してくれたり、トラックで船を持ってきた佳主馬の師匠といい、なんて人材豊富なんだと思った。
それでも最初は健二も憧れていた先輩にフィアンセ役になって!と言われても即行で「無理です!」って答えてしまうような軟弱さんだった。それが「あんただったら出来るよ」と言ってくれた栄が、「夏希を頼む」と言ってくれた栄がその翌朝に亡くなってから変わっていった。
侘助というのは先代の隠し子で、栄と夏希以外は彼と距離を置いていた。家を出ていって10年も行方知らずだったのがひょっこり帰ってきた。陣内家の他の人間が戻ってきたのは、栄の誕生日を祝うためだったのだけど、侘助が帰ってきたのもそのためなのかと思いきや、本人は違うと言っていた。
おまけにOZの世界を壊しているラブマシーンは侘助が使ったものだったらしい。ハッキングマシンと言っていたっけ? 自分はそれを作っただけで、AIには知らないことを知りたい、知識欲を与えただけだと侘助を言っていた。そして彼は栄に自分は凄いことをやってきたんだ。米軍からオファーが来るくらいのシステムを作り上げたのだと、子どものように目を輝かせて語る彼に、栄は長刀を振り回して答えた。褒めてもらいたかったんだろうなぁ。自分の出自に引け目を感じていたから、何とか自分を認めてもらいたくて。
しかし、栄が亡くなったのはこの翌朝だったんだよね……。もともと心臓を疾患していて、内科医だった息子の万作は携帯で栄の様子がわかるようにしていたというのに、その携帯が使えなくなっていたものだから、異常に気付けないで治療できなかったと言っていた。
一家の主を失って悲しみに沈む陣内家が描かれるシーンがあったのだけど、ここでも泣いてしまったなー。夏希は傍にいた健二に手を握ってと言って、涙を止めてと言っていた。しかし健二が手を握るとボロボロと泣き始めたけれど、「止めて、涙」と言ったときに止めちゃいかんよと真っ先に思った。泣きたいときに泣けばいいのにと思った。
侘助は家を出て行ってしまって再び行方知れず。誰も連絡先を知らない。結局、ラブマシーンは米軍がその効果(?)を知るために実験場をOZにしたということだったらしい。しかしまさかここまでの混乱に陥るとは思っていなかったらしく、大わらわだということを言っていたなー。というか、アメリカを悪者に仕立ててしまったよ!とちょっと驚いてしまった(苦笑)
作中では人工衛星に関するニュースが何度も出てきたのだけど、これが最後に原子力発電所に落ちるように仕掛けられたと知って、世界を救う話になっていった。このときに調子がいいなーと思ったのが、OZの世界の住人たち。キング・カズマが最初にやられたとき、彼を最弱だと罵詈雑言を書き込んでこき下ろしていたというのに、そういう大変な自体に陥った途端に「助けて」だもんなぁ。勝手すぎると思った。
ええと、どうなっていったんだっけか。
侘助を夏希が呼び戻していた。その呼び戻すシーンでも、侘助がパスワードを栄の誕生日にしていた、というのがまた泣ける展開だったなぁ。すっかり不貞腐れていた侘助も、栄が死んだと聞いて慌てて駆けつけていた。顔を見に戻ってきて!という夏希の言葉通りに戻ってきたのだけど、そこから健二たちをサポートしていた。
最後は夏希がラブマシーンに花札で勝負をかけてアカウントを取り戻すという展開になっていた。最初は陣内家と健二と佐久間のアカウントで勝負を仕掛けていたのが、調子よく勝っていた。このまま終わるのかなと思っていたら、夏希がうっかりよそ見をしてしまったために、負けてしまい次の挑戦に必要なアカウント数が足りなくてピンチに陥っていた。そこに世界各地から自分のアカウントを夏希に託すとたくさんのアバターが現れて、夏希は再び戦えるようになった。
最終的に残り2つ以外のアカウントを全て取り戻すことができて、標的にされていた原子力発電所も解除されていた。タイムカウントも止まってこれで終わりかと思ったら、たった一か所だけがまだ残ってしまっていた。しかもその標的が陣内家だった(汗)
ラブマシーンは、その残り2つのアカウントで陣内家に落とそうとしていた。軌道を変えようと健二がまたあの数字の羅列した問題を解いてパスワードを打ち込むのだけど、その度にラブマシーンが鍵をかけるという行為を映像では行ってパスワードを書き変えていた。その攻防で、最後は健二も暗算で解いて打ち込んでいた。イタチゴッコがいつまで続くのかと思っていたら、絶望から立ち直ったカズマが、侘助によって防御力ゼロになったラブマシーンに攻撃をして、どうにか軌道を逸らすことに成功していた。
その戦う姿を見守っている夏希が健二に惚れた瞬間、というのが描かれていてそれが良かったなー。しかも二日間で健二はすっかり陣内家に溶け込んで、最後は夏希との仲を公認されていたし(笑) 見終わったとき、体調も良くなかったというのもあって頭が痛くなっていたのだけど、もう一度見たいなと思った。というか、映像特典をまだ見ていないので、オーディオコメンタリーを見るためにもう一度見る必要はあるんだけどさ。
あと、見ていて慌てたことがあった。見ていたときはダビング作業もしてたので、見たのはPS3だったんだよね。しかしこれが自動に電源がOFFになるようにしていたもんだから、そのメッセージが出てきたときに焦った(笑) 1時間に設定したのは……私しかいないかー。
連休明けは「サマーウォーズ」を見た、という話から始まりそうだ(笑)