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彩雲国物語 12話「逃げるが勝ち」

 国試の最終試験、会試の受験資格があるかその適性試験に合格した秀麗。もう忘れてしまった昔の中国にあった科挙制もこんな風に厳しい試験だったのかなぁ。試験のための試験って、本当に難関なんだね。

 貴陽の城門にいた男二人が睨みつけた先にいたのは新キャラの影月。会試のひと月前は彼のように会試を受けるために地方からやってくる人間が増えるんだね。そして劉輝は周英と絳攸に忙しくなるのでよろしく頼むと言っていた。それに応じる彼らはそれぞれ、身に着けたものに花菖蒲をあしらっていた。
 飯に行くかという絳攸の誘いに、楸瑛は花街にちょっと用があると言って彼を呆れさせていた。仕事と言っていたけど、そういう意味で考えるなら情報を得るためなんだろうね。
 その花街には影月がキョロキョロしながら歩いていた。しかも彼の後ろには人相の悪い男が三人追いかけていた。うん、これから一騒動起きるのは明らかだね。

 姮娥楼という大きな妓楼に秀麗はいた。帳簿をつけていたその傍で三太が秀麗に遠まわしに求婚していた(苦笑) ハッキリ言えばいいのになぁ。まぁ、秀麗の方は何とも思っていないから、素直に言っても素直に断られるだけかな?
 姮娥楼の妓女・胡蝶は秀麗にとっては姉的存在のようだね。回想シーンを見ると、秀麗と彼女の付き合いは10年近くになるんだろうか? 妓楼へ来て夕食の用意があるから夕暮れには帰らせてほしいって、そりゃ主が「はっ!?」と間抜けな声を出すのは当たり前だなぁ(笑) 大きな建物だから収入もいいと考えたんだろうね。そのときはそこが何をするところなのか知らなかったのかもしれない。
 貴陽一の妓女は最初からずっと秀麗がお気に入りだったようだ。客が途中で帰ったけど、残り少ない日を秀麗と過ごすことを喜んでいた。お勤め最後の日に贈り物があるから必ず来てほしいと彼女は秀麗に言っていた。来なかったら花街で働いているのを邵可や静蘭にバラすと言われて、それだけは勘弁してと言っていたことから、秀麗はここでのアルバイトはどうやら黙っているのね。帳簿付けの仕事をしているなら別に問題ないんじゃないかなと思えるんだけど……。

 そして胡蝶は昨日珍しい客が来たと言いだした。どうやら影月はあの後姮娥楼に泊まったらしい。その影月は悲しい夢を見ていたのか涙を流し、そして目覚めた途端に慌てて階下に降りてきた。ということは自分の意思で泊まったワケじゃないんだね。
 ゴロツキに絡まれて酒楼に引きずり込まれた後のことは覚えていないと影月は話していた。姮娥楼の常客が彼を連れてきたと胡蝶は話していた。お金まで払ってまで泊めてあげてくれって太っ腹な客だったんだなぁ。まぁ、こんな大きな妓楼で常客してるくらいだから金は持っている人間か。
 迷惑をかけられないとお金は自分で払うからその人に返してあげてくれ。そう言って財布を取り出した影月はそれが軽くなっているのに気づいて慌てた。秀麗によれば一番安い宿でもひと月ももたないくらい減っていた。焦る影月に秀麗は自分の家に泊まっていくよう勧めていた。仕事が終わらないので手伝ってと頼んだ秀麗とそれに快く返事した影月の様子を見守る胡蝶はまるで母親のようだなと思った。
 影月は計算は早いし、しかも正確だったようで秀麗は関心していた。帰り道に静蘭が周礼を迎えにきた。今夜は酒楼でお祝いだと彼が言ったので秀麗は贅沢なと驚くが、静蘭は秀麗の適性試験及第のお祝いだと言っていた。それを聞いて影月は秀麗をちらっと見ていた。

 影月は黒州から来たと言っていた。今は会試の時期で人が多いから用事は早めに終わらせた方がいいと秀麗はアドバイスするんだけど、まさか彼も国試を受けにきたとは秀麗も思っていないようだった。
 近くの席で今年の会試のことを話す連中は、知っていて秀麗たちに聞かせているのかと思ってしまったよ(苦笑) 子どもの受験が多いのと女がいるとの噂が立っていて秀麗は有名らしい。でもまさか紅家の姫が受験するとは関係者以外は知らないんだろうなぁ。
 その男たちの一人がスッたと言っていた国試はどうやら絳攸と楸瑛のことのようだね。どちらも偉い家の子どもだから、親の金で勉強だけしていればいいと彼らはやっかんでいた。しかし、この試験って科挙制を元にしているんだよね? だとしたら家柄なんて関係ないし、金があって勉強したとしても能力がなければ受かるわけもないんだけどな。彼らは家柄のいい人間が受かる試験だと思っているのかな。
 しかし女が受験するという話で彼らが秀麗を嘲笑ったときに邵可が怒った(笑) 突然彼らが座っていた椅子やテーブルが崩れて、男たちはもちろん、静蘭もあっけにとられていた。どんな早業だったんだ〜。回収する間も邵可はとぼけていたしな。こういう力の使い方は見ていて面白いのでまたやってもらいたいなぁ。というか娘を溺愛しているなぁ。

「誰も何の努力もしないで、大切なものを
 その手に掴むことなんてできないんだよ」

 邵可は若すぎた絳攸と楸瑛も、最初はけなされていたが最後は努力して周囲を黙らせていた。だから必要なのは努力だけなんだと彼は娘に話していた。しかしそれは影月にとってもためになる言葉だったに違いない。

 お酒を勧めてみた秀麗に、影月は酒に弱くて臭いもかぎたくないと言っていた。その影月の言葉で秀麗はお金を盗ったゴロツキが影月にお酒を飲ませたんじゃないかと思いついた。しかし影月の反応はどこかおかしい。酒を飲まして潰すのは無理と言いかけて、王都の人間だったらそれができる人が少しはいるかもしれないと呟いていた。
 影月の話に静蘭は可能ならそれは青巾党というゴロツキ集団だと推測し、彼らは身体のどこかに青い布を身に着けているのが目印だと説明していた。今までは組連の親分衆も目こぼししていたが、最近の彼らの行動は目に余るものが多いらしい。であるなら、親分衆もそろそろ動きだすんじゃないかと邵可が言っていた。
 しかし影月には何の話なのかさっぱりわからない。視聴者と同じ立場ということだね。だから静蘭が説明をしていた。貴陽は州政府側と下町で明確な線引きがされているんだと。つまり、裏社会の親分衆が下町のゴロツキを統制しており、会試のような他州から多くの人が来る時期は下町の治安を守り、無事過ごせるかが親分衆の力の見せどころらしい。その親分衆の中に女性がいたのが気になるなぁ。だって、あの形ってまるで胡蝶のようじゃない?

 盗まれたのが前提で話をしていた秀麗に、まだ盗まれたとは限らないと影月は慌てて言っていた。あまり人を疑わない人間なんだなぁ。秀麗と会えて良かったなぁ。うっかり有り金全部失くしてしまいそうだもの。
 お金は故郷の皆が少しずつ出してもらった大事なお金だから失くしたのは申し訳ない。慌てる秀麗に、でもこれさえ無事ならと袋を取り出した影月は真っ青になっていた。本当に失くしてはいけないものを彼は失くしてしまったらしい。戻りますと言って影月はそのまま飛び出してしまった。それを追って秀麗と、邵可に断って静蘭も少し遅れて彼らを追いかけた。

 秀麗が見つけたとき、影月は青巾党の複数人に囲まれていた。しかしその一人は青巾党の仲間を痛めつけてお金を奪ったのが影月だと言っていた。しかも影月は自分はそんなことをしたのかと彼らに謝罪してい(汗) ……何か思い当たることでもあるんだろうか?
 かなり怒っている青巾党の男に対して、影月は札を落とさなかったかと暢気に尋ねていた。すると彼は集めているからあると言いだした。札なんか集めてどうしようと言うんだろう??
 そこへ秀麗が割り込み、影月の手を掴んで逃げ出した。それで逃げるが勝ちなんだね。しかし影月は狙われているのは自分だからと言って彼は秀麗から離れようとした。この街に不慣れなんだからそんなことはできないとすぐに追いかけた秀麗に、影月は彼女を見ていたが、立ち止まっていたからか青巾党に追いつかれてしまった(汗)
 ここでまさかの秀麗の大立ち回りが見られた! 影月が「すごい」と言った表情がとても印象的だった。静蘭に教えてもらった通りにしたらしい。まぁ、あんなに見事にはまったら気絶するしかないよねぇ。二人を守るために後を追いかけた静蘭も苦笑いするくらい秀麗の蹴りは見事だった!

 このままだと屋敷まで追いかけてきそうと言った静蘭は、影月にどこに戻るつもりなのかと尋ねた。すると胡蝶の使いだという男が現われて、秀麗と影月、そして静蘭にまで姮娥楼に来てもらいたいと伝言を伝えた。青巾党の連中は下の連中に締めさせるという男に秀麗が困惑していると、静蘭も格式ある姮娥楼ならチンピラは入れないと男の提案に賛成していた。

 花街には楸瑛と絳攸、そして劉輝までが来ていた(汗) しかも絳攸の言葉から影月を姮娥楼に預けたのは楸瑛らしい。理由はそこが一番安全だから。楸瑛によると、花街は裏で統制が取れていて安全な場所らしい。絳攸は確かにこういう場所には来ないから、彼の意見は尤もだと思う。そして楸瑛は政府の人間ながらここの裏事情にも精通しているらしい。花街に通っていたのは半分は情報を仕入れるためだったんだね。
 となると、彼らが向かっている先は姮娥楼か。珍しそうにキョロキョロしていた劉輝の質問が子どものようだなぁ。花街が楸瑛の後宮か、なんて聞いているんだもの。楸瑛は影月を劉輝と会わせるために連れてきたんだね。

 青巾党のアジトでは姮娥楼に秀麗たちが逃げたということでそこへ向かうとリーダーらしき男が好色な顔をして言っていた。しかもそこには三太がいたよ。何でそんな連中と一緒にいるんだか……。ただ、彼らが姮娥楼に乗り込むと聞いてこっそり抜け出していたから、性根は曲がっていないということなんだろうか。秀麗への気持ちは本物だったんだねぇ。

 胡蝶に連れられて秀麗たちが向かった部屋には劉輝たちが待っていた。秀麗を見たときの三人の声がまた間抜けだったなぁ。彼らも秀麗がいるとは思ってなかったんだろうね。しかもその後の秀麗が嫌味を言っている姿は、見ようによっては妬いているように見えなくもない。しかし、劉輝の言い訳はマズかった。影月を除くその場の誰もが呆れていたのには笑えた。自分のところでいくらでもできるって意中の女性に対して言う言葉じゃないだろうに(苦笑)

at 23:59, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 11話「恋の病に薬なし」

 柳晋が秀麗を困らせていたのは、彼女が国試に受かるともう自分たちに勉強を教えてもらえないと知っているからなんだろう。しかし、結果、彼女は真冬の川に落ちてしまい風邪をひいてしまった。
 風邪をひくのは何年ぶりかと言う秀麗は、温かい飲み物と氷嚢を作ってくると立ち去ろうとする静蘭の袖を引いて引き止めてしまった。久しぶりに病気になったから心細いんだろうなー。私はよく倒れるのでそういう気持ちが全然ないけど。
 額に手を当てる静蘭に、秀麗は冷たくて気持ちがいいと言い目を瞑った。それを聞いた静蘭は昔のことを思い出していた。……秀麗の母親って喋り方が普通ではないなぁ。あの喋り方は高貴な身分だったとしか思えない。でも性格は楽しいそうだ(笑)
 そこへ邵可が慌てて戻ってきた。泊まり込みの仕事だったらしいのに、秀麗が病気と聞いていてもたってもいられなくなったんだろうな。……しかし邵可でこれだと他の面々も続々と見舞いに来そう……というか来るんだろう。
 病人なんて随分久しぶりでビックリしたという邵可も妻のことを思い出していた。元気そうだったのに、あれは彼女が死んだときの姿だったのかな……。そして秀麗はそれまで病弱だったのが嘘のように元気になったんだっけ。しかし、ショウガ湯を作るのにどうしてあんな物音が台所から聞こえてくるんだろう? そういや秀麗の母親も料理は下手だったと言っていたか。そんな二人だから静蘭はある意味気苦労が絶えなかっただろうな(苦笑)

 そこへやってきたのは楸瑛と絳攸だった。台所の惨状を見て楸瑛がオヤジギャグを言っていた! 絳攸と静蘭のギョッとしたような視線にすぐに我に返っていたけど、彼はそんな事を口にしてしまうキャラだったんだねぇ(苦笑)
 後は私たちに任せて……って私たち!? 仮にも客人に後片付けと料理をさせるなんて(汗) しかも楸瑛は庖丁を持ったことがないと言っていた。刀も庖丁も同じ刃物。刀を扱えるのだから邵可よりは役に立つ筈だと言う静蘭は、役に立たなかったらそこらを片付けてもらいますと言っていた(笑) 静蘭に対する楸瑛の態度に笑えた。普段とは違う姿を見られるのはいいね。反対に絳攸は簡単なものなら作れるらしい。そういう静蘭はどうなのかと絳攸が尋ねたら……静蘭は「瓦の葺き替えから壁の修理、害虫退治に野菜の値切り方の極意まで会得している自分にそのようなことを愚問ですよ?」と、それはそれは誇らしげに言っていた。それは貧乏と紅夫妻との生活で会得せざるを得なかったんだねー。秀麗よりも上手かったりして。万能なのはいいことだけど、元王子さまなのに……(苦笑)

 次に来たのは黎深と奇人。この二人ってこんなに仲が良かったのかー。おまけに二人とも秀麗には甘いらしい(笑) 特に黎深の秀麗以外の人間に対する態度が極端に違うのが面白い。態度が違うといえば邵可に対しても他とは違っていたなぁ。兄を尊敬しているというのは伝わるが、まるで子犬のような反応だな。そんな黎深に邵可も「仕方のないだねえ」とまるで小さい子のような扱いをしているし! そもそも黎深は何歳なのだろう? しかも黎深は昔から極端から極端に走るキャラだそうで。納得納得(笑)

 そこへ門を叩く音が聞こえた。そこには柳晋の父親がいて、秀麗に迷惑をかけたことを謝罪していた。更に柳晋は昼過ぎに山へ行くと言って出ていった切り姿が見えないのだと言っていた。これは秀麗が風邪を引いたと聞いて薬を探しに行ったのかもしれないね。
 柳晋が行方知れずと聞いて、何処の山なのか見当がつき、そこへは馬でも可能だと判断し、そのために必要な道具を用意すると静蘭、楸瑛、絳攸が言っていた。有事のときに適格な行動を取れるのはさすがだ。しかし、最後に紅家から取ってくると言ったあと、絳攸が黎深を見ていた。好きにすればいいと黎深が言ったことから彼に許可を求めていたんだね。しかし黎深は一言どころか二言三言多いなぁ。雪山で遭難したらいかに知識が豊富でも、そんなものは意味がないことを覚えておけって(苦笑) 心配しているのは解るけど、なんて捻くれた物言いだろうか。これでは誤解されてしまうんじゃないか? 絳攸も心配されているというよりも、ヘマをするなと言われているように感じた返事の仕方だったし(汗)
 そこへ邵可が進み出て、黎深のおでこをペチッと叩いた。そして「黎深、そういうときは充分に気を付けて戻って来なさいと言うんだよ」と嗜めていた。そんな邵可だから秀麗のような子に育ち、そんな黎深だったから絳攸のようになってしまうんだろうねー。
 ちょっと苦しいけど、ま、まぁ微笑ましい兄弟の会話ではある(苦笑) しかし、若者たちは物凄い顔をして驚いていた。「あの切れ者知られる黎深さまに何てことを」とは楸瑛。「しかもちょっと嬉しそうだ」と絳攸。養い親の意外な……というか初めて見たに違いない姿にギョッとする絳攸が面白い。イメージがガラッと変わっただろうな。そして二人にとっては邵可よりも黎深の方が上だという認識だったらしいね。
 呆然としている三人に、邵可がテキパキ指示を出していた。更に奇人も協力を申し出ていた。愉快な一面を見せたと思ったら、有事の際には有能で劉輝は人材に恵まれているなぁと思った。

 皆が行ったあと、邵可がいざとなったら自分が行くと言っていた。絳攸を心配しているだろう黎深に対して、彼に万が一なんてありえないと安心させるように邵可は言ったのだろう。しかし黎深は真剣な表情で、邵可が行くのなら紅家の者を総動員させて探させると言っていた。そしてもう何もしてほしくないのだと。何が目的でもそれは同じで、邵可と秀麗にはただ平穏に幸せに過ごしてほしいのだと訴えるように言っていた。
 これは邵可が黒狼として霄太師の元で働いていたのを黎深は知っていたということなんだろうね。そればかりでなく、彼は先王に刺客まで差し向けていたのだという。静蘭を引き取ったのは偶然でも何でもなく、邵可が彼を保護するため赴いたらしい。しかし先王に刺客って(汗) 仕えているのではなかったのだろうか? 兄に対する敬愛の気持ちの方が上だったということなんだろうけど……本当に、極端に走る性格なんだねぇ。
 また、邵可が府庫に勤めていたのは黎深の力のおかげだったらしい。10年間静かで平穏に過ごせたと感謝する邵可に、黎深はたった10年だと言い、静でも平穏でもなかったと返していた。黎深は霄太師を憎んでいるのかな。しかし邵可は自分の意志で行ってきたのだと諭していた。
 心配してくれる弟たちがいて自分は幸せ者だと言った邵可は、それよりもそろそろ秀麗にちゃんと名乗ってくれと黎深に頼んでいた。彼が何故秀麗に叔父だと名乗らないのだろうかと思ったら、秀麗の中で自分が悪者だと思われていると思っていたからだったらしい。まぁ、秀麗の態度を見ていると彼女にそんな風に言われたらショックだろうな。私も最初、邵可が紅家から追い出して縁を切って弟が当主に納まったのだと説明されて、紅家の当主はその座が欲しくてそんな事をするキャラなのかと思っていたし……。でも、黎深が当主だと知っても、そんな説明忘れていたのだけど(笑)

 再び秀麗の母・薔君が出てきた。何故黎深が邵可を追い出して紅家から追い出したのか。その真意を彼女も知っているようだった。また、当時の黎深はそれしか方法がなかったとはいえ、兄を追い落とした形になってしまったことを悔いて暗く落ち込む日々を過ごしていたのかな? いやでも、追い出されていたならそこに薔君もいる筈がないか。それとも決定を下した直後だったのかな? そんな彼にかける薔君の言葉はとても温かかった。
 薔君は黎深に笑顔の練習をするよう言っていた。いい笑顔を見せれば秀麗も笑顔を返す。そう言われて黎深は本気で笑顔の練習をしていたらしい(笑) そうか、初めて秀麗を見たときから彼は姪がすごくお気に入りだったんだねー。

 皆の帰りを待つ邵可と黎深を窓の外から劉輝が見ていた。他に誰もいないのを不審に思いつつも、彼は秀麗の部屋へと向かっていた。かいがいしく看病をするのはいいのだけど、世間知らずな割りには何をすればいいのかと戸惑ったりしないのが奇妙だった(笑) 熱があると知って雪を掻き集めて氷嚢を作ったり、身体を拭いてやったり。で、絶対にやるだろうと思った口移し。水でするのかなと思ったら、薬の方だったか。
 しかし目が覚めた途端、秀麗は叫び声を上げた。驚いて駆け付けた邵可と黎深の、特に黎深の怒り顔に笑えた。さすが兄大事で先王に刺客を送っただけはある。相手が王であろうと姪に害を加える者には容赦しないんだね(笑)
 柳晋を保護し、奇人の家に預けた後に戻ってきた静蘭が、状況を説明してくれた。叫び声を上げたのは、邵可が作ったショウガのないショウガ湯を飲ませたためだったらしい。胸元を抑えていたから、まさか身体を拭かれたことに気づいたからなのかと思ってしまった(苦笑) しかし邵可の作るものって相当不味いものなんだねー。口移しした劉輝が平然としていたから全然解らなかった。思い返せば彼は邵可のいれたお茶を普通に飲める貴重なキャラだったっけ。

 柳晋は手足に少し凍傷が起きているものの、奇人宅で手当てを受けたため心配はないと秀麗の問いに楸瑛が答えていた。それでも心配だからと様子を身に行こうとしていた秀麗の元に柳晋が現れた。どうしても見舞いに行くと言って聞かなかったのだと奇人が説明していた。そして彼はやはり秀麗が自分たちの元から離れてしまうから、宿題を出さずにいたのだと告白していた。冒頭の追いかけっこは困らせるためのものではなかったらしい。宿題を出さずにいたら、出すまで秀麗は去ることはないと思っての行動だったんだね。
 しかし、柳晋は泣きながら秀麗に嫁に行くなと訴えていた。しかも5年たったら静蘭に負けないくらいいい男になるからと続けていた。子どもたちにとっても静蘭は格好いい兄貴らしい。本気で秀麗をお嫁さんにしようと思っているんだねー。いやぁ微笑ましい。
 そんな微笑ましい柳晋に、本気で噛みついたのは劉輝だった(笑) いや、柳晋だって本気なんだろうけどね。そういう事なら自分もあと5年待つとか言い出した劉輝に扇子が投げ付けられた。扇子ということは黎深か。と思ったら、邵可が手が滑ったと言って秀麗の部屋に入ってきた。しかし絳攸と楸瑛は誰が投げたのかしっかり見ていたらしい。顔は見せてなかったものの、黎深が怒りに身体を震わせていた(苦笑) 親バカならぬ叔父バカか。

 一人になった秀麗は、劉輝の服の切れ端を見ながら誰か綺麗で優しい人が妃になってくれたらいいのにと思っていた。劉輝に想いを寄せられても、秀麗には答えられないらしい。劉輝の恋は前途多難だなぁ。憎からず想っていても、秀麗にとっては恋愛よりも夢が勝っているんだね。
 次に薔君との思い出が描かれていた。邵可との出会いということは、秀麗ではなく邵可の思い出か。しかも彼は殺せと命じられた相手に心を奪われたらしい。……こっちのなれ初めの方が知りたいなぁ。そして薔君はやはり身分の高いキャラだった。王家にとって良くない存在だったのかな。
 恋の病につける薬だけはないようだね。窓辺で佇む邵可の言葉は、かつての自分と、そして劉輝にあてた言葉だったのかな。

at 23:59, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 漫画版2巻 感想

彩雲国物語 2 (2)

 アニメ版の絵にも慣れたけど、やっぱり由羅さんの絵はいいね。とは言ってもアニメの絵が嫌だと思ったことはないけど。由羅さんのキャラをアニメ用に描くなんて大変だろうし。

 しかしアニメと展開が微妙に違っていた。これは1巻でもそうだったような……? どっちがいいのかと問われたら……漫画の方がいいかと思ってしまうのは絵のせいかも。あ、でも、漫画版って原作そのままの話なんだったっけ? カットしている場面はあるかもしれないけど、変えるなんてことはなさそうだものね。逆にアニメでは原作そのままなんてないに等しいし。
 特に、静蘭が楸瑛に自分の正体を文章にして知らせていたのは驚いた。……アニメであったっけ? なかったような気がする。で、劉輝がその後に知って泪するシーンが良かった。気づかなかったと言いつつも、自分は知っていたのだと思うところも。
 また、静蘭が茶太保に最初は違うと否定していたのに、本音を漏らしていたところなんて泣きそうになったなぁ。劉輝を心から可愛がっていたのは自分と同じ境遇だったからかと問う茶太保に、静蘭は彼だけがなんの裏もなく純粋に自分を慕ってくれたからだと答えていた。静蘭の答えに笑う茶太保の顔は、目より下だけしか描かれてなかったけど嫌な笑いだったな……。捕らえられたときも静蘭が残された劉輝がどんな日々を過ごすのかということだけが気がかりで悔いていたというのがまたいい。
 劉輝と静蘭。この作品はそういう話ではないと思うけど、どちらが秀麗を一緒になったらいいのかと思うと、この段階では静蘭かなと思ってしまう。しかし、自分よりも秀麗、邵可、そして劉輝の幸せを望む静蘭にとって彼が秀麗と結ばれるなんて日は来ないんだろうな。他ならぬ劉輝が彼女に恋しているのだから。

 それにしても目を開いた邵可はいいなぁ。アニメだとこれに声がつくのだから最高だよ。…って、あれ? では、私がこの作品で一番好きなキャラって邵可ということになるのか?(笑) キャラではなく話を楽しんでいたような気がしていたんだけどね。やはり声の効果は、特に私にとっては絶大だなー。

 秀麗と静蘭が家に戻る前の、静蘭と劉輝のやり取りがいい。自分を兄ではないと言う静蘭に、尚も求める劉輝に言い聞かせるときの笑顔なんて特にいい(笑) また、劉輝が静蘭の反応に、彼が自分だけに優しかったのだと思うシーンは意外だというか納得したというか……。それは今でも変わらないようで、劉輝がビクッと怯えるほどだったなんてねぇ。まぁ、確かに静蘭は楸瑛よりも苦労している分精神的に大人なのは確かだけど。

 2巻には、本編以外に番外編が掲載されていた。これがまたいい。というか泣いてしまった(笑) 顔は描かれていなかったけど、かなりお茶目な性格のようで、アニメで描かれる日が楽しみだな。
 邵可が劉輝と出会ったのは、薔君が亡くなる少し前だったのかなぁ。しばらく出仕もできないくらいに落ち込んでいたという邵可が、どれほど妻を愛しているのかがよくわかる。それでも秀麗や劉輝の優しさに涙して生きようとするシーンが一番いい。

 早く続きが読みたいけど、3巻が出るのはいつなんだろう……。きっちり一年後に出たので、やっぱり今度もきっちり一年後になるのかも。

at 23:35, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 10話「待てば海路の日和あり」

 秀麗は燕青とともに母親の墓参りに来ていた。明日が命日だという。秀麗が燕青の家族の話を聞くと、彼はもう吹っ切れていたのかたくさんいたが子どもの頃に賊に襲われて皆殺されてしまったと淡々と話していた。謝る秀麗にも昔のことだと言って彼女の肩に手を置き、気にするなと言わんばかりの笑顔を見せていた。
 話題を変えようと燕青は秀麗の母は、秀麗がそうだからか美味しいご飯を作るしっかりした人だったのだろうと推測していた。しかし秀麗の母はしっかりとはしていたが、なかなか破天荒な性格のようだった。邵可と同じように不器用で、木から果実を取るのだけは上手だったと話した。「それ、男の役目だろ……?」と突っ込む燕青に笑った。
 そういうことをするのが好きで、何でも面白がる性格な女性だったようだ。そしていつも笑っていて元気で、秀麗とたくさん遊んでくれたらしい。「病弱だった私の看病も付きっきりでしてくれたわ」という秀麗の言葉に信じられないといった様子で「病弱ゥ!? 誰が?」と尋ねる燕青とのやり取りには強い既視感を覚えた。いやだって、私と最近知り合った人らとの会話そのままなんだもの(笑)
 気を悪くした風に答える秀麗は、昔は病弱だったけど母親がいなくなってからは不思議と丈夫になっていたと言っていた。……ものすごい伏線が張られた気がするのは私の気のせいだろうか? だって、彼女の母親は元気でいつも笑っていたのに死んでしまったんでしょ? 病弱だった娘のために何かしたという風にしか考えられないんだけど……。
 燕青はそれを母親の加護だなと言っていたけど、ここで秀麗は自分が雷が苦手になって原因を話していた。その日は雷が鳴っていたという。秀麗の母は元気で丈夫な人で、前日まで笑っていた。そして自分はその日具合が悪かったのだという。母親が動かなくなって、しばらくしたら治ってしまった。
 そのまま黙ってしまった秀麗に、燕青は母親が守ってくれたのだと言って、泣くのを我慢するなと彼女の頭にそっと触れた。途端に秀麗は堰を切ったように今まで押さえ込んでいた感情を露にした。自分が母親の命を吸い取ってしまった。自分の代わりに母親が死んでしまった。自分から大切なものを奪うから雷が嫌いで怖かったのだと、そして夏が嫌いなのだと秀麗は口にした。それって多分邵可にも静蘭にも言ったことなかったんだろうなぁ。二人が心配すると思って。でもそんな気持ちは邵可にも静蘭にもお見通しなのかもしれないね。
 燕青は泣きじゃくる彼女をそっと抱き寄せて、夏が来るたびにこれだと母親も墓の下で泣くぞとあやすように諭した。そして自分の家族も夏に無くしたけど、大事な思い出の方がずっと多いから夏も好きだぞと話した。秀麗は問われたが、そんなものは忘れたと答えていた。そんな秀麗に、楽しかったことを思い出せたらきっと夏も好きになるよと優しく言い、周りに心配をかけるなんてまだまだ子どもだから、早く大人にならないとなと諭した。
 ここは燕青の名シーンになるんだろうね。彼は自分に甘やかしてもらったのだから、もう周囲を心配させないようにできるだろと秀麗の顔を見て言った。そんな燕青に、秀麗は優しくて厳しい人だと評した。燕青はいい男の秘訣だからなと茶化したけどその通りだね。母親の命日までには元気になると約束した秀麗の表情から、もう大丈夫なんだなというのがよく判った。

 これまでずっと執務室に籠って書類と格闘していた劉輝は、ようやくそれが終わったのか、秀麗と会えるととても嬉しそうだった。それを絳攸が変なものを食べてないかと尋ねると、少し気を悪くしたようだった。そして今夜秀麗の元へ夜這いに行くのだと堂々と宣言していた。……言葉の意味を知っていたら言えない言葉だな(笑)
 唖然とする楸瑛と絳攸に、劉輝は邵可に文をしたためたら構わないと返事も来ていると得意そうだった。楸瑛が手紙の内容を尋ねると……「夜に訪ねる。できれば秀麗のご飯が食べたい。二胡も聞きたい。邵可と静蘭と一緒に一晩過ごせればありがたい。空いているのは四日後なのであるのだがどうだろう」だった(笑) 手紙の内容に関しての絳攸と楸瑛の心の中での突っ込みに笑えた。なんてほのぼのとしているんだ!
 傍に置きたいなら命じればいいのにと言う楸瑛に、劉輝は言葉でうまく表現できないものの、それだけはしてはならないと理解していた。そしてそれを知り楸瑛は嬉しそうだった。

 劉輝が楽しみにしていた四日後にはとんでもないことが起きてしまった。その日、戸部に賊が入り、燕青の居場所が知られてしまったのだった。一緒にいた秀麗も危ないということで、奇人は燕青に自分の屋敷を使うように勧めた。
 燕青が送った事情を知らせる文に驚いている劉輝に、邵可は秀麗が帰ってきてから伝えようとしていたと謝罪していた。落ち込む劉輝に、一緒に来ていた楸瑛は「つくづく間が悪い」と、絳攸は「諦めて城に帰るか」とそれぞれ言うのだが、劉輝はうるさいと叫び、どうして二人も一緒に来ているのだと尋ねていた。面白そうだからに決まっているだろと二人は心の中で思っていたが口にはしなかった(笑) この三人の関係もいいなぁ。
 劉輝は文にあった屋敷に行くと言い出した。手紙の差出し人である燕青は誰だと劉輝が言うと、自分の古い友人で今は紅家に居候しているのだと説明していた。静蘭にそう言われては悪態をつくワケにもいかないよね(苦笑) 静蘭は来るのだったら必ず剣を持っていくようにと忠告していた。事情が飲み込めずに楸瑛が尋ねると、茶州から流入した賊たちが追っている男の特徴が、居候と似ているから間違われたのだろうと静蘭はぼかして答えていた。

 秀麗と奇人と燕青の三人で卓を囲んでお茶を飲んでいた。秀麗だけが事情が判らずどうして自分はここでお茶を飲んでいるのだろうと困惑していた。頃合が来たのか、燕青は庭を散歩してもいいかと奇人に申し出、奇人も好きにするがいいとそれを許可した。
 武器を携えて庭に立っていると、静蘭がやってきた、劉輝たちも続いて入ってきたのだが、劉輝が燕青に噛みつこうとしていたのを楸瑛が止めていた。新顔と直前に言っていた男が主上だと知ると、燕青の表情が変わった。しかし、遅れてやってきた絳攸には明かりがついている部屋を指差して、奇人と秀麗に事情を話すよう頼んでいた。文官である彼は足でまといなのだろうね。事情を話してもらう必要はもちろんあるのだけど、厄介払いするのは当然か。そして絳攸もそれは承知している様子だった。絳攸の後に続こうとした劉輝が、静蘭に肩を捕まれ「君、何しにここへ来たんです?」と冷めた目をして言われて溜め息をついていた(笑) 燕青を除いて暗黙の了解があるとはいえ、兄弟として相対しないと決めた筈だというのに、主上を「君」呼ばわりするなんて(苦笑)
 戦っている最中にも会話をしている四人には余裕が感じられる。静蘭が秀麗を巻き込んだことに怒っていると、一緒にいられたところを見たので人質に取られないために一緒にいるのだと燕青は答えていた。「そもそもお前は何者なんだ!?」という劉輝の質問には楸瑛もそれが聞きたいと重ねて尋ねていた。その話は後でと燕青は言ったけど、あっという間に片付いてしまうんだろうね(笑)

 一方、絳攸から事情を聞いた奇人は、やってきたのが主上と聞いて「馬鹿王」と言っていた(笑) 絳攸は戸部に秀麗を送ったことに対して何かを言おうとしたが、奇人はそれを話すのはお前ではないとピシャリと遮った。しかし、秀麗と燕青が役に立ったと聞くと、心の底から嬉しそうな笑顔を見せていた。
 荒事が片付いて、秀麗が絳攸と一緒に庭に来て絶句していた。劉輝が寄ってくるとどうしてここにいるのかと少し混乱しているようだった。事情を尋ねようとした秀麗は、燕青がいないことに気づいて尋ねた。巻き込んだ本人がいなくなるとはと劉輝は怒って言ったが、そこに鬚を剃った燕青がやってきた。劉輝と秀麗が「誰?」と二人同時に首を傾げるのはお約束な展開だな(苦笑) 劉輝はともかく、秀麗は本当に気づかなかったのだろうか?
 燕青が鬚を剃って前髪を少し切って身なりを整えたのは、墓参りをしていたときに秀麗が言ったからではなく、主上に報告するためだったんだね。

 燕青はただのプー太郎ではなく茶州の州牧だった。その名前は国試に通らずに州府長官に抜擢されたというので有名だったらしい。茶太保が亡くなったことでそんな影響が出てしまうなんてねぇ。面白い展開だ。
 茶州には、中央の支配から逃れて実験を握ろうとしていた歴史があるらしい。しかし茶太保が一族の長になってからは上手くまとめていたのではと絳攸が尋ねると、それは一時的なものだったらしい。茶太保が王の近くに仕えるようになってからは茶州に目が行き届かなくなって、長官への謀略を許すことになってしまったという。だから誰も長官になりたがらず、結果、どんな刺客も返り討ちにできる人間を州牧にすればいいという茶太保の言葉に従って燕青に白羽の矢が当たった。
 試験に受かっていないから臨時に長官の任に就いたらしいのだが、絳攸に説明によると茶太保の目は確かだったという。刺客を悉く退けていただけでなく、政治の方も見事だったという。有能な補佐官を同行させてはいたが、最終決定は自分で下して誰が州の長であるかを周囲に示していたという。
 燕青が劉輝の元へやってきたのは、茶州のはい玉と印を預かってもらうためだった。茶太保が死んだことで、一族の動きが活発化したとのことだった。しかし劉輝は茶州を不在にしたことで燕青を責めた。それは正式に任命された長官がいたらの話で、自分のような特例でなった自分には、国試に通らない者が長官だとは認められないと言われたら、茶太保の後ろ楯を失った今ではその言葉に従わざるを得ない。だから来たのだ燕青は劉輝に説明した。
 燕青は今の主上や周囲にいる人間がどういった人物であるかを見極めた上で事情を話そうと思っていたらしい。賊に追い掛けられていたのは燕青に賞金がかかったためだった。劉輝は話を聞いて正式に任命書を出すと言ったが、それでは同じことの繰り返しだからと燕青は拒否した。そして今度こそ誰にも文句をつけることができない正当な州牧を派遣するよう願い出た。
 これからどうするのかという問いに、燕青は州牧でなくともできることはあると言って茶州に戻ると答えていた。劉輝は燕青に国試でなくとも準試には受かるよう命じた。そうすれば州牧補佐には任命できるのだからと。それに対して燕青は、補佐ならもういるが準試は受けるつもりだと答えていた。茶州の文官になるのが自分の夢だからと語っていた。それは国試を受けられないのに勉強を怠らない秀麗の姿を見て感化されたからなんだろうね。

 一件落着したその後、秀麗は奇人の家で料理をすることに納得ができないでいた(苦笑) 文句を言う秀麗に、自分に会えて嬉しくはないのかと拗ねたように問う劉輝に、文やら贈り物を送られていたからしばらく会っていない感じがしないと秀麗は言うものの、「本人に会えてまぁ嬉しいわ」と笑顔を見せていた。それに気を良くした劉輝が文を読んでくれたのかと尋ねると、読んではいるが高級な紙に一行だけ、しかも手紙ですらない文を書いたことに秀麗は呆れていた。楸瑛が文はマメに書くようにアドバイスしたからだと劉輝は笑顔で言うのだが、聞いていた楸瑛は「中身が大事なんですよ」と呆れて呟いていた。その横で黙々と食べている絳攸は何も言わなかったが気持ちは楸瑛と同じだったんだろうね。目が物語っていた。
 手紙だけでなく、贈った品々に対してもどうしたのかと劉輝は尋ねた。氷はかき氷にして近所の子どもたちと食べ、ゆで卵は近所の人たちと分け合って美味しく頂いた、赤い花は押し花にして本の間に挟んでいる、藁人形は部屋に飾ってある……。会話を聞いていて、燕青は藁人形は嫌がらせなのかとコッソリ尋ねたが、静蘭は主上は心の底から本気でいいと思ってやっているのだと説明していた。
 秀麗の答えに満足したのだろうか。劉輝は今日も贈り物があって持ってきたのだと言って袖を探っていた。取り出したのは木の枝だった。……そんなものを入れて戦っていたのか。受け取った秀麗は食い入るようにその枝を見ていた。劉輝は、前に秀麗が庭の桜が咲かなくなったという話を覚えていたので贈ることにしたらしい。苗木は明日にも届く筈だが、取りあえず枝だけでも先にと思って持ってきたと劉輝は説明をした。そして秀麗は涙を流して今までで一番嬉しいとお礼を言った。
 心底感謝している秀麗を見つめた劉輝はそのまま口づけた。またもや周囲に人がいるのに(笑) 呆気に取られる面々の中で、絳攸だけが面白い顔をしていた。固まること数秒間、秀麗は真っ赤になって涙を浮かべて怒っていた。「大人しく殴られなさい!」という秀麗に、劉輝は本当に何故彼女が怒っているのか解らないようだった。燕青は大事な姫さんに手を出されて怒らないのかと困惑したように静蘭に尋ねるが、彼は別に大したことではないと言い切った。それ以上に、静蘭にとっては庭を見てもう泣くことがないという方が大きかった。つまり劉輝に感謝こそすれ、嫉妬するなんてあり得ないということか。ええと、静蘭は別に二人の仲を認めているのではなくて、余裕をかましているだけだったということ? 年齢は26歳くらいだったっけ? でも、秀麗って劉輝にキスされる前から目を瞑って待ってなかったっけ? ……まぁ、それはそれで面白そうなので構わないのだけど(笑)

 翌朝、劉輝たちを見送る秀麗たち。「お城でおとなしくしているのよ?」という姿は母親のような言い方だなー。王宮へと足を向けた絳攸は、しかし数歩歩いてから秀麗の元へ戻ってきた。そして国試を受ける気はあるかと尋ねていた。そして劉輝と共に今年中に女性の国試受験制の草案を通すと教えた。しかし政治は男がするものだという意識改革はされないままだから、仮に受かったとしても秀麗の歩む道はとても厳しいものになるだろうと絳攸は予言した。碌な仕事も与えられず意見は無視され嘲笑や罵倒に晒される。独りで頑張らねばならないだろうと続けた。予言ではなくて確定事項だね。そういうことを平然と行われる場なんだね。その覚悟はあるのかと問われた秀麗は、毅然とした表情で「やります! やらせて下さい!」と言い切った。彼女がそう答えるなんて皆解っていたんだろう。だからこそ、絳攸も劉輝も尽力してきたのだから。
 そして今度は燕青を見送った。彼は国試に受かった秀麗が自分の上官になったら面白いのなとコッソリ言って、茶州へと戻っていった。

 国試の女人受験は、多くの反対意見を押し切っての可決だと最後にナレーションが入っていた。可能にしたのは次期宰相候補の黎深と奇人が賛成したからだったんだね。
 最後に霄太師が何かをしたのか、茶太保を甦らせていた。死者を甦らすなんてどういう考えなのだろうか? ともかく、怒る茶太保に頓着せずに霄太師は茶州のことを告げると、茶太保が反応していた。今後実体のないまま甦ったように見える茶太保が燕青たちを手助けする、なんてことが起きるのだろうか?

at 23:43, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 9話「千里の道も一歩から」

 雑用係を始めて10日経ったらしい。しかし奇人って人使いが荒いなぁ。いや、見ていると言い付ける用事って嫌がらせのようにしか思えない(苦笑)
 前に食事会の日とか言っていたけど、絳攸と楸瑛は頻繁に秀麗たちの家に来ているらしい。週に一回というペースなんだろうか? そしてその際に秀麗は絳攸に勉強を教えてもらっているらしい。国試を受けられなくても勉学は欠かさないのがいいね。おまけに戸部の仕事が楽しいと言っていたし。
 秀麗が勉強している後ろで静蘭がそれを見守っていた。彼はああやっていつも彼女を見守っているのだろうか? そのとき、何かに気づいたのか静蘭は窓の外を見た。すると武器を持った燕青が何処かへ出かけるところだった。それを見た静蘭は「あの馬鹿!」と言っていたけど、彼が何をしているのかを知っているというのだろうか?

 暑い日が続くある日のこと、奇人は秀麗を読んである質問をした。国の予算が余ったら、お前ならどういう風に使うのかと。しばらく考えた後で秀麗は助産婦や妊婦への補助金制度の確立や、貧しい史学者のための助成金、災害に強い穀物を改良する研究費にあてるべきだとハキハキと答えた。お金は残しておいてもイザというときに食べられないから、役に立つときに使うべきだと思うと最後に答えていた。
 そこへ燕青が帰ってきた。奇人は秀麗の答えに何も言わず、次の用事を二人に言い付けていた。しかし内心は秀麗のことを認めているようだった。
 鴻臚寺への使いが終わって秀麗と燕青は日陰で休んでいた。話していたのは奇人のことだった。人前では決して仮面を外さないらしい。そして彼がいつもしているお面は一つではなくてたまに違うのをはめているとか。更に仮面を付けた原因が顔のために女に振られたからという噂まであるらしい。

 ある日のこと……まぁ、王宮内にいるのだから劉輝と鉢合わせたりする可能性は高いのは当然だよね。それなのに今まで会わずにいたのは幸運だったのかな。今回初めて鉢合わせそうになったが、秀麗は咄嗟に柱の影に隠れていた。しかし、秀麗曰く動物なみの嗅覚で劉輝は彼女の存在を感じ取っていた。しかし姿が見えないので暑さのせいかと呟いてどこかへと行ってしまった。
 一息ついていると、秀麗の後ろにいつの間にか見知らぬ男性がいた。戸部によく働く子が来たと聞いて見に来たらしい。紅省書は厳しい人だからたいへんだろうと男は労うが、秀麗は逆にやりがいがあると笑顔で答えていた。その答えに男が感動したのか、振り返って「いい子だ」と言って彼女の頭を撫でていた。更に自分ことはどう思うかと尋ねてきたが、秀麗は「いい人だと思います」と困ったようは表情を浮かべて当たり障りのない回答をしていた。
 しかし男は心底嬉しそうだった。もうすぐ戸部はすぐそこなのでとお礼を言ってから、秀麗は男にようやく名前を尋ねた。男は嬉しそうに答えようとするものの、何かを思いついたのか、自分のことは「おじさん」と呼んでくれと言って去っていった。……おじさんと呼ばれて喜ぶなんておかしな男だなぁ。秀麗は暑さで変に人が増えているのだろうかと不安そうな顔をしていた(苦笑)

 秀麗が戻ると奇人はソファに寝そべっていた。何もすることがないからか、秀麗は奇人を凝視していた。いくら寝ているからって、それは失礼なんじゃないかと思っていたら、彼女はどうやら髪を見ているようだった。何でも奇人の髪はサラサラで綺麗らしい(笑)
 先ほどまで晴れていたというのに、突然雲が空を覆い雷を落していた。奇人が目覚めて秀麗に何をしているのかと問いかけたが、秀麗は固まったまま動けずにいた。そして一際大きな雷鳴が轟くと、両手で耳を押えて叫び、奇人に抱きついていた。
 同じ頃、盗賊退治をしていた静蘭は、秀麗のことが気になって仕方がないようだった。先週、秀麗は静蘭が盗賊退治に従事するのを喜んでいなかったが、夕立ちの雷で秀麗はいつも静蘭にああやって抱きついてあやしてもらっていたんだろうね。
 珍しく狼狽えている奇人に構わずに、秀麗は雷が鳴っている間中叫び続けていた。……ここまで怖がるなんて少し異常なんじゃないかと思ってしまった。そこまで怯えさせるような何かが秀麗にはあったのかもしれないね。
 夕立ちが病む頃に秀麗はようやく大人しくなっていた。奇人は何も言わずに彼女の頭を撫でてやっていたが、そこへ戻ってきた燕青と景侍郎が二人の姿に唖然としていた。

 その夜の夕食では燕青が面白いものを見せてもらったと大笑いしていた。一方で秀麗は落ち込んでいた。静蘭は雷が鳴ったときに一人でなくて良かったと安心していたけど、秀麗は奇人に呆れられたと頭を抱えていた。
 邵可は、この時期はいつも秀麗が元気をなくすが今回は働いているからかそうではない。だから働いているのがいい気分転換になっているんだと静蘭も言っていた。確かにその通りだが、それも一ヶ月の話なのだと秀麗は落ち込んでしまった。
 夜に一人で勉強している秀麗に燕青が差し入れにきた。そして彼は自分も役人を目指していたのだと話した。叶わぬ夢を見続ける是非を話していた秀麗だったが、それでも夢は諦められないから頑張れるだけ頑張るのだと気を取り直していた。そんな秀麗の頭を撫でた燕青だったが、秀麗は邵可と静蘭が自分を元気づけるために燕青を寄越したのを解っていた。気づいていたのかと燕青が言うと、秀麗は彼が持ってきたおにぎりで彼らが気を遣ってくれたことを知ったようだった。本当に温かくていい家庭だなぁ。

 奇人にお面をあげていたのは、秀麗に「おじさん」と呼ぶように頼んでいたあの男だった。名前は紅黎深……紅家ということは、秀麗と親戚なんだね。だから叔父さんなんだ。奇人は戸部に秀麗を寄越したのは黎深なのかと尋ねていたが、黎深は自分ではなく絳攸だと教えていた。ええっと、つまり黎深は絳攸の恩人か何かなのかな?
 女性の国試試験受験が可能にという議案に真っ先に反対した奇人に、実際に働きぶりを見てもらった方が早いと思ってのことではないかと黎深は言った。逆に女と知っていて雇ったのかという問いに、奇人は人手不足だったのだとぶっきらぼうに答えた。奇人にとって、女性の国試試験受験は受け入れられない愚案だと言い捨てていたが、黎深は「今度からの」国試試験では反対なのだろうと付け加えた。そして奇人もそれに反論せず、時間が少なすぎるからだと答えていた。政が男のものだという認識を改めるのに時間がかかるし、女性が受験できるように国試制度も大幅に変えねばならないからだと続けた。
 初登場を見たらとてもそうは思えないのだけど、この黎深という男は吏部の怜悧冷徹冷酷非情な氷の上官と呼ばれているらしい。そんな男がどうして反対しなかったのかと奇人が尋ねると、それを愚問だと言い切った。国試試験での上位での合格が可能だからという理由らしい。絳攸の保証付きだと黎深が答えると、絳攸は次代を担う逸材、秀麗は出来がいいと奇人も褒めていたが、どちらも黎深の身内でなかったらと前提がついていた(笑) おまけに奇人は自分の嫁にほしいとまでいうくらいに秀麗を気に入っていた。それには血相を変えて黎深が反対していた(笑)

 新作の面は「少し夏バテ気味の顔」という黎深の力作らしい。いらんわと言っていたのに、翌日付けていたのでおかしかった。しかも、秀麗がいれたお茶をどうやって飲むのかと思ったら、目もと近くにあるボタンを押すと口元が開閉する仕掛けがあるらしい……。画面でも顔を見せてはくれなかったのだが、黎深以外は素顔を知らないということなんだろうか?
 奇人が他人がいれたお茶を素直に飲むのは青天の霹靂らしい。……そこまで言うか(笑) 景侍郎は奇人がそれだけ秀麗を気に入ったのだと話していた。そして秀麗に国試を受験して正式に戸部に来てほしいと言った。彼女が女だとは知らない景侍郎は、国試を受けられないという彼女の言葉を呆然と聞いていた。そこへ奇人がまた二人倒れたと報告していた。それを聞いて自分たちが頑張ると言って秀麗は燕青に声をかけたが、彼は顔を背けるように自分たちにできることならと答えていた。
 その言葉を聞いた奇人は、燕青に臨時戸部司政官に加えるので、倒れた二人の仕事を引き継いでもらうと命じていた。秀麗は驚いて燕青を見るが、奇人は「お前ならできるだろう? 浪燕青」とフルネームを言っていた。言われた燕青も驚いていたけど、奇人は燕青が何者かを知っているということなんだろうか?

 絳攸は、劉輝の執務室に行こうとして迷っていた。何度も行ったはずなのにと苛立っていると、そこへ景侍郎が声をかけてきた。そして絳攸に秀麗のことを相談していた。国試を受けられない事情が何かあるなら自分が後見人になると申し出たが、絳攸は景侍郎にそこまで言われて秀も喜ぶと言いつつも、彼の申し出を辞退した。理由は後で、秀が官吏になったときに判るからと答えると景侍郎は秀麗が国試を受けるつもりはあったのだと知って安心したようだった。

 燕青は毎晩賊退治に出かけていたらしい。静蘭が出かけようとする燕青に声をかけた。自分たちが捕まえた賊が揃いも揃って左頬に十字傷のある男を探していると答えていたらしい。どうするのかと思っていたら、静蘭は理由を問いただすのが目的ではなく、邵可や秀麗に迷惑をかけるなと言いたかったようだった。用件がそれだと知ると、燕青は静蘭に秀麗と夫婦になればいいのにと言い出した。これにはさすがの静蘭も赤くなっていた。
 ここで燕青は静蘭に性格の悪いお前が一緒にいたい思う女なんてそうそういないと言っていた。……公子として生きていたときはそうではなかったと思うのだけど、外の世界へ放り出されてから今日に至まで、静蘭はどうやって生きてきたのか知りたいと思った。
 燕青は、静蘭と秀麗が結婚すれば全て丸く納まると言っていたけど、劉輝と秀麗が出会う前だったらそれもあったんだろうなと思った。自分の気持ちを殺してしまう静蘭は、劉輝と秀麗が幸せになることしかもう考えていないに違いない。たとえ、燕青にそう言われて顔を赤くしていたとしても。



 以下、日記〜。
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at 23:33, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 8話「猫の手も借りたい」

 今回から違う話になった。彩雲国の夏はとても暑いらしい。いや、暑いというよりも熱いのかもね。倒れる者が続出と言っていたけど、炎天下にあんな暑苦しそうな服装で歩いていたらそりゃ熱中症にもなるって(汗) 宋太傳は鍛えているだけあって丈夫だなぁ。
 しかし王宮内が人手不足になるほど人が倒れていくなんて尋常じゃないよ。役人が体力なさすぎというのもあるけど、こんな調子だと反対に物凄く寒い冬が来たらそのときも倒れそうだな。だから「猫の手も借りたい」というタイトルなのか。
 静蘭は秀麗と共に王宮を辞して今は米蔵門番らしい。実力があるのにそんな職に甘んじているなんて……。いや、甘んじているなんて彼は少しも思っていないんだろうな。毎日働いて秀麗や邵可の家に戻って一緒に過ごすことが一番の幸せだと思ってそれ以上は全然望んでいないだろうから。

 朝議でも人材不足が問題に取り上げられていた。何でも戸部は危機的状態だとか……。しかし他の部署の者は戸部に人材を貸し出すのにかなり躊躇しているようだった。最後に劉輝は次の国試からは女性を受け入れようと思うと提案していたのだが、それには朝議に出席している全ての人間が呆気に取られていた。まぁ、女性が政治に参加するなんて彼らには考えられないことなんだろうな。

 一方、秀麗は家に戻って再び寺子屋で子どもたちに勉強を教えていた。子どもたちが紙に書かれている文字を読んでいたけど、あれって劉輝から秀麗宛てのラブレターでは……。それを書き取り用の紙にしてしまうなんて秀麗はとても逞しかった。普通あんな恥ずかしい文章が書かれた手紙の裏を使おうなんて思わないと思うのだけど(苦笑)
 匿名希望さまからの贈り物の数々の中で、手紙が一番役に立ったらしい。しかし、贈るものが何を考えているのか理解できないものばかり。おまけに匿名希望って言っても誰なのかなんて皆にバレバレじゃないの(笑)

 劉輝の見た夢が面白かった。最後の「じゃあね、義理の弟!」「お前も幸せになれよ! 実の弟」って、あれ一番うけた。しかし一番の笑いところは、劉輝がそんな夢の内容を楸瑛や絳攸に話していたことだ。19歳の王がすることか?
 盛大に笑ったあと、楸瑛が夢だ悪夢だと言う劉輝に対して現実にもありえることだと言っていた。劉輝がこまめに文を送っているし、贈り物もたくさんしていると言うと、楸瑛は感心したような表情を浮かべていた。しかし、最近贈ったものを聞いて絶句していた。……藁人形って! 本当に用途を知らないとでもいうのか? 楸瑛が念のために贈った意味を尋ねると、霄太師が有名な呪いなのだと教えてくれたと嬉しそうに言っていた。クソジジイと憎々しげに言っていたのに何故そんな彼を信用するのだ?? 純粋ではなく、これでは本当にただの馬鹿ではないか(苦笑)
 それに対しては楸瑛は突っ込みは入れなかったけど、返事を一度ももらえていないと言う劉輝が、送り主が誰なのか判らないからだと一人で納得しているのを見て心の中で大いに突っ込んでいただろうな。道は遠く遥か険しいと溜め息と共に言うだけだったけど。

 その間絳攸は会話に参加していなかった。夢の話をしたときにチラリと劉輝を見ていたけど、彼は書類のチェックをしていた。書き直しと言っていた。戸部省書を納得させることはできないと言って、書類を突き返していた。朝議で女性の国試受け入れを提案した後、戸部省書は無言で退席してしまったらしい。あれ、何の準備もしないで言っていたのか。一度却下された案を通すのは至難の技だと絳攸は劉輝をたしなめていた。政治の場に女性を登用するなんて、並み大抵のことでは確かに通らないだろうね。この作品はファンタジーだけど、時代背景は昔の中国で、国試ってのは科挙みたいなものだろうから。当時の……これは中国だけの話ではないけど、子どもを産むためだけの存在である女性が政治の場に現れるなんて考えられないことだものね。

 夕方に帰宅した秀麗は、自宅の前で座り込んでいる男を見つけた。その男は静蘭が帰宅すると「おかえり」と平然と答えてもくもくとご飯を食べていた。……行き倒れていたのか。しばらく呆然として「ただいま」と言った静蘭の姿が笑えた。
 静蘭が秀麗に誰なのかと戸惑いながら尋ねていると、男は彼を小旋風と呼んだ。そう呼ばれ、また男の頬に十字傷があるのを見て顔を強張らせていた。おお、初めて見る困った顔だ(笑) ……彼が邵可に拾われたのっていつ頃だったのだろうか? 新キャラのその男は昔静蘭と暴れていたというのかな? 判るのは、静蘭は秀麗に自分の過去……清苑公子であることも含めて知られたくないということくらいだな。
 男の名前は燕青というらしい。彼を別室に連れていき確かめていたときの静蘭は、今まで見せた姿とは違っていた(笑) 様子を見に覗いてきた秀麗に、静蘭は「こんなものを拾ってきてはダメでしょ! いくら落ちていたからといって」と燕青を指差して言っていた。こんな物言いの静蘭も初めてなのでは? お腹が空いて今にも死にそうだと言うからと説明する秀麗に、笑いながら「死にはしませんよ。保証します!」と笑顔で言う姿もだね。初めて見たのって。
 今すぐ捨ててきましょうと腰に手を当てて言う静蘭に、秀麗は知り合いじゃないのかと尋ねたが、静蘭は速攻で否定した。しかし、彼の行動や言動の全てが知り合いだと言っているようなもの(苦笑) で、燕青も静蘭が自分の過去を隠したがっているのを察知して、それを言外に臭わせてニヤリと笑うところが面白い。「えーっと……静蘭?」というあの間がいいね。
 昔のことを少しでも言ったら、その首をかっ飛ばしてやると言い捨てて部屋に戻った静蘭は本気だっ(汗) でも、この燕青が気のいい兄ちゃんなのはよくわかった。冗談だと言っていたし。静蘭が幸せそうで良かったと言っていたのも本心だろうしね。静蘭が過去を知られるのを本気で嫌がっていると知ったなら、彼は絶対に言うことはないかも。逆に燕青に対する静蘭の姿を見て、彼がとても頑固なキャラなのだという新たな発見もあった良かった。

 邵可も帰宅して夕食中、燕青はこの街に来たのが人に会うためで、その相手が容易に会える相手ではないと邵可の質問に答えていた。秀麗が朝廷の誰かに紹介してはと邵可に聞いてみたが、燕青は内密の用事なのでどうしてもダメなときにお願いするとやんわりと断った。
 その最中、静蘭だけは不機嫌そうに食事をしていた(苦笑) そして用事が済むまでこの家に泊まるといいと邵可が言うと抗議の声を上げていた。しかし、秀麗に友だちではないのかとか、邵可に悪い人間ではないのではと問われて言い淀んでいた。こういう静蘭も初めてだなぁ。

 邵可が「おかえり」と言うと、その後ろには珠翠がいた。気配を感じさせずに出てくるなんて彼女には習慣になっているのだろうか? それを感じる邵可はもっと凄いよ(笑) 彼女は香鈴を茶州に連れて行ったらしい。茶太保の妻の元でなら香鈴も立ち直るだろうと二人は話していたけど、彼女が再登場することはあるんだろうか?
 誰もが香鈴に対して悪感情を持っていないのがいいね。前回書かなかったけど、絳攸なんて香鈴が茶太保の役に立ちたくてしでかしたことを馬鹿だと言いつつ気持ちが解ると言っていたしね。そして茶太保も野心を持って行動していたけど、香鈴はその計画に加えてなかったというのが良かった。大切な人を失って今は失意のどん底にいるだろうけど、彼女が笑える日がくればいいね。
 珠翠は秀麗が後宮にいたときにお饅頭の作り方を教えてもらっていたらしい。そして邵可に作ってきていた。自分が作ったものを邵可が食べるのを見ている珠翠の表情がとても幸せそうだった。しかし、彼のいれたあのお茶を飲んでとても不味いだろうに「とても美味しい」と笑顔で言うのは健気と思うけど……無理をしてはいかんと思うぞ(笑)

 人手不足なのは戸部だけでなかった。宋太傳が楸瑛の元を訪れ賊退治に人を回せと言ってきた。ウチも余裕があるわけでもないと渋る楸瑛に、宋太傳は自分も出るから心配するなと剣を抜いて自信満々に言っていた。しかし、楸瑛は内心自分が暴れたいだけじゃないのかと呆れているように見えた(笑)
 それは本音であると思うけど、宋太傳には別の思惑もあった。これを機会に静蘭を羽林軍に連れ戻してはどうかと楸瑛に提案していた。秀麗王宮を去るときにもいつでも戻ってこいと静蘭に言っていたから、宋太傳のこの考えに楸瑛が賛成らしい。その日の夕方に早速紅家を訪ねていた。その道中、道に迷っている絳攸と合流していた(苦笑) 道に迷ったら自分が導くと楸瑛は絳攸に言っていたけど、迷子の彼と一番多く遭遇していたのが彼なんだろうな。
 話があるから訪ねるのかと思ったら、この日は夕食会だったらしい。え……何? そんな日を決めて秀麗たちと彼らは頻繁に会っていたの? これは劉輝が羨むだろうな(苦笑) それとも知った上で、報告させているのかな? 仮にも王が王宮を抜け出してご飯を呼ばれるワケにはいかないものね。

 報酬の金五百両はもう無くなってしまったらしい(汗) どうすればそんなに早くに無くなるのかと思ったら、自分の家だけでなく寺子屋の修理をしたり寄付してしまったらしい。
 食事時に燕青は今の王のことを尋ねていた。それに答える絳攸の歯に衣着せぬ言い方が笑える。仮にも一国の、自分が仕える王をここまでこき下ろすとは(笑) で、こき下ろして楸瑛が持ち上げると。しかし彼の目的は賊退治に静蘭を誘うことだから、その話に持っていくために燕青に道中のことを尋ねていた。
 燕青が言うには山賊盗賊の動きはとても活発になっているらしい。何の話かと問う秀麗に、茶州から賊が大量に流入しているので羽林軍からも人員を割くことになったので、静蘭にも参加してもらいたいと楸瑛は切り出した。これには秀麗が反発した。臨時の仕事だからとそんなに時間はかからずに今の部署に戻れると思うよと笑顔で言うものの、秀麗の表情は曇ったままだった。多分ね、と最後に付けたのがとっても怪しいよ楸瑛(笑)
 黙ってしまった秀麗を見ていた静蘭は、ここぞとばかりに燕青を推してみた。お買得って(笑) 燕青は自分には用事があると困った表情を浮かべると、楸瑛も静蘭の勧めなら腕は確かだろうと値踏みするように燕青を見ていた。秀麗の不安を解消させるために言い出したことだったが、楸瑛は燕青を起用しても静蘭への勧誘は終わらないと言っていた。まぁ、宋太傳だけでなく、他の将軍も気に入ってしまったのなら逃れるのは難しいだろうな(苦笑) 諦めて承諾した静蘭を心配そうに見る秀麗に対して答えた静蘭の言葉があまりに普通なんで笑ってしまった。「なるべく夕飯までに帰ってくるようにします」って(笑) とても荒事に従事する人間の言う言葉とは思えない。しかも、楸瑛もいるのに適当に手を抜くとか危なくなったら近くの人を盾にしてでも逃げるって! まぁ、本当はそんなことはしないのは誰が見ても明らかだけど、静蘭って今までこんなことを平然と言っていたシーンがなかったと思うので新鮮だった。
 静蘭が燕青をお勧めして腕は確かだと太鼓判を押していたとき、秀麗は「そんなに信頼できるほどのお友だちなんだ」と感心していたけど、静蘭の本心はそうではないだろうな。面倒なことは厄介者に押しつけてしまえというようにしか見えないし。

 自分の代わりは燕青がすると言って秀麗を安心させようと静蘭は言っていたけど、他にも理由があったらしい。秀麗が尚も表情を曇らせていると、楸瑛がそれに気づいて静蘭が心配かと尋ねると、彼女は静蘭のことが心配かと言われたことに対しては否定していたけど、そのあとに「ただ夏は……」と言い淀んでいた。何があるのだろうか? 楸瑛が言葉を待っていると、何でもないと誤魔化していた。つまり、やっぱり何かあるんだね。邵可と静蘭がそんな彼女を見ていたし。
 見ていたのは絳攸もだった。そして彼は秀麗に頼みたいことがあると言って、一月ほど朝廷で働く気はないかと尋ねていた。戸部省書の雑用係と聞いて秀麗は素頓狂な声を上げた。本当の雑用係だと言うと、秀麗が溜め息をついたので気乗りしないか?と絳攸は尋ねていた。前の仕事は楽しかったと言う秀麗だったが、あそこに戻ればまた叶わぬ夢を見てしまうと迷っていた。
 その背中を押したのは、彼女のそんな様子をジッと見ていた燕青だった。朝廷で働ける機会なんて滅多にないのだから「やらずに後悔するよりやって後悔の方がいいと思わないか?」と聞いていた。それに静蘭と邵可も後押しし始めた。
 決心した秀麗だったが、絳攸は男に扮装して働いてもらうと言っていた。バレるんじゃないかと尋ねる秀麗に、絳攸は絶対に気づかれないと断言していた(笑) 言い返せない秀麗が哀れ(笑)
 翌朝見送る静蘭にも駄目押しされていた。邵可の「よく似合う」は無難な言葉ではあるけど、とても女性には見えない、立派な男の子という静蘭や燕青の言葉は、秀麗の心を深く抉ったに違いない(苦笑) 安心させようと言っていて悪意がないだけに秀麗のダメージは大きいだろうな。
 戸部省書の名は紅奇人という。本名は別にあるそうだが、周囲に奇人変人と言われていたから改名したとは絳攸の説明だった。ただ、未来の宰相と言われるくらいに有能な人物らしい。夕食会の帰りに楸瑛は女だとバレるのではないかと聞いていたけど、絳攸はそれでも構わないらしい。秀麗を実際に務めさせて、劉輝が唱えた女性の国試受験に真っ先に反対した奇人に意見を変えてもらうつもりなんだろうね。
 四半時で着く筈なのに、秀麗と燕青は既に一時間歩いていた(苦笑) 戸部はいつ引っ越したのだと叫ぶ絳攸に、迷ったんだなと呆れた表情で二人同時に言うシーンは笑えた。今後も絳攸は迷子ネタで笑わせてくれるのだろう。
 ようやく戸部に到着した二人は奇人を見て納得していた。何故彼は仮面を被っているのだろうか? 熱くはないのだろうか? それから秀麗は紅秀と名乗って働くんだね。

at 23:57, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 7話「よく泳ぐ者は溺れる」

 邵可は全てを知った上で静蘭を保護していたんだね。気絶した静蘭は劉輝と名を呟いていた。そのとき彼は、少年時代に落ち込んだ劉輝が庭に隠れるクセがあると知っていて、それを探している夢を見ていた。何とも微笑ましい。王宮で信頼できる身内は二人きりというのがとても寂しいのだけど、それでも頼りにできる人がいて良かったと思う。頼られている静蘭も、実は劉輝によって心を救われていたというのが更にいい。
 倒れている静蘭の頭を撫でて邵可は「全く無茶をする」と言っていたけど、息子を見守る父親のような顔をしていた。そんな邵可だから秀麗は皆の心を開ける娘に成長したし、静蘭も自分よりも彼らのために動こうとするんだね。公子のままだったら彼は不幸だったろうね。
 そこに楸瑛がやってきた。邵可は自分の正体は明かすつもりは毛頭ないし、誰もそのことには気づかないと思うけど、倒されている刺客たちを見て楸瑛はそれが静蘭の手によるものではないと気づいていた。だから、優秀な彼のことだからその内気づいてしまうんだろうね。

 捕らえられた秀麗を助けに向かった劉輝だが、彼は暗闇が苦手なのではなかっただろうか? 刺客たちは、仲間を秀麗がさもそこにいるように仕掛けて彼に武器を放棄させて罠を張ってたんだっけ。それを見ていた秀麗は自分ではないのだとどうにかして伝えようと縄から抜けようとしたけど、当然それは果たせなかった。しかし、彼が彼女にプレゼントしたかんざしが階下に落ちて大きな音を立てた。刺客たちの注意が一瞬それた隙を見逃さず、劉輝が攻撃をしかけた。
 罠だとは承知の上のことだったらしい。足音でその重さを測って、そこにいるのが秀麗ではないのだと見破ったらしい。死ぬ直前に、刺客は劉輝にいい今殺し屋になると言っていたが、劉輝はそんなものになったら秀麗に嫌われると言っていた(苦笑) 本心だろうけど、この場面でそんな軽口が言えるなんて余裕だな。
 暗闇が苦手なのに……と平然としていたのが何故かと思っていたら、秀麗がいるから怖くないらしい。なんともまぁ、ご馳走さまとしかいい様がないな(笑) しかも秀麗も、自分の方こそ捕らえられて心細い思いをしていただろうに、助けに来た劉輝に怪我はないかと聞くし、暗闇の中に一人で踏み込んだ彼に「怖かったでしょう?」って……。どこまでいい子なんだよ!

 この二人のラブシーンって殆どなかったので、ここでの再会の抱擁はとても嬉しい所だった。自分を強く抱き締めている劉輝を抱き締め返そうとその背中に手を回そうとして、秀麗はそのまま気絶してしまった。安心したので気が弛んだのかと思ったけど、その表情はとても苦しそうだった。
 静蘭は持ち直したが、秀麗は毒のために命が危ういらしい(汗) 毒といっても何種類もあるらしく、殆どの毒は劉輝が飲ませていた解毒剤のおかげで中和されていたらしい。しかし、一種類だけ陶老師でも知らない毒があって、解毒できないと言う……。何種類もの毒に冒されていたというのも驚きだけど、王宮医師ですら知らない毒なんてのがあるとは。
 激昂した劉輝は、解毒剤に必要なものは何でも用意させるから秀麗の毒を消せと言った。しかし陶老師は何の毒なのか解らないと答えるだけだった。知っていたら解毒剤をさっさと作っているだろうしね。それが解らない劉輝ではないけど、秀麗が失われる恐怖の方が勝っているということだね。
 秀麗の傍に駆け寄り、自分の手の届かないところへ行くなんて認めないと叫ぶ劉輝に、宋太傳も陶老師もかける言葉はなくただ目を瞑るだけだった。しかし、そこに解毒剤が手に入るかもしれないと言う人物が現れた。でも、この時点でその毒が霄太師によるものだというのが判るよね。
 香鈴が入手していた毒の出所は霄太師だった。そして劉輝は彼が何故こんなことをしたのかも解っているようだった。霄太師が本当に望むことを一つだけ叶えるから解毒剤を渡せと劉輝は命じた。そして「お前が認めるに足る王になってみせる!」と正面から見据えて言う劉輝に、霄太師は目を細め、その言葉を忘れぬようにと言いながら解毒剤を手渡した。

 受け取るなりもう用はないとばかりに秀麗の部屋に向かった劉輝を見送った霄太師は、王たるに相応しくなったと言っていた。独り言なのかと思ったら、その場にいた邵可に話しかけているようだった。彼はずっと控えていたんだよね。劉輝はその気配に全然気づいてないなんて、邵可がどれだけすごいのかが判る。あ、でも、劉輝も頭に血が上っていたというのもあるかな……。
 邵可は怒っていた。霄太師は邵可を黒狼と呼ぶんだね。邵可は怒りを含んだ静かな声で霄太師のことを先王の頃から何一つ変わっていないと言った。何でも、彼は王のことしか考えていないらしい。更に驚いたのが、今回のことだけでなく8年前のときもと言っていたことだね。8年前ってお家騒動の極みで劉輝以外の公子が全て死んでしまって国が混乱してしまったんじゃなかったっけ? それを霄太師が引き起こしたことだとでも言うんだろうか? 王のことしか考えていないのなら、国民がどうなろうと知ったことではない? 政治が混乱してその余波を国民がモロに被っても平然としていられたとか? ……本当にそうだったら最悪だ。国民あっての国だろうに。
 しかし、霄太師にとっては約束が全てに優先するらしい。
「仕えるに足ると認めた王にのみ忠誠を尽し、野心なく私心なくこれを助け導くこと。決して国や民に仕えようなどとは思わないこと。自らの意思と判断において政を行わないこと。故に、どれほど国が荒れようが、頂く王のない限り何かを行うことは許されない」
 そして霄太師は何があってもこの約束を守らねばならないと自らに課しているようだった。えーっと、つまりは国が荒れていても放置していたことには心を痛めていたということか。
 その約束を誰と交わしたのかという邵可の問いに、知る必要もないとピシャリと拒絶していた。つまりは試聴者にもまだ知らせないということだよね。ただ、イメージ画像があったから、あれと似た人物が出てきたら判るのかな? 遥か昔と言っていたから、それこそ知ることができるのは、霄太師が自ら語ったり回想する以外にないかも……。まぁ、民あっての王なのは王が肝に命じることではあるけど、重臣はそうではなくても勤まるということか。元より霄太師が認めた王だから、私心なく野心なく仕えるか〜。
 ではその認めた王が乱心したときはどうなるのだろう? 邵可は霄太師とは違って国と民のために王に仕えていた。だから王が間違った場合は仕えるのを止めるどころか排除するんだろうね。
 価値観は霄太師と真っ向から対立するものとはいえ、それを認めるとか認めないというのは別の話。でも、邵可の怒りはそういうことではなかった。国のためを思い邵可は命令に従って暗殺を行ってきた。そしてその度に国は良くなっていた。安易に殺すのはどうかと思うけど、それは現代人の価値観だものね……。人を殺すという手段を取らなければ良くはならないという段階まで至っていただと思うことにしよう。
 で、霄太師の言う通りにして国は良くなった。結果、国は定まった。だから暗殺部隊の風の狼を解散させたのだと邵可は言う。暗殺に手を染めてきた邵可にとって譲れない一線は、罪人であるかそうではないかだった。それを聞いて霄太師は自分がそれを破ったことがあったかと尋ね、茶太保が劉輝の命を狙った罪人だと平然と言ってのけた。しかしそのように仕向けたのは霄太師自身だし、元部下だった珠翠を使ってそうさせたではないかと邵可は詰め寄った。何より愛娘や静蘭を利用したのが許せないんだろうな。
 霄太師がやったのは、秀麗を後宮に送り清覧を劉輝の傍に起き珠翠を茶太保の元へやった。そして清苑公子の存在を臭わせて、茶太保の野心に火を付けた。お膳立てが整い、茶太保は見事に霄太師の思った通りに行動してしまった。言い当てられたものの、霄太師は「何のために?」としれっと聞いていたが、それも劉輝を自分が認める王にさせるためだと邵可は気づいていた。

 霄太師って本当に狸だなぁ。邵可に指摘されても平然としていたし、邵可が優秀だと褒めていた。彼が重臣だったら8年前に国が荒れることもなかったとまで言っていたし。流刑となった清苑公子を拾いにいって保護していたということは、静蘭も邵可が自分の正体を知っていると判っていたんだね。
 そんな静蘭も、霄太師にとってはコマでしかなかったのか。寧ろ、消される可能性の方が高かったかもしれないなぁ。素晴らしい娘に育ててくれたと邵可に言っていたのに、この二人が今回の件で殺そうとはしなかったけども、結果的に死んでも構わないと霄太師は思っていただろうから。邵可に言われて否定していなかったものね(汗) 邵可は霄太師を絶対に許さないと言い、いつか殺しに行くとまで言っていた、それは、今は国のために必要だから殺せないということなんだね。

 風の狼を解散させた後、邵可は珠翠を引き取っていたのか。つまり彼女は孤児だった? そして珠翠が想いを寄せていた人物って邵可だったんだね。後宮で秀麗に仕えていたときよりもこっちの姿の方がいいなぁ。
 秀麗が無事に目覚めたのを確認して安心したあと、邵可は真っ当な道に歩ませてあげられなかったと珠翠に謝罪していた。でも珠翠の願いは邵可の傍にいることだから、裏の世界で生きることに対して苦とは思っていないらしい。この後の刺繍入りのハンカチのやり取りは微笑ましかった(笑) いい歳した男女の会話ではないなぁとか思ったよ。邵可の反応は父親のそれだったけど。でも珠翠って何歳なんだろう? 20代後半に見えるんだけど……もしかしなくてももっと若い?

 静蘭に刺された肩を、香鈴からもらったハンカチで押えながら街を見おろせる丘にまでやってきた茶太保。あの身体でそこまで来れるなんて大したものだなと思った。しかし、ここからのシーンは「?」の嵐だったよ。霄太師ってさっきまで邵可と話していたと思うのに、茶太保のいるところに現れていたし、それだけでなく青い光に包まれたかと思うと若返っていた! 茶太保に「少しは驚けよ」と言ってたことから、霄太師は彼が自分のことを知らないと思っていたのは明らか。そして茶太保は霄太師のすることにいちいち驚いていられるかと返していたので、昔から不思議なことを難なくやってのけていたんだろう。……って、若返るのに驚かないのなら、他に何をやってきたんだ!?
 そして二人の会話から本当に心から信頼の寄せられる友人同士だったというのも伺える。茶太保は「お前が何者であろうとも関係ない」と言っていた。……この台詞から察するに、彼は人間ではない可能性が大きいか。50年一緒に過ごして歳を経ていたけど、今見せている姿が本当の姿なのかも。容姿を偽るのは造作のないことなんだろうな。
 第一、人の身体に血を出さずに手を差し込むなんて人間のできることじゃないって。あれは心臓を取り出したということなのかな? 茶太保は霄太師が嫌いだと言っていたけど、自分の最期を任せてくるのだから本当は好きだったんだろう?と霄太師は聞いていた。それに茶太保は答えていなかったのだけど、それが肯定の証だったんだろうな。彼が息を引き取ってからの霄太師の台詞はとても紛らわしい。でも友愛の意味以外はないはずだ。
 OPを見たときは三人ともが人ではないかもしれないと思ったけど、一人若返った姿を晒していたのは霄太師だけが人外の存在だったということだったのか。そうなれば、邵可に答えなかった遥か昔に約束を交わした相手とは初代国王の可能性がとても高くなってしまった。そうすると霄太師は仙人ってことになるなぁ。……伝説ではなくて実在の存在で、それが物語に絡んでくるとは……。今判るのは長い話になりそうだということかな。

 秀麗が後宮にやってきて三ヶ月経っていたらしい。劉輝が主上らしくなったので自分の役目は終わったと秀麗は言っていた。そして家に戻ろうと静蘭に話していた。静蘭は「主上が寂しがりますね」と言ったあと、どう伝えるのかと尋ねると、秀麗はもう伝えたと答えた。しかし、あまりにもあっさりとしていたので、もう少し別れを惜しんでくれても良かったんじゃないかと秀麗は不満を述べていた。
 静蘭が秀麗に彼がその後庭に下りたのではと尋ねると、秀麗は「庭の木の手入れが必要だ」と言っていたと答えた。……相当落ち込んでいるのが視聴者には判ったのだけど、秀麗は彼が落ち込むと庭に行くとは知らないから判らない。そう思ったのだけど、彼女は静蘭がとても寂しがっていると思うと教えると何となく知っていると答えていた。しかし随分懐かれたって、秀麗は本気でそう思っていルのか!?
 雨が降る中、庭にいた劉輝を静蘭は見守っていた。気づいた劉輝は静蘭をジッと見つめたが、彼が礼をするとそれを寂しげな笑顔で見送った。もう兄上と呼んではいけないとちゃんと解っているんだね。だけど、こういう交流だけでも静蘭が自分を思ってくれていると感じているだろうから、言葉にしなくてももういいと思っているのかも。

 秀麗を見送るシーンは笑えた。霄太師が見送りに来なかったのは皆で閉じ込めていたからだったとは(苦笑) そしてこんな所に閉じ込めるとは酷いではないかとブツブツ文句を言っていた霄太師は、よくもまぁそんなことが言えるなぁと正直思った。普段、彼ら遊んでいた姿も本当の姿だったんだろうね。
 宋太傳も知っていたんだね。で、彼が送られた花は沈丁花で、茶太保は菊花らしい。「誇り高く気高い。あいつそのもののような花だよ」と霄太師は目を細めて言っていた。それはいいけど、沈丁花はどういう意味なのかがそっちが気になった。
 一方、霄太師が見送りに来ないのを謝礼金を踏み倒すんじゃないかと秀麗は騒いでいた(苦笑) それを劉輝は金目当てに自分に嫁いだ上に弄んで捨てるのだなと嘆くように言っていた。……かなり本心で言ったことだろうな(笑) 人聞きが悪いと食って掛かる秀麗に、劉輝は「あのクソジジイに掴まされた手切れ金はいくらだ?」とキッと尋ねていた。何も知らない秀麗は、霄太師のことを「クソジジイ」と言った劉輝に困った表情を浮かべていたが、劉輝は語気を強めて「クソジジイで充分だ!」と言った。その後、一緒に見送りに来た邵可と珠翠と絳攸と楸瑛が心の中で充分だと言って同時に頷いていたところが一番笑えた。あんなことがあったのに、クソジジイで済まそうとするなんて心の広い連中だなぁと思った。
 金五百両と聞いて安いと言った劉輝は、帰るのを止めたらその三倍は出すと言いかけた。しかしその口を楸瑛は押さえて未練がましい男は嫌われると釘を出した。そしてそんなことで静蘭を超えられるのかと聞いていた。大切な兄上であっても秀麗を巡る恋敵なのは劉輝にとっては動かせない事実かー。しかも優秀な兄が相手だったら劉輝は分が悪いと思っているだろうなぁ。そういや静蘭自身は秀麗のことをどう思っているんだろう? こんなことになってなかったら秀麗を一緒になっていたかもしれないけど、劉輝が彼女に想いを寄せていると知った時点で自分の気持ちを抑えてしまうのかも。んー……でもそれができたとしたらその気持ちは本気だったのかと疑問に思うからなぁ。まぁ、当の秀麗自身はまだまだ恋愛感情は芽生えてなさそうだけど。
 最後に劉輝は秀麗に自分は男だけでなく女も好きだと告白して、驚く秀麗に口づけた。うわぁ皆の……それも邵可の前でやってのけるとは。しかも秀麗拒絶してないぞ? いくら突然のことに頭が真っ白になっていたとしても、劉輝から離れるまでの時間が長過ぎるもの(笑) しかも、キスしたことではなくて皆の前でしたことに怒っていたし?

at 23:45, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 6話「画竜点晴を欠く」

 秀麗が来てから何ヶ月経ったのだろうか? 日に日に王らしくなる劉輝を見て、楸瑛と絳攸は満足そうだった。そして秀麗は、自分の仕事はもう終わりだと言っていた。静蘭が、主上が寂しがるト言うと、秀麗は自分のいる場所は王宮ではないと言っていた。そんな二人の様子を、香鈴が見ていた。
 珠翠が秀麗の部屋にやってきて、香鈴から秘伝の香を炊いた。秀麗の心配して元気付けるための香だと言っていた。だったら香鈴本人が来たらいいのになと思ったけど、秀麗は香鈴にお礼を伝えてくれるよう珠翠に頼み、彼女がいれてくれたお茶を飲んでいた。ところが、部屋を辞した珠翠が、立ち止まって少し振り向いていた。その表情はとても怪しかった(汗) 劉輝が確か秀麗に毒を盛る者がいると知って調査をしていたと思うのだけど、それが彼女だったということ!? それを証明するかのように秀麗が湯飲みを落して眠ってしまっていた。これはお茶を飲んだから? それとも香を吸ったから?

 夜の……何時頃なのだろうか? 絳攸はまた迷っていた(笑) それを見取り図のせいにするなんて終わってる……。そこへ香鈴の声が聞こえてきた。
「あなたなんでしょ!? 何故邪魔をするの!?」
 それはつまり、香鈴が秀麗に仕掛けて、それから彼女を守ろうとした者がいたってこと? 彼女は「あの方」の役に立ちたいと訴えていた。夜中に大声で……って夜中だったのね。会話の内容よりも、絳攸は大声を出していることに不快感を示していた。しかし直後に声が止み、ドサッという音が聞こえたので慌てて室内に飛び込んだ。そこには気絶した香鈴が倒れていた。
 護衛の者に異常がないか確認していた楸瑛は、絳攸の紅貴妃の部屋を調べろという声に即座に彼女の部屋へ向かった。しかしそこは既にもぬけのカラだった。死んだのではなく眠らされて攫われたんだね。遅れてやってきた劉輝も事態に気づいた。
 どうやら香鈴が毒を盛っていたことは皆知っていたことだったらしい。そこから黒幕が判明したんだろうね。彼女が用意した香は、楸瑛によって無害なものに摺り替えられていた。つまりは殺害目的の危険な香を彼女は用意していたということか……。だから秀麗を眠らしたのはお茶。そしてお茶をいれたのは珠翠……。何と侍女の二人ともが刺客だったというワケか。よくまぁ秀麗は今まで無事に過ごせたもんだな。
 絳攸は香鈴のしたことは黒幕の予想外のできごとだと言っていた。では、先ほど香鈴が訴えていた相手は珠翠ということになる。彼女は自分も「あの方」の役に立ちたいのだと言っていた。つまり秀麗が攫われるのは最初から計画されていたことだったらしい。それを知って香鈴は自分も役に立とうと先走ってしまったのか。

 もう少し慎重に進めたかったが、こうなっては仕方がない。そう呟いた劉輝は楸瑛と絳攸に命じた。楸瑛には「彼」の身柄を押さえるように。そして絳攸には香鈴が目覚めるまで傍にいて、更に邵可には内々に事の報告をし、また怪我人が出るかもしれないので、すぐに治療できるように筆頭侍医の陶老師以下の医官を叩き起こせと命じた。普段は劉輝に対して歯に衣着せぬ発言をしている彼らも、有事の際には主人の命に従う有能な臣下として本来の役目を全うしていた。
 部屋を出る前に絳攸は立ち止まり、行方不明者がいると劉輝に告げていた。この状況で行方をくらますのは怪しいと静蘭の名をあげるのだが、劉輝は静蘭を白だと言って譲らなかった。楸瑛は静蘭に花を贈らなかった理由を尋ねたが、劉輝はそのようにして心を確かめずとも静蘭は信用できると言って譲らなかった。楸瑛や絳攸を信じているのと同様に、静蘭も信用しているのだと答えていた。
 それを見て楸瑛は劉輝に合格と言った後に、懐に入れていた手紙を手渡した。手紙を読んでも劉輝は驚いていなかった。意外そうに言う楸瑛に、劉輝は「わかっていた」と答えた。静蘭が清苑公子だと絳攸が驚きを隠せず呟いていた。そのとき矢文が室内に届いた。それを読んだ劉輝は、険しい表情で命令を今すぐ実行しろと命じた。

 一方静蘭は寂れた屋敷に踏み行っていた。そこで彼を迎えたのは茶太保だった。いつも三人仲良くいたというのに、茶太保が霄太師を憎んでいたと聞いたときは驚いた。茶太保の中でそんな感情が渦巻いていたとは……。そして今の茶太保の望みは霄太師の上に立つことらしい。今回のタイトルは茶太保からのものだったんだね……。剣を向ける静蘭の視界が霞んできた。これは室内に炊かれた香のせいなのは明らか。わかりやすく映していたものね(苦笑)
 自分はもう長くないから、これは最後の賭けだ。画竜点睛を欠いていた自分の生涯に、最後の一点を書き足したい。そのために秀麗を攫わせたらしい。自分の孫娘を迎え入れたら最初はそれで良かったのに、劉輝は秀麗以外は迎え入れないと言われたから仕方がないと言い切った。そして次の手を模索中に静蘭が清苑公子だと知って利用することにしたい。
 しかし静蘭は自分は清苑公子ではないとすぐに否定した。ただ、茶太保にとっては彼が名乗ろうが否定しようが関係ないらしかった。清苑公子が戻ってきたと知ると、彼を王に頂こうとする者が大勢いるだろうと茶太保が言うと、静蘭は彩雲国の王は劉輝さまだけだ。8年前の争いを繰り返すつもりかと詰った。すると茶太保はそんなことをしなくても、劉輝が死ねばいいのだとことも無げに告げた。つまり、秀麗を攫えば、彼女にご執心な劉輝が助けにやってくる。そこを暗殺するというのが今回の計画らしい。それを不慮の事故として処理するとまで言い出した。ここまで腹黒いだなんて(汗)

 その茶太保の企み通りに劉輝が現れた。暗闇が苦手と言っていたのに、暗闇も秀麗がいるなら怖くないと自分に言い聞かせて劉輝は中へ入っていった。囚われて身動きも話すこともできない秀麗は、誰か来たのかと入口を見ていたが、後ろにいたらしき殺し屋たちに「これから面白いものが見られるぜ」と教えられていた。
 囲まれた劉輝だったが、殺し屋たちをあっさり全員倒していた。しかし、秀麗を人質にしていると告げられると、あっさりと剣を放棄してしまった。喋ることができない秀麗は、必死に「違う!」と心の中で叫んでいたけど、それが劉輝に伝わることはなかった。

 最初は自分は清苑公子ではないと否定していたが、茶太保の言葉にいつの間にか自分の思いを口にしていた。自分と同じ境遇だったから隆起を心から可愛がっていたのかと茶太保が尋ねると、静蘭は「違う!」と即座に否定した。そして劉輝だけが何の裏も無く純粋に自分を慕ってくれたから、自分も劉輝を大事に思っていた。そして心の拠り所にしていたのは自分の方で、劉輝がいたから自分は王宮でも生きていけたのだと叫んだ。まぁ、王宮は魔窟だというものね。優しい人間には耐えられない環境だったに違い無い。
 刀を突き付け、劉輝に何をしたと迫る静蘭にも茶太保は眉一つ動かさなかった。あくまで彼は静蘭を玉座につけるらしい。しかし愚かと言われて茶太保もさすがに怒ったようだった。時期を逸したと言われてもそれを認めたくないのか、本当に気づいていないのか、茶太保は意に沿わぬ者を操る方法などいくらでもあると言って、香炉を静蘭に投げ付けた。そしてそれが眠り香だと気づいたときには既に遅く、静蘭は立っていられない状況になっていた。
 自分の勝利を確信した茶太保は、部下に「連れていけ」と命じて自分は部屋から出ようとした。しかし静蘭は短剣で自分の足を刺して意識を覚醒させ、次にその短剣を茶太保目掛けて投げた。しかし、静蘭はそこで殺し屋に気絶させられてしまった。
 今度こそ本当にピンチになると思っていたが、部屋にはもう一人誰かが現れた。一瞬の内に殺し屋たちを全て切り捨てた者の声を聞いたらそれが誰なのかすぐにわかった(笑)
 王が茶太保の仕業であると特定したので、間もなく楸瑛が捕えにやってくると聞いて茶太保は信じられないと驚いてた。香鈴から足がついたのだと教えると、彼女には何も教えていないとますます信じられないようだった。つまり、彼女が行ったのは茶太保を思っての単独行動だったということか……。秀麗が初めて王宮に来たときの、香鈴の様子からは想像もできない展開だよ。

 秀麗に誘われて香鈴が縫った刺繍は、茶太保のためだったのか……。静蘭が投げた短剣が背中に刺さり、茶太保はそのハンカチで傷口を押さえていた。血に濡れたハンカチを見つめて愕然としていた。そして香鈴がそんな行為に及んでいるなんて珠翠は一言も言っていないと呻くように恨み言を言った。
 珠翠の名を聞いて、男はその名を持つ者が自分の知る殺し屋ならば、間違いなく「風の狼」だと言った。そして彼女を手駒として動かせるのは先王と自分と霄太師のみ。それを聞いて茶太保は、霄太師の手の上で踊らされたと知って自分を笑った。そして伝説の殺し屋・黒狼がお前だったとはなと扉を開いて月明かりに照らされた邵可を見て憎々しげに言った。……そうなんだよね。主人公の父親というだけの役だけには池田さんは納まらないよ。こえでなくちゃ!(笑)
 自分の負けを認めたものの、茶太保は自分の命は邵可にはやらんと言ってどこかへ行ってしまった。しかし邵可はそれを止めなかった。そして気を失っている静蘭の額に手をやって、「まったく、無茶をする」と呆れたように優しい声をかけていた。彼が静蘭を拾ったのは偶然で何でもなくて、今まで彼を保護していたんだね。そしてそれは霄太師も知っていたということになる。

 さて、画面は再び秀麗たちの方へ映り、武器を捨てて殺し屋の方へ歩いていく劉輝と、それを見て心の中で叫ぶ秀麗というところで終わった。しかし劉輝は有能な王なので、殺し屋たちの罠だと知っているのは明らか。更に、それでもどうにかできるという絶対的な自信があるのだと思う。いくら好いた娘のためとはいえ、一国を背負う王が何も考えずに行動するなんてあり得ないものね。

at 23:41, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 5話「努力に勝る天才なし」

 ナレーションは天気の話をしていた。天気というのは常に変わるのだと、そして最後には時には台風もやってくると締めくくった。そこに歩いている人物が映っていたが、彼がその台風なのだろう。

 最近、秀麗の持ち物がよく無くなるらしい。その直後に劉輝が楸瑛に毒の成分を尋ねていた。昨日渡したものに毒が仕込まれていたらしい。それは先ほどの秀麗の無くしものなんだね。楸瑛が言うには段々毒性が強くなっているとのこと。しかも劉輝に言わせれば毒を仕込んでいるのに気づけと言わんばかりらしい。
 主上だから気付くのです。そう言う楸瑛に、劉輝は昔からそういうのは日常茶飯事だったと零していた。それなのに今も生きている。それは身の回りの危険に敏感だったからこそと褒めるのだが、劉輝は寂しそうな表情を浮かべるだけだった。
 秀麗への対策は、毎晩内緒で劉輝特製の解毒薬を飲ませているから心配ないらしい。毒の出所は全て同じらしい。しかも楸瑛は「あの方」がこうも早く足のつくものばかりを選ぶなど妙だと言っていた。なるほど。真犯人が誰なのかはもう判っていることだったんだね。しかし劉輝は確定するのはまだ早いと釘を刺した。そして再び頼むと楸瑛に言った。それを受けて楸瑛は「紫の花菖蒲を受け取ってしまいましたからね」と事実を答えていた。
 それを聞いてしまった秀麗は、ゴマ団子を数個落としてしまった。ああ、また勘違いしてそう(笑) 王が臣下に花を送る慣習を知らない秀麗は、花を送るという意味を誤解していた。楸瑛はそれを察知しているようで、彼女の姿を何があったのかとポカンと見ていた劉輝に、主上がまだ男が好きだと思っているようだと教えていた。それが嘘だと言うと秀麗が逃げてしまう気がして……と呟く劉輝に、楸瑛は「言わなくても逃げましたよ」とダメ押ししていた(笑) 彼は主上であってもからかえる者はからかうつもりらしい。頭を抱えて悩む劉輝が可愛く見えたよ。

 そこへ見知らぬ男が現れた。派手な服を身につけていた男は、秀麗に気付くと彼女よりも彼女が持っているゴマ団子の興味を持ったようだった。勧められて口にした男は、美味しいと一言で言えば済むのに妙な褒め方をしていた。しかし、そのまま立ち去ろうとしたので、秀麗は苦笑いしながら「ごちそうさまも言って欲しいのだけど?」と声をかけた。聞いた男はおもむろに笛を取り出した。しかし、その音色は秀麗を脱力させた。お礼を笛を吹くことで返そうとしたのかと尋ねる秀麗に、男は「そなたが感じること、考えること、それが則ち意味を成す」と答えになっていない答えを返していた。
 その妙な答えに笑った秀麗は、そこで彼の名前を尋ねた。彼が名前を言いかけると、後ろから楸瑛が声をかけた。彼の名前は藍龍蓮で、楸瑛の弟らしい。驚く楸瑛に、龍藍は「久しぶりだな愚兄その四」と答えていた。愚兄って……。見たところ、楸瑛すらも振り回すような性格らしい。
 楸瑛と秀麗が話をしている間に姿をくらました龍蓮は、朝廷三師の部屋の外で笛を奏でていた。彼らに招き入れられてどうやらカードゲームをしているようだった。朝廷三師すらも翻弄するのか(笑) 負けて悔しそうな三人に笑えた。龍蓮を見つけた楸瑛と秀麗と捜索隊に入れられて文句も言いつつ付き合ってあげている絳攸が彼らの部屋に入ってきた。状況を見て額を押さえた楸瑛に「老いては楽しみも少なかろうと思い、札の手ほどきをしている」と龍蓮は涼しげに答えた。
 何故こんなことにと今度は霄太師に楸瑛が尋ねると、下手くそな笛を吹いていたのを咎めたら、勝負に勝ったら吹くのを止めてやると言われたかららしい。溜め息をついた楸瑛が、龍蓮の頭を押さえて謝罪していたのだが、顔を前にしたままで決して下げようとしなかったのもおかしかったが、連れて行こうとする楸瑛を制して勝負をしろと迫る朝廷三師にも笑えた。

 取りあえず来たのだから王宮を案内しようと言い出した秀麗だったが、会話が続かないと早くもギブアップしていた。とことんマイペースな彼は、札で勝負をしながら各地を放浪しているという。しかし藍龍蓮の名前には特別な意味があるらしい。その名を継ぐのは天才のみなんだとか。楸瑛は愚兄その四よ龍蓮に呼ばれていた。つまり、龍蓮は五人兄弟の末っ子。なのにその名を継いだのは兄たちではなく末弟だった。変わった人間でも、藍家には望まれた子らしい。常にフラフラしていて、捕まえていても話も通じない。楸瑛の話を聞いて、絳攸は他人の言いなりにならず易々と利用されることがないということかと解釈していた。
 勝手気ままな龍蓮は、楸瑛の家に泊まるのは嫌だと言い切った。では「ウチに来る?」と尋ねた秀麗に絳攸が「邵可さまに彼の相手をさせるのですか!?」と絳攸が抗議した。ということで、絳攸の家に龍蓮を泊めることになってしまった。本ばかりで風情の欠片もないと言い切られて絳攸は溜め息をついていた。……彼は眠れるのだろうか?

 夜になって、機嫌よく通路を歩いていた劉輝に後ろから声をかけたのは茶太保だった。秀麗の部屋へ行くところだったらしい。そんな彼に仲睦まじい様子で安心したと言う茶太保は、自分の孫娘を勧めてきた。……それが嫌で劉輝は今まで男が好きだという嘘をついていたんだよね。突然の申し出に面喰らったものの、劉輝は自分の妃は秀麗だけでいいと言い切った。それを聞いて「紅貴妃さまにメロメロですな」と茶太保。ここは笑うとことではないのだけど、メロメロなんて言葉に意味が判らず口にした劉輝の言い方に笑えた。しかし、朝廷三師って気楽な老人たちというイメージしかなかったもので、彼がこのような俗物だと知って驚かされた。権力欲の強い人物だったんだね。ちょっと残念だ。
 劉輝が秀麗の部屋に入ると、彼女は勉強中だった。秀麗が男性だったら立派な官吏になっただろうなと、何気なく言った感想に秀麗の表情が曇った。子どもの頃は官吏になりたいと思っていたのに、女性は試験にすら受けられないんだものね。今は後宮に入ったおかげで勉強したり政治のことを考えたりできて、夢見たことに少しだけ近づいた感じだと無理に笑顔を見せていた。そんな彼女を真直ぐ見ていた劉輝は、何を考えていたのだろうか?

 翌日……やっぱりというか絳攸は眠れなかったらしい。龍蓮の奇行に翻弄された上に、自宅で迷っていたとバラされてしまってカンカンだった(汗) 溜め息をついた楸瑛に、「何とかしろ愚兄その四!!」と喰ってかかる絳攸には、御愁傷様としか……。
 しかし、秀麗がお世話になった人に迷惑をかけたのだから謝りなさいと龍蓮を叱ると、彼は大人しく彼女に従った。そして、謝るときは「ごめんなさい」と言うのだと教えてもらった龍蓮は、絳攸を見て謝った。それが口先のことではなかったのだろう。だから絳攸も怒りを納めた……というよりは、龍蓮が秀麗の言うことに大人しく従ったのを見て唖然としていた。
 その直後、自分も偉そうだったと秀麗は龍蓮に謝罪をした。そして、これ以上絳攸を消耗させるのは忍びないから、これから自分の部屋でお茶をして、それから今夜は自分の家に泊まりなさいと言うと龍蓮は文句も言わずに「うん」と首を縦に振った。一瞬にして秀麗は龍蓮を手懐けてしまったようだった。これには実兄の楸瑛も驚いていた。
 香鈴にお茶をいれてもらった後、龍蓮は秀麗が銀器を使っているのを見て「秀麗もいろいろと大変だな」と話し出した。何も知らないらしい秀麗に、龍蓮は銀の器は毒を盛ると変色するのだと教えた。途端に躓いてしまった香鈴を、珠翠が咄嗟に捕まえた。秀麗は、そのことを知って自分が置かれている状況を理解したようだった。そして自分の身は自分で守らなければと決心した。

 二人で秀麗の家へ向かおうとすると劉輝が現れた。自分の妻を誘惑するのは誰だと尋ねたが、それに答えたのは秀麗だった。龍蓮は「秀麗は籠の鳥ではなく、空を羽ばたく鳥だ」とだけ劉輝に言って、夕食は鳥鍋にしようと言って先へと進んだ。劉輝には全く興味がないらしい(苦笑)
 呆然と見送る劉輝に、静蘭が声をかけた。そして劉輝に「楸瑛の弟」と聞いて、それが今城に来ているという藍家の少年かと尋ねていた。……少年なのか??

 紅家へは珍道中だった。わらしべ長者の反対だったけど、何を考えていたのか……。何も考えていないように見える。最初は龍蓮に付き合うのは自分も限界だと言っていたが、最後には秀麗は笑っていた。
 勝手気ままに行動していたというのに、邵可と秀麗と三人で野菜鍋を囲んでいたときの龍蓮はとても大人しかった。「遠慮しなくていいんだよ」という邵可の言葉にも素直に頷くだけだし。二人の温かさに安心していたんだろうか。
 翌朝に龍蓮は旅立つのだが、彼は秀麗に「心の友だ」と言っていた。紅家にやってきて一緒に見送っていた楸瑛は、そんな弟の姿に笑みを浮かべていた。立ち去る背中を見ながら、楸瑛は次に会うのは国試のときだと言い出した。龍蓮は国試を受けることが決まってて、それも三位以内に及第することを約束させられているんだそうな。放浪の旅を許す条件だったらしい。
 そして楸瑛は秀麗に感謝すると告げた。弟の風変わりな気質に逃げずに向き合ってくれたのは秀麗だけだったからだと。邵可は、龍蓮を天才気質だから他人と同じものが見られない彼は孤独だったんだろうと悲しげな表情を浮かべていた。

 自分は努力をしないとダメな人間で、だからこれまで努力してきた。努力するのはたいへんなことだけど、天才もたいへんなんだなと劉輝に話していた。それはつまり、秀麗も天才を羨んだことがあるんだねー。

at 23:58, 真神恵, 彩雲国物語

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彩雲国物語 4話「それは宝の持ち腐れ」

 劉輝はバカ殿の振りをしていただけだった。それに怒って秀麗は霄太師に実家に戻ると言い出した。それを聞いても霄太師は全然慌てなかった。宮中では、秀麗のおかげで主上が変わったと評判だが、今放り出されたら主上は元の木阿弥になりかねない。もう一つ皆が最近二人が夜を共にするようになったと噂している。更に、金五百両の話を持ち出して、お願いしたことは最後までやり遂げてもらわないととニッコリ。勢い込んでみたものの、それを持ち出されては秀麗も何も言い返せなかった。
 劉輝は楸瑛に愚痴を零していた。秀麗が仮の后だと聞いて相当落ち込んでいた。楸瑛が愚かな振りをしてきた理由を尋ねると、その方が秀麗が構ってくれるからと答えていた。おまけに劉輝はこれまでかなりの数の女性と寝所を共にしたことがあるという……。つまり、男好きというのは真っ赤な嘘だということか。
 何故それを黙っていたのかと楸瑛に尋ねられ、劉輝は子どもができたら厄介なことになると返事をしていたが……。どこで女を抱いていたのだろう? 花街にでも行っていたのか? 女官に手を出したら瞬く間に噂が立つものねぇ。しかし、言わなかったからと言って相手の女の方はどうだろうか? 身分を偽っていたとしても他の男の子を産んでも、それを劉輝との子だと主張するような貪欲な者だっているだろうし。
 楸瑛は更に質問した。「では、恋をしたことは?」そう問われて劉輝は頬を赤く染めた。まぁ、相手が秀麗だというのは言わずもがな。素直な劉輝の頭を撫でるというか、掴んで振っていた? 楸瑛と劉輝の信頼関係は身分の枠を越えているものにまでなっていたのか(笑) 秀麗を怒らせてしまったのだから成果をあげないと。楸瑛がそう言うと、劉輝も顔を引き締めた。劉輝の信頼に答えるためにも毒の経路を洗い出すと言う楸瑛に、劉輝は頼むと託した。

 霄太師に適わず府庫にやってきた秀麗に、邵可は劉輝の過去を話し始めた。傷だらけの幼い少年は、無口で表情がなかったらしい。彼が末の公子だと知ったのはだいぶ後だと邵可は言っていた。
 時間をかけて少しずつ少年は自分のことを話すようになったらしい。傷付いていたら薬を塗ってくれて、自分の話を聞いてくれる人がいてくれるのが嬉しかったんだろうね。拒絶されないのだから。
 府庫に来るとき劉輝はいつも傷だらけだった。つまり、毎日通ってきたというワケでもなかったんだね。どうしても辛いときに話し相手をしてくれる邵可の元を訪れたということなのかな。何でも彼の母親が死んでからの異母兄たちの暴力は続いていたらしい。
 劉輝の過去に秀麗は涙を流した。劉輝は誰もが羨むものを持っているが、絶対に必要なもの、母親の愛情や優しい言葉や温かい手を、誰もが持っているものを持たない。しかし邵可は、今は秀麗が彼の近くにいるのだからと彼女に劉輝を託した。老獪な霄太師の言葉よりも、邵可の温かい言葉の方が説得力があるね。バカ殿の振りをしていたからという一時の、それもつまらない感情で放り出さなくて本当に良かったよ。

 そんな親子のやり取りを見ていた絳攸は、そっとその場を離れようとしたが後ろに楸瑛がいたことには気付いてなかったようだった(笑) そんな二人の視界に静蘭の姿が入った。「彼は花を貰ったのかな」と言う楸瑛に、絳攸は「さぁな」と気のない返事をしていた。しかし楸瑛は彼に興味津々らしく、静蘭を呼び止めた。振り向いた静蘭は、目の前に楸瑛がいたので驚きの声をあげていた。絳攸のときもそうだったけど、楸瑛は人をおどかすのが趣味なのか? 振り向いてあんなに間近にいたら誰もが驚くって(笑)
 楸瑛はぬぅっと更に近づいて、女官たちの噂について尋ねた。劉輝と秀麗が夜を共にしている噂のことをどう思うのかと尋ねられた静蘭は、十中八九何もなかったと断言した。からかいがいがなくてつまらないなぁと言う楸瑛をおいて、静蘭は質問に答えると話は終わったとばかりに先を進んでいた。それを追いかけて更に楸瑛は静蘭に絡んできた。楸瑛の頭はそんなことで一杯なんだろう(笑) 秀麗と静蘭の関係を疑っているようだった。

 そんな二人の耳に気合いを放つ声が聞こえた。声のする方へ向かうと宋太傳が一人で鍛練していた。……彼はいったい何歳なんだろう? 鍛え上げられた肉体は彼がまだまだ現役なのを物語っているようだった。二人の闖入者を見た宋太傳は、楸瑛のことはすぐに判ったようだったが静蘭を見て驚いていた。そして剣の相手をするように命じた。楸瑛は宋太傳について説明したけど、どうやら引退しているらしい。引退しても日々の鍛練を怠っていなかったからこそのあの身体なのか。
 第一撃を受け止めた静蘭に、楸瑛は感嘆の声を漏らした。宋太傳もよくぞ受け止めたと言っていたので、彼の一撃を受け止められる者はいないということか。宋太傳は静蘭に年齢を尋ねた。21歳だと答えた彼に本当かと尋ね、13年前に邵可に拾われる前は何をしていたと質問した。しかし静蘭はそれには答えられなかった。
 勝負はすぐについた。宋太傳は静蘭をなかなかの腕だと褒めていた。しかし、剣の型を我流のように見えるが、幼い頃に習った剣の型というのは消えるものではないと話した。そして静蘭の剣は、自分が知っているものに良く似ていると言って剣を鞘に入れた。見た目で勘付いていたくらいだもの。剣を交えた後はもう宋太傳には静蘭が誰なのか判ってしまったんだろうね。また、それを見ていた楸瑛も将軍職にいるほどの腕なので同様だった。
 その型を見ることはもうないと宋太傳は言っていた。劉輝の剣の師匠は宋太傳なのでその型は知らないらしい。また、一撃目を受けたときに静蘭は彼を「宋将軍」と呼んでいた。“かの公子”も自分もそう呼んだものだと言い残して宋太傳はその場を離れた。これで静蘭の正体は確定だね。

 夕方、秀麗に声をかけられたときの静蘭の表情は初めて見るものではなかっただろうか? バレないと思っていたんだろうなぁ。静蘭に何が起こったのかなんて知らない秀麗は、ロウボスウピン(?)を作ったのだと言っていた。劉輝に食べさせるつもりで作ったのだと言う秀麗は、バカ殿の振りをしていたことに対して彼をすごく怒ってしまったので大丈夫かなと心配していたようだった。そんな秀麗に愚痴を、いつもだったら穏やかな表情で聞いてあげているだろうに、今回の静蘭はあんなことがあったために気もそぞろだった。
 そんな静蘭の姿に虐められたのかと聞く秀麗(笑) 理由は秀麗が言ったようなものではなかったけど、それでも、何かを悩んでいると見抜くのは流石だね。そんな秀麗の姿に静蘭も我に返ったようだった。そんな風に自分を心配してくれる秀麗の温かさが静蘭をホッとさせるんだろうね。もう微笑んでいたもの。
 自分が愚痴を言って発散しているように、何かあったら言ってねと秀麗は言うものの、静蘭が今までそういうことをして来なかったのできっとダメねと自己完結していた。どやったら積もり積もった仮を返せばいいのだろうと落ち込む秀麗の頭を静蘭はそっと撫でた。そして「いつも通りのお嬢さまを見ているだけで私は元気になれますから」と言ったときにはもういつもの静蘭の顔に戻っていた。
 彼も劉輝と同様に秀麗に癒されてきたんだろうな。秀麗は自分のことを後回しにする静蘭を貧乏くじ体質と言い、宝の持ち腐れだと言っていたけど、邵可と秀麗を大切にしたいから優先したいと思っていると言っていたのは本心だろうね。いつか遠くに行ってしまうんじゃないかと不安に思っていると秀麗は零していたけど、静蘭はずっと傍にいると約束していた。本当にそうだったらいいと思うけどどうなるのかなぁ。

 ロウボウスピンって聞いたまま書いているけどどんな漢字を当てるのだろう? 秀麗はいつも何かを作ると王宮の人たちに配り歩いているのだろうか? 楸瑛と絳攸もお裾分けを受けていた。何でも宋太傳が武芸大会を開催すると言い出したらしい。その目的を絳攸は黒狼をいぶし出す作戦かと思いついた。……また新しい言葉が。
 黒狼とは先王の懐刀と言われた幻の暗殺集団・風の狼を束ねていた男のことらしい。伝説の殺し屋か……。幻ということは、実際にあるかどうかも不明だし、あったとしても決して表には出さないような存在? でも、ここでこの名が出るということは、存在するし今後出てくるということなんだろう。と思ったら、絳攸が噂ではまだ生きているらしいと小さな声で言っていた。それだけでなく、王宮内にいるとか。
 絳攸は司会進行を任されたのだが、司会の原稿を手伝ってもらえるように邵可に頼んでいた。しかし邵可はそれは貴方が考えた方がとあっさり断り、お茶係を申し出ていた(笑) え……? 邵可は自分のいれるお茶には自信があるというのだろうか??

 発案者の宋太傳は、静蘭に出るように直々に命じていた。彼の目的は静蘭の腕を見極めることなのかな?

 当日、秀麗はお茶係を務める邵可を指差して「あれはちょっとマズいです!」と指摘した。絳攸はそれを邵可のような人物をお茶係にするのは失礼だという意味でマズいと言ったのだが、秀麗は父親のいれるお茶がマズいのだと訂正した。直後、邵可にお茶を注がれた茶太保を始め朝廷三師は、あまりのマズさに吹き出していた。恐らく悲惨な状態だったのだろう。邵可のお茶が飲める筈の劉輝まで驚いていた。お茶係を外された邵可が府庫で落ち込む姿には笑えた。そうか、自信があったんだ……。
 絳攸の開会宣言のあと、宋太傳が試合について説明していた。優勝賞金が金百両と聞いた途端に反応している秀麗(笑) 溜め息をついて自分も出たいと言い出した。それを聞いて劉輝は自分が出て賞金を秀麗に渡すと約束していた。本当?と嬉しそうに身を乗り出してきた秀麗に、本当ならお金なんていくらでも与えてやれるが、それを秀麗は良しとしないだろうからなと続けた。そしてバカ殿の振りをして騙していたことを許してくれるかとすまなそうに申し出た。もうとっくに許しているけど、賞金頑張って稼いでねと笑顔で隆起を送りだす姿は、仮とは思えない夫婦そのものに見えたな(笑)
 あっと言う間に準決勝。楸瑛は難なく決勝まで残った。次の準決勝の試合は劉輝と静蘭だった。秀麗はどっちを応援しようかと迷っていたけど、どっちが勝っても金百両が我が家に入るとほくそ笑んでいた。静蘭は弟との手合せで自分のことがバレてしまうし、劉輝もライバル視している静蘭が相手でそれどころじゃないというのに暢気な子だ(笑)

 対峙している二人だけど、静蘭は劉輝から視線をそらして暗い表情をしていた。劉輝は劉輝で静蘭を見ていて何かを思い出したようだった。そして、静蘭の剣を見て何かに思い至ったものの、そんな筈はと信じられない思いだった。だから直接聞こうとするのだが、静蘭は拒絶するように交えた剣を弾いた。そして最後、斬り掛かろうとする静蘭だったが、劉輝に剣を弾き飛ばされてしまった。無言で立ち尽くす静蘭を呆然と見る劉輝だったが、勝者の名が呼ばれると静蘭は礼をして舞台を後にした。
 そんなことがあったためか、決勝戦では劉輝は試合に身が入らず優勝は楸瑛に決まった。それを指摘する秀麗に黙り込む劉輝だったが、静蘭の姿を見かけて彼を追っていった。静蘭は名前を呼ばれて立ち止まったが、振り向こうとはしなかった。それに構わず劉輝は自分が大好きだった兄のことを話し始めた。母や兄が死んでも泣かなかったが、独りぼっちだった自分に優しくしてくれた兄がいなくなった時だけは泣いたと告白した。そして自分が政をしなかったのは、清苑公子を呼び戻せと誰かが言い出すのを待っていたからだった。
 秀麗は劉輝がバカ殿を演じていたのには何か理由があるかもしれないのに、それを考えもしないで怒ってしまったと落ち込んでいた。……理由はちゃんとあったんだね。彼は兄に王になってほしかったのか。こんな近くにいたと嬉しそうに言いかけた劉輝を、自分は兄ではないと静蘭はそれを制した。もう明らかなことなのに、静蘭はあくまで名乗り出るつもりはないらしい。まぁ、そりゃそうだよね。良くない連中に口実を与えてしまうのだから。紅家の家人として振る舞って、彼は影から邵可や秀麗の他に劉輝も守ろうと決めたんだろう。
 そして自分は兄ではないと否定しつつも、自分が兄上だったらそんなバカな考えは早く捨てろと言うでしょうねと兄としての言葉をかけていた。「朝廷はもう貴方を中心に機能し始めました。もう清苑公子は必要ありません」それはそれは清々しい顔をして静蘭は劉輝に言った。そんな静蘭の言葉を「違う!」と否定したものの、次の言葉を聞いて劉輝の表情が変わった。兄ではない。兄だったらと言いつつも、最後に静蘭は清苑公子として弟に話しかけていた。
「兄上はきっと、貴方が日に日に雄々らしくなるのを喜んでおられると思いますよ。影ながらお仕えできたらいいと。名乗るのもできないのは辛いと思いますが、でも、気付いてくれた。それだけで充分嬉しい」
 ここで映像が子どもの頃になっていたけど、実際は19歳と26歳の男なんだよね(笑) それだけは嫌だと言って兄に泣きつく弟に、兄は嬉しいけど困った表情を浮かべていた。そして、そんなことを言っているとまた面倒なことになりますよと忠告した。遠くを見つめ、静蘭は「近くにいた公子までトンズラしてしまうかも」と言う静蘭に、トンズラの意味が解らずその意味を尋ねていた。どこかにいなくなってしまうと言われ、それでもいいんですかと問われた劉輝は「嫌だ!」と答えた。名乗れないのも嫌、いなくなるのも嫌。じゃあ、どこかにいるぐらいで我慢して下さいと、静蘭は優しい表情で劉輝を見ていた。そして劉輝は「そなたは嘘をつくのが上手い」と言って名乗れないのを我慢したようだった。

 すまぬと言って走り去った劉輝が気になったのだろう。秀麗が後を追ってきた。二人の雰囲気を喧嘩でもしたのかと尋ねた秀麗だったが、二人は顔を見合わせて何でもないと答えた。そして、劉輝が秀麗を見ているとそれだけで楽しくなると続けた。それは先日静蘭が秀麗に言っていたことと似ていた。さすが兄弟だ。
 しかし、そんな理解し合っている二人の姿と彼らを見つけたときに抱き合っている姿を思い出して、秀麗は二人が付き合っているのだと勘違いしてしまった。ぎこちない動きをして部屋に戻ると言う秀麗を、二人は心配して追いかけていった。ずっとこんな関係が続くのかなぁ。まぁ、口には出さなくても理解し合えたみたいで何よりだ。

at 23:37, 真神恵, 彩雲国物語

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